かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 スキノデリック 彫刻の表層  (東京藝術大学大学美術館陳列館)

東京藝術大学彫刻科による展覧会です.学外から招待作家やサウンドインスタレーションも含め10人の美術家が作品を出展していました.タイトルのとおり,彫刻の表層にそれぞれ特徴のある作品がどれも印象的でした(ちなみに「スキノデリック」はサイケデリックをもじった造語だそうです).
中でも,清水淳の《バシリスク》が個人的には圧巻でした.これは大きな昆虫風のモンスター−そうですねえ,『エヴァンゲリオン』の使徒といった趣でしょうか−を象った木彫なのですが,全体の繊細とグロテスクが美しく入り交じる造形感覚に見合うように,その細胞の集合を緻密に再現したような微細な「痕」がその表層を覆っていて,なかなかインパクトがありました.ちょうど目に相当する部分に小さな丸いステンレス(かな?)の金具が6個打ってあり,正面から見ると,その6つの小さな鏡に自分のデフォルメされた姿が映っているのを見ていると,それが奇妙な感覚をもたらしたりもしました.
また,2Fで見た,高見直宏の独特のユーモアも気になるところ.宇宙飛行士のマーキング行為はさて置き,宇宙ロケットの噴気煙を木彫で表現した《アフターバーナー》の,気体から固体へと変換された「もの」の感じがなんだかおもしろい.
それから,これは戸外に展示してあった北郷悟の《沈黙》と吉賀伸《Private Ruin》もよかったです.室内の展示もそうでしたが,この戸外の展示における古川聖のサウンドインスタレーションが,たとえば外部のさまざまな音に意外に開かれていて,特に効果を高めているように思いました.

出品作家:
伊藤信(いとう・まこと)*招待作家 《にんじゃ》《深呼吸》
奥田真澄(おくだ・ますみ) 《雨の日》
北郷悟(きたごう・さとる) 《沈黙》
清水淳(しみず・あつし) 《バシリスク
高見直宏(たかみ・なおひろ) 《アフターバーナー》《Universal Marking》
塚本悦雄(つかもと・えつお) 《彫刻の種−タコ#10》
中村哲也(なかむら・てつや)*招待作家 《ドラゴンホィールG》
藤原彩人(ふじわら・あやと) 《願望または賛美の歌−427界隈−》《独り言》
吉賀伸(よしか・しん) 《Private Ruin》
古川聖(ふるかわ・きよし) サウンドインスタレーション《スキノデリック ミュージック》

【メモ】スキノデリック http://www.geidai.ac.jp/event/skinodelic/  会期:2006.1/6〜1/22