かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 養源院の障壁画

博物館の開館時間までまだ時間がありましたので,急遽養源院に立ち寄ることにしました.こちらは京博より30分早い9:00から拝観できるのです.養源院には以前にも来たことがあるのですが,その時は障壁画について漫然と見ていたにすぎないので,改めて来た次第です.
養源院は文禄3年(1594)淀君によって建立されましたが(「養源院」は淀君の父,浅井長政法名),その時の建物は元和5年(1619)に焼失.現在の建物は淀君の妹で徳川秀忠正室崇源院により元和7年(1621)に再建されたものです(伏見城の遺構が転用).本堂の4室は狩野派が描き,残る2室を俵屋宗達一派が描いたと言われています.
養源院の拝観は,ガイドに従って建物の中を見て回るようになっています.しかも,説明のテープ(一部口頭)が終わると,すぐに次の箇所と追い立てられる(!?)ので,一般の参拝客がお目当てをじっくり見るというのは不可能です.
それでもなんとかお目当ての宗達と山楽の障壁画を確認してきました.今回,見ることができた障壁画は以下のとおりです.

01.俵屋宗達《白象図杉戸絵》2面 本堂南面の広縁の東側.
02.俵屋宗達《松図襖絵》12面 本堂南側中央室
03.狩野山楽《唐獅子図羽目板貼付》3面 本堂中央室北側(北側中央室?)須弥壇
04.俵屋宗達《波に麒麟(犀)図杉戸絵》2面 本堂南面の広縁の西側
05.俵屋宗達《唐獅子図杉戸絵》2面 04の裏面
06.《牡丹図襖絵》8面 本堂北側の西室(牡丹の間)

先に著名な杉戸絵(01・04・05)から.宗達による杉戸絵はいずれも大胆にデザイン化した図柄で,太い輪郭線や渦巻き状の体毛などが特徴.なんと言っても構図(というか,描かれた動物たちのポーズ)が素晴らしく,1面だけでもおもしろいし,2面を対として見るとこれまたおもしろかったですね.01と05はそれぞれテーマとなった動物だけですが,04のみ背景(余白)に波頭が描かれており,それがいい感じ.尾形光琳の《波濤図屏風》を連想したりして.なお,01の裏面にも唐獅子が描かれているようですが,これは見ることができませんでした(案内なし).
02.は室の東側と西側に4面,南側に中央の出入り口をはさんで左右に2面ずつ配置されていました.金地を背景に,岩と松だけが描かれていて,狩野派などの障壁画に見慣れた目にはちょっと異形な感じです.松がのたりのたりと立ち上がる巨人かなにかに見えて(特に東側)とてもおもしろかったですね.
03は須弥壇の前にいろいろと道具類が置いてあったので,ほとんど見ることができませんでしたが,羽目板1面につき,獅子が2頭ずつ描かれていたようです.(う〜ん.これちゃんと見たかったな〜)
06は東側に6面,北側西寄りに2面.室内が暗くて,細部は見えなかったのですが,さまざまな色の牡丹の花(切り花?)を一つずつ整然と配した図柄でした.お寺の解説では狩野山楽筆となっていましたが,どうでしょうか? (狩野尚信筆という説もあるようです.)
この他にガイドの解説はありませんでしたが,本堂東側の広縁の南端にも杉戸絵がありました.剥落が激しく,内容はよくわかりませんでしたが,宗達のものとはずいぶん違うものでした.
確認したものの以外の障壁画が現在どうなっているかなど,宿題が多数残りましたが,だいたい以上です.きっと「國華」あたりに関連論文があるのだと思いますが,ま,そのあたりはぼちぼちと...
最後になりましたが,養源院は門を入って本堂の入り口までのアプローチがなかなかいい感じです.ゆったりとした上り坂になっていて,道の左右にはさまざまな樹木が植えてあります.ちょうど季節柄,紅葉した木々もあり,目を楽しませてもらいました.
【メモ】養源院 拝観料:500円.