かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 二条城

2004年3月に竣工した元離宮二条城の展示・収蔵館(正式には「元離宮二条城築城400年記念展示・収蔵館」と言うらしい)が障壁画を公開しているのを知り,立ち寄ることにしました.
展示・収蔵館は東大手門を入り,左手に少し行ったところにありました.その名のとおり,模写と差し替えたオリジナルの障壁画を収蔵するスペースと,それを展示するスペースなどからなる施設です.入城料の他に,別に入館には100円必要.靴をスリッパに脱ぎ替えて中に入ります.入口に続いて,エントランス・ホールがあり,ここでは障壁画の資料の他に,餝金具の復元の様子,城内から発掘された埋蔵文化財などが展示されていました.展示スペースは,なかなか広く,二の丸御殿内に設えられたのとそのままのレイアウトで障壁画が展示できるようになっています.
今回の展示では,大広間四の間(槍の間)の《松鷹図》のうち,東面・西面・南面の障壁画が展示してありました.

二条城二の丸御殿四の間(槍の間)《松鷹図》
−−−−−−────── 西面

│南   観覧
│面  スペース

−−−−−−−−−−−− 東面
 西面 襖6面・壁貼付3面・長押上貼付6面
 南面 襖4面
 東面 戸襖12面・長押上貼付6面
  合計 37面

二の丸御殿でこの《松鷹図》を見るとすると,北面,あるいは,東面の戸襖のうち,開いているところからのぞくようなかたちで見ることになるわけですが,この展示スペースですと,まさに四の間の中に立っているようにして全体を眺め渡すことができます.また,作品保護のため,押さえられているとはいえ,照明が備わっており,これも実際に二の丸御殿で見るよりはいい条件でした.ガラス越しの展示で,障壁画自体までやや距離がありますが,細部もしっかり見ることができ,それほど気になりませんでした.難を言えば,やはり一間だけの展示ではちょっと物足りないな,ということ.これは,まあ,ないものねだりなんですが.
さて,《松鷹図》です.おもしろかったのは,その全体の構図.金雲と金地のすき間を縫うように流れる水の流れが四方を取り巻いていて(見たのは三方ですが),その深い藍色がいい感じでした.南面に描かれている松の大木の背後には白く泡立つ奔流も描かれており,これも印象的.メイン・モチーフは松の巨木とところどころに配されている鷹になります.松の巨木は桃山様式,永徳様式とでも言えるものですが,この松の他に,東面の南側には別の木が,また北側の上方にも金雲の間から松ではない木が顔をのぞかせていて,これもおもしろい感じでした.大広間の筆者は探幽に目されていますが,四の間は他の大広間の障壁画とやや趣が異なっており(四方を巡る水流,松の形,金雲の量や配置,鷹というモチーフなど),他の部屋とは違う筆者−例えば狩野山楽−を想定する説もあるようです.
《松鷹図》の展示(平成17年度第1期公開)期間は2005.10/10〜11/30になります.来年には第2期公開が2/1〜3/12の期間で予定されています.どの障壁画が展示されるのでしょうか?ちょっと楽しみですが,展示・収蔵館だけ見るのに入城料を払うのはつ,つらい(苦笑).

まあ,せっかくだからと,二の丸御殿も見学してきました.障壁画のオリジナルと模写の差し換えも着々と進んでいるようで,大広間や黒書院などには模写がはめられていました.観覧順に記すとだいたい以下のとおりになります.

01.遠侍(三の間→二の間→一の間) オリジナル
02.式台(式台の間) オリジナル
03.大広間(三の間→二の間→一の間) 模写
04.蘇鉄の間(杉戸絵) オリジナル
05.黒書院(三の間→二の間→一の間) 模写
06.白書院(一の間→二の間→三の間) オリジナルと模写が半々.また,一部修復中.
07.黒書院(牡丹の間) オリジナル
08.大広間(四の間) 模写
09.式台(老中の間[3室あり]) オリジナル
10.遠侍(勅使の間) オリジナル
この他に杉戸絵が若干ありました.

【メモ】元離宮二条城  展示・収蔵館 平成17年度第1期公開:2005.10/10〜11/30