かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 妙心寺・曝涼展

続いて,妙心寺本坊の曝涼展を見てきました.
会場は,拝観順に言いますと,大方丈と微妙殿の2箇所です.大方丈では掛幅の書画,微妙殿では主に屏風が展示してありました.
まずは大方丈から.お出迎えが曾我蕭白《飲中八仙図》(紙本墨画・3幅対)だったりして,いきなりの意外な展開にびっくり.頂相や十六羅漢図などの仏画,あるいは歴代住職の書などを中心として主に掛幅仕立ての書画を見ることができました.大燈国師(宗峰妙超)筆《関山道号》(紙本墨書・1幅)や《花園法皇像》(絹本着色・1幅)など.最後の書院の間(05)には雲谷等的《山水図屏風》(紙本墨画・6曲1双)もありました.
ところで,この方丈は承応3年(1654)の建立で,内部の障壁画もだいたいその頃,描かれたものと言われています.描いたのは狩野探幽とその養子の益信.ちなみに益信は,この後探幽に実子ができると,養子を解消し(解消され!?),駿河台狩野家を興すことになります(一応,円満解消ですね).この大方丈は仏事などの行事がない限り,通常自由に拝観できるのですが,私が前回妙心寺を訪ねたとき,たまたま法事があり,中を見ることができませんでした.そんなわけで,リターン・マッチだったりもします.室内に書画軸が釣ってあるため,障壁画の上部が隠れていたり,あるいは通路として襖が開かれていたりで,障壁画の全体を見渡すことはできませんでしたが,主立ったところはだいたい見ることができました.以下,概要を順に記しておきます.

      北
 │01│仏間│05│
東−−−−−−−−西
 │02│ 03 │04│
      南
01.衣鉢の間 狩野益信《竹虎図》紙本墨画
02.檀那の間 狩野探幽《山水図》紙本墨画
03.室中 狩野探幽《山水図》紙本墨画
04.礼の間 狩野探幽《山水図》紙本墨画
05.書院 狩野益信《唐獅子図》紙本墨画

探幽は,まあいつもの探幽ですが,行体山水ということもあり,わりと肩の力が抜けているという印象(特に翌日,二条城二の丸御殿大広間なんてのを見た.というのもあるのですが).益信は,まさに探幽直伝という感じで,虎や唐獅子がとっても可愛かったですね.仏間にも襖絵があるようですが,これはちょっと確認できませんでした.このあたりは宿題です.

方丈で展示は終わりかなと思ったところ,第2会場があるとのことで,続いてそちらに.そこで,妙心寺所蔵の代表的な屏風のうち,5つまでが展示してありました.京博や東博の平常展で見たものもあり(寄託?),したがって,曝涼展では見られないものと,半ばあきらめていたのですが,うれしい誤算でした.見ることができたのは,次のとおり.

06.狩野山楽《文王呂尚・商山四皓図屏風》紙本金地着色・6曲1双
07.狩野山楽《龍虎図屏風》紙本金地着色・6曲1双
08.海北友松《花卉図屏風》紙本金地着色・6曲1双
09.海北友松《三酸・寒山拾得図屏風》紙本金地着色・6曲1双
10.海北友松《琴棋書画図屏風》紙本金地着色・6曲1双

いずれもガラス越しではなく,間近に見ることができ,屏風絵フリークの私としては大はしゃぎでした.ちょっと踊ってみたくらいです(ウソ).これであと狩野山楽《厳小陵・虎渓三笑図屏風》があればなあ,というのはちょっと贅沢というものですね.
いずれもおもしろかったのですが,一番印象に残ったのは,08の右隻に描かれた牡丹の色がなんともいえず美しかったこと.実はこの屏風は,京博の平常展で見ているのですが,ガラス越しではそれほどぐっとこなかったんですね.間近に見て,ヴィヴィッドな美しさにうっとりでした.
それから06の左隻,四皓のうちのいちばん左端のじいさん,微妙に出っ歯だったりします.図版じゃわかりませんね.私が見た商山四皓図のうち,この山楽のものが四皓をいちばん年寄りに描いていて,それもおもしろいなあと思ったりしています.
07では,左隻の虎のプロポーションが実にリアル.それに反して,右隻の龍はなにやら,ぬっと現れた,何か唐突な感じがあって,それも印象的でした.
こんな具合に,第2会場でも満喫した次第です.
最後に抹茶とお菓子をいただき,非常に充実した気分になって,妙心寺をあとにしました.ちなみにお菓子は鼓月の「水むらさき」.ごちそうさまでした.
【メモ】妙心寺  曝涼展(妙心寺所蔵宝物特別公開) 11/3・4 9:00〜16:00(入室は15:30まで) 参観志納:一般1000円 小中学生:500円