かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 日本のアール・ヌーヴォー1900−1923 工芸とデザインの新時代 (東京国立近代美術館工芸館)

はじめに「日本人が見たヨーロッパ世紀末」という章を置き,以下,日本におけるアール・ヌーヴォーの作品・資料が,さまざまな分野−絵画,版画,ポスター,ステンドグラス,陶磁器,インテリア,ブックデザインなどなど−にわたって展示してありました.網羅的に全体像を示す,というところでしょうか.
それにしても,一番最初にミュシャのポスターが置かれていたのが,いかにもアール・ヌーヴォー展という感じです.
ヨーロッパ世紀末の〈宿命の女〉の日本美術における受容(「女」と題されたパート)など,アール・ヌーヴォーと重なりつつも,はみ出る要素もちらりとあったりして.(余談ですが,橋口五葉の描く女性たちの手足って,なんだかむにゅっとした感じですね.そう思いません?)
個人的におもしろかったのは,小品とインテリア.
小品は,浅井忠や和田英作が滞在先のフランスから日本に送った葉書に描いた小さな絵(浅井忠《グレーの秋》《菊花図》,和田英作《富士》[いずれも千葉県立美術館])や杉浦非水,中澤弘光による《みだれ髪かるた》[神奈川近代文学館]など.小さな絵から作家たちの描いているときの手つきが伝わって来て強く印象に残りました.なかなかよかったです.
インテリアは武田五一や相原雲楽のデザインしたもの.武田五一《芝川又右衛門邸 花置台》[明治村]や相原雲楽《旧松本家住宅 広間用彫刻台》[西日本工業倶楽部]がよかった(芝川又右衛門邸[明治村]の設計は武田五一旧松本家住宅の設計(洋館部分)は辰野金吾です.).武田五一はシンプルだけど,さりげなくアール・ヌーヴォー意匠が入っていたりして実にいい感じ.こんど日曜大工で類似品を作ってみようかな,などと思ったりして.
会期は2005.9/17〜11/27.前期(〜10/23)と後期(10/25〜)で絵画・版画を中心に展示替があります.