かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 広告の親玉 赤天狗参上! −明治のたばこ王 岩松松平−  (たばこと塩の博物館)

明治の前期,西南戦争から日露戦争の間,紙巻き煙草の製造・販売に活躍した「国益の親玉」岩松松平を中心とした民間による煙草産業の歴史を,主に宣伝文化史に焦点を当てて,さまざまな資料によって振り返る展覧会です.
おもしろかったのは,煙草のパッケージや,宣伝のためのポスターや引札の類が,当時の印刷技術とともに紹介されているあたり.後のデパート文化がリードしていく時代のものに比べると,意匠もコピーもどちらかというと洗練にやや欠ける印象ですが,中には女性ヌードを採用するなどなかなかの過激ぶりもうかがえ,目を引くものがおおかったです.また,展示の中には,煙草のパッケージの中に補強材として入れられたカードがあって,これはおまけになるようにさまざまな絵柄が印刷されています(女性ヌードのカードを作って,販売禁止になったこともあるとか).百人一首カルタのようなものから,女性のブロマイド風など,和風・洋風とりまぜた内容で,なかなか楽しかった.これにはコレクター魂が刺激されましたね.銅版のものが多く,展示してあるものは京都の玄々堂によるものとのことでした.玄々堂は名所図だけではなく,こういう仕事もしていたのですね.
それにしても,岩松松平,銀座に真っ赤に塗りたくった大店舗を構えただけでなく,「勿驚税金○○円」と書かれた看板を掲げ(○○円は20万円からはじまり,どんどんエスカレートして最後は300万円に至ったとか.明治前期の話です!),「国益の親玉」を名乗り(大いに儲け,大いに税金を支払うのが「国家」のためになる!),みずから赤い軍服を着て銀座で街頭宣伝をしたという,いささか猪突猛進に見えなくもないパワーはいったいどこから来ていたのでしょうか.
なかなか見応えのある展示でした.入場料は常設展示も含め100円!です.
【メモ】たばこと塩の博物館 http://www.jti.co.jp/Culture/museum/WelcomeJ.html 2006.1/28〜3/12 カタログ1000円.