かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 相国寺本坊 方丈・法堂

相国寺では,本坊の方丈と法堂を拝観しました.これも「第40回 京の冬の旅 非公開文化財特別公開」によるものです.
相国寺の方丈は文化4年(1807)に再建されたもので,各室の障壁画は以下のとおりです.いずれも室外からのぞきこむかたちでの観覧でした.
    北
  A│B│C
西─────東
  D│E│F
    南
A.琴棋書画の間[上間一の間] 原在中《琴棋書画図》紙本墨画淡彩  ※「古稀原在中」という落款が見えました.また,下記参考文献に一部図版が掲載されていて(4面).同書の解説によると狩野永徳大徳寺聚光院方丈画の《琴棋書画図》によったもののようです.
B.御所移しの間  土佐派《吉野山桜図》紙本金地着色  ※本来なら仏間にあたる室ですが,方丈を再建する際にお祝いとして御所から清涼殿の障壁画が下賜されたのだとか.今が盛りと咲き誇る吉野山の桜を一日の時の推移にしたがって描いたものです.いくぶん時代がついて,くすんだ感じですが,土佐派の画面はなかなか古雅な味わいがありました.
C.聴呼(ちょうきょ)の間[下間一の間] 原在中《群仙図》紙本墨画淡彩  ※室の周囲に数人の仙人が配されていました.
D.梅の間[上間二の間] 維明周奎《老梅図》紙本金地墨画 ※維明周奎は相国寺の115世住持.
E.室中 原在中《倣普陀巖図》紙本墨画 ※でもって,ここがけっこう迫ってくるものがありました.いち推しっ!!です.
F.竹の間[下間二の間] 玉璘《竹林図》紙本金地墨画

法堂は慶長10年(1605)の再建で,豊臣秀頼の寄進によるものです.現存最古の法堂だとか.天井には狩野光信が《蟠龍図》を描いています.実はこれが私のいちばんのお目当て.光信は父親の永徳の雄壮な画風とは異なって割と繊細な画風の持ち主ですが,円相の中に描かれた蟠龍の姿はなかなかの迫力.特にその胴体が実に爬虫類っぽい感じで,いささか気味が悪かったです.この《蟠龍図》は特定の場所で手を打つと,その音が響き渡ることから「鳴き龍」と呼ばれています.そんなわけで,解説の方に引率されて,お堂の真ん中近くの「場所」で手を打ってみたのですが,どんなもんでしょうか.そんなに響いた感じでもありません.う〜ん,ちょっとわからなかったかな.
【メモ】「第40回 京の冬の旅 非公開文化財特別公開」 期間:2006.1/14〜3/19 (社)京都市観光協会 http://www.kyokanko.or.jp/  【参考文献】『京都画壇の一九世紀 2 文化・文政期 』(思文閣出版,1994.10)