かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 伊東篤宏『・Na・Ri・Ka・Na・De・Mi・Ru・Ya・Mi・Yo・Mi・』

展示は広い倉庫をたっぷりと使った3つのサウンドインスタレーションで構成されていました.
〈OPTRON for akarenga・223〉[223号室] 伊東篤宏のトレード・マークともいうべき蛍光灯を使った音具(蛍光灯が発光する際の放電を利用して音を出しているそうです),オプトロンによるインスタレーション.灯りのない,四角い室内の対面(左右)の壁にオプトロンが置かれています.それが交代で,あるいは同時明滅し,併せて轟音が響きわたります.
〈・Na・Ri・Ka・Na・De・Mi・Ru・Ya・Mi・Yo・Mi・〉[222号室] これはほぼ完全な暗闇の中で(足下を照らすちょっとした灯りがあるだけ)どうやって発生させているか,よくわからないさまざまな音が,そこかしこから不規則に聞こえてくるというサウンドインスタレーション.それぞれの音の正体が全くわからない分,音を発生源に還元してイメージする(たとえばギューンという音からギターを演奏している様子をイメージするとか)という視覚的なバイアスなしで,ほぼ「音」そのものを「聴く」という行為に純粋に結びつけることができ,その経験がとてもエキサイティングでおもしろかったです.暗闇が揺れる様子が体感できて(特に皮膚感覚のレベルで),それはかなり凄かった.ある意味,先日みたライブ〈in the dark〉の本当のもくろみが実現できていたのではないでしょうか.
〈SPINNER ENSEMBLE〉[221号室] プロペラのようにモーターにチューブを取り付けた音具を4台,壁に配置し,それらをランダムに回転させるというもの.モーターは時に数台が同時に動き,その回転するチューブ(長さ・太さがバラバラ)のフォーンという風切り音が共鳴を起こし,さらにモーターの回転音なども加わり,実に不思議なアンサンブルを作り出していました.
この展覧会は,今回の旅行中では最大のヒットでした.いや〜,ほんとおもしろくて,興奮を禁じ得なかったですね.単に伊東の音具がユニークでおもしろかっただけではなく,赤レンガ倉庫という空間,この空間のそこここにうずくまる一癖も二癖もある不穏な「闇」に,なれあったり,無視したりするのではなく,ほとんど真っ正面から対峙し得ていたのが凄かったです.
会期は7/31まで(金・土・日の14:00〜20:00)です.諸君,必ず行くべし!!
冒頭の写真は会場入口付近の様子.ちらし,ポスターで使われている蛍光灯を持った伊東篤宏の写真は,必殺仕掛け人っ,という感じです.

会場:大阪港/築港赤レンガ倉庫 会期:2005.7/6〜7/31の金・土・日 無料 企画・運営:NPO法人大阪アーツアポリアサウンドアートプログラム