かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 嵯峨大念仏狂言と清涼寺のお松明式

清涼寺の境内に入ると,まず目に付いたのが3基の大松明(写真)でした.初めて見る大松明はなかなかおもしろい形をしています.どこかで見たことがあるな,と思っていたら,《上杉本・洛中洛外図屏風》に描かれた「松永弾正」邸の左義長をちょうどひっくり返したような感じですね.その周囲にはロープが張られ,露店が多数出ていました.若い母親に連れられた子どもや小・中学生がたくさん来ていて,なかなかの盛況ぶりです.


本堂と庭園 涅槃会・お松明式の当日ということで,今日は本堂・庭園を無料で拝観できました.ご本尊は三国伝来の生身の釈迦如来立像で(お釈迦さま37歳のときの姿を写したものだとか),東大寺の僧,篙然(ちょうねん.938〜1016年)が宋に留学した際,インドの優填王が造立したというこの像のオリジナルと出会い,感動のあまり,現地で模造し,それを持ち帰ったものだとか.通常は秘仏ですが,この日は特別に公開されていました.若いお坊さんによる解説もあり,なかなかおもしろかった.また,本堂にはさまざまな寺宝が展示されていたのですが,このご本尊の胎内から出てきた銭貨や,絹製の五臓六腑(ただし,こちらは複製)なども見ることができました.絹製の五臓六腑(のオリジナル)は,台州妙善寺の尼僧たちのお手製とのこと.胎内にはこの他にもいろいろな納入品がありますが(例えば篙然のへその緒書きなんてのもあったりして),これらの一部は4/1〜5/31の期間,霊宝館で特別に公開されるそうです.
本堂を拝観した際,なんと言ってもうれしかったのは,狩野一信筆,妙安(一信の奥さん)彩色《五百羅漢図・下絵》が出ていたことです.これは例の増上寺本《五百羅漢図》の原寸下絵で,展示してあったのは「神通」(第51〜60幅)に相当する10幅.本図に比べると,それほど怪しく(!?)はなかったですが,先に見た東博本《五百羅漢図》とも微妙に違った印象で,なかなか興味深かったですね.[第55幅]の後方で,宮殿の2階にいる羅漢さんが鉢から水を出して(噴水のように鉢から水が吹き出している)階下の2頭の象に水をかけてやっているシーンが気になっています.これっておそらく原拠となる説話があると思うのですが,どんな話なんでしょうか? とにかく2頭の象のうれしそうな表情が見ていて楽しかったな.
それから,狩野由信(?〜1820.浅草猿屋町代地狩野分家)による赤衣の《釈迦如来像》が印象に残りました(「狩野洞りん藤原由信謹模之」落款.「りん」は「王」へんに「隣」のつくり).