かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 江戸絵画のたのしみ (千葉市美術館・8F展示室)

続いて,所蔵作品展の『江戸絵画のたのしみ』展を見ました.まあ,こちらがお目当てだったのですが. 
千葉市美術館所蔵,寄託の近世絵画から「いろいろな形」「筆墨の技を味わう」「コレクションのよろこび」「身の回りの小さな情景を描く」「月光に心研ぎ澄ます」「愉快な動物たち」という6つのテーマで53の作品を紹介しています.最初の2テーマが近世絵画の形態や技法を紹介するもの.「コレクション……」はH16年度に寄託された個人コレクション(渡辺崋山《四時田園雑興詩画》など)をその保管のための箱や心覚えの記録などとともに展示してありました.後半の3テーマは,それぞれの画題に沿った絵画の作品選です.全体的に江戸時代の中・後期の代表的な画家(初期も若干)の作品がそれぞれの特徴がわかるように紹介されていました.
では,伊藤若冲から.3作出ていました.※番号は展示番号.
 19.《寿老人・孔雀・菊図》3幅・紙本墨画 宝暦(1751〜1764)中・後期
 41.《月夜白梅図》1幅・絹本着色 宝暦(1751〜1764)後期 寄託作品
 53.《鸚鵡図》1幅・絹本着色 宝暦(1751〜1764)後期 →ここに画像あり
19は,「筆墨の技」のコーナーで,菊図(左)の筋目描きをフィーチャーしていたのですが,中幅の後ろ向きに描かれた寿老人の頭部がなかなか思わせぶりで印象的でした.
続いて,狩野山雪は2作.
 13.《雪中騎驢図》1幅・紙本墨画 寛永後期〜正保(1624〜1647)頃
 45.《柳下野馬図》双幅・紙本墨画 寛永後期〜正保(1624〜1647)頃 寄託作品
どちらも墨画で山雪にしては鷹揚な感じ.あんまり神経質なタッチ(!?)ではなかったですね.45の左幅の野馬のたてがみがけっこう長髪でおもしろかった.そうか,野馬だからヒッピー(死語)なわけですね.自由でたいへんよろしい(?)
で,長沢蘆雪は1作.
 23.《松竹梅図》3幅・絹本着色 寛政(1789〜1801)初期.
曾我蕭白は欠席.酒井抱一も欠席ですが,弟子筋が何人か出ていました.狩野派はもちろんのこと,それから文人画家のみなさんがけっこう出ていました.
この他,印象に残った物を.
 02.中村竹洞《山水図襖》4面・紙本墨画 天保元年(1830)頃
両端の遠景に描かれた山々が楕円形.中央の開けた空間に描かれた奇岩がいずれも四角形.この楕円形と四角形の対比がおもしろかった.遠景と近景の中間に樹木が描かれているのですが,これが多種多様でそれにも興味を惹かれました.
 36.英一蝶《四条河原納涼図》1幅・紙本着色 貞享〜元禄11年(1684〜98) →ここに画像あり.
川の中に2台の床が置かれています.その上には,川面の涼を楽しむ人々の姿.背負われてこの床をめざすおっちゃんがいたりします.一蝶らしい軽妙なタッチがいい感じでした.
 37.高嵩谷《渡舟雨宿り図屏風》6曲1双・紙本着色  江戸時代中期
これも一蝶関連.左隻の《雨宿り図》は一蝶の写しですね(燕が多いので,バーク本がもとでしょうか.ところで,バーク本,もうすぐ東京にも来ますね).右隻も一蝶画に似たモチーフのものがあったと思います.渡し船に乗ろうとして暴れる馬,それを押さえようとしてやっきとなる中間たち,とか.しかも,それがちょっと軽妙なユーモアをもって写し取られている.ええと,どこで見たんでしたっけ.ちょっとど忘れです.高嵩谷の本作は,画面に金箔が撒かれるなど,一蝶に比べると,やや堅い感じがしました.
 46.狩野養川惟信《獅子図》双幅・紙本墨画 江戸時代後期 [寄託作品]
右幅にはこちらを向いた獅子,左幅には後ろ向きの獅子がちょっとおちゃめな感じで描かれています.この双幅には仕掛けがあって,左右を逆につなげるとあら不思議,もと左幅に描かれた獅子のお尻がもと右幅の獅子と体と連続してくっついちゃいます.なかなかやるな.
 50.渡辺秀詮《虎図》1幅・紙本着色 江戸時代中期 →ここに画像あり.
この展覧会のマスコット・ボーイです(笑).解説にはあれに出てくる”ネコバス”の名も挙がっていました.渡辺秀詮(1736〜1824)は長崎で「唐絵目利」を務めていたそうです.虎の絵が得意だったとか.

【メモ】千葉市美術館 会期:2005.10/25〜12/4.(『ミラノ展』,『江戸絵画のたのしみ』とも)
『江戸絵画のたのしみ』展示リスト
《雨宿り図屏風》→『ニューヨーク・バークコレクション展』 東京都美術館 会期:2006.1/24〜3/5