かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 成田山新勝寺の釈迦堂

釈迦堂は成田山新勝寺の旧本堂で,安政5年(1858)の落成.新本堂の建設にともない,1964年(昭和39)に現在地に移築されました.
実はこの釈迦堂は,狩野一信作品の一大宝庫だったりします.関連作は以下のとおり.

01.《釈迦文殊普賢・十六羅漢・四天王・十大弟子図》
02.《雲竜図》《天女図》
03.彫刻《五百羅漢》

01は,堂裏の貼付壁画で,明治期に保存のため掛幅に改装,新勝寺に保管されています.したがって,現在,釈迦堂では見ることができません(このうちの《十六羅漢図》[2幅]は前記の成田山書道美術館『狩野派の絵画』展に展示).
02は外陣の天井画です.これらは観覧可で,外陣中央に水墨の《雲竜図》,その左右に着色の《天女図》(2面)が描かれていました.
03は東西北の胴羽目にはめられた松本良山(不動金兵衛)による彫刻(8面.東西各2面,北4面)になります.この《五百羅漢》の下絵を描いたのが狩野一信で,現在,この下絵は新勝寺に保管されています(前記の成田山書道美術館『狩野派の絵画』展で全8幅中の1幅が展示).彫刻は,鳥よけの金網が全面を覆っていましたが,見るには支障はありませんでした.後の増上寺本《五百羅漢図》などにつながる表現が多々見ることができるわけですが,羅漢たちの超越性を表現しているのみならず,彼らの日常生活のエッセンスが立体化されているといったほうがいいような親しみが感じられました.どちらかというとおどろおどろしい,というよりもユーモラスで軽妙な印象だったかな.なかなかおもしろかったです.
なお,この釈迦堂ではこの他にも東西北の扉にはめられた無関堂島村俊表の《二十四孝行》の彫刻(12面.東西北の左右扉2面ずつ.1面に2エピソードを彫る)や向背の彫刻など,江戸時代の彫刻の粋を多く見ることができました.