かけらを集める(仮)。

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 ケーテ・コルヴィッツ 版画・素描・彫刻−平和な世界へ祈りをこめて  (町田市立国際版画美術館)

ドイツの美術家ケーテ・コルヴィッツ(1867〜1945)の大規模な回顧展.版画・素描・彫刻165点を「第1部 ケーテの出発−社会へのまなざし」「第2部 日常生活の中の生と死−暮らしをみつめて」「第3部 戦争と飢餓−歴史の渦のなかで」「第4部 別れ−来るべき世代にたくすもの」という時代順の4部構成に分けて展示.
政治に翻弄・抑圧される庶民の苦しみや戦争の惨禍を,死,母と子という主題を通して描いた作品が多い.したがって,画面は暗く陰鬱であるが,それを描かねばいられない芸術家の意思の強さも画面の中にうかがわれ,それが印象に残りました.
中では,4つの連作版画−『織工の蜂起』『ドイツ農民戦争』『戦争』『死』がやはり重量級で見応えがあります(ただし,連作によっては全点出ていないものもあり,それが少し心残り).制作過程がわかるように素描やさまざまな刷りのヴァージョンが展示してあるものもあって,興味深かったです.銅版画やリトグラフも良かったですが,個人的にはエルンスト・バルラハに影響を受けて始めたという木版画に目を奪われました.
また,展示のところどころに出てくるケーテの自画像にも強くひかれました.最初の1点を除くと,多くは沈鬱な表情をしたものですが,その芸術家として,そして,人としての強さがはっきりと出ているような気がし,感銘を受けました..
【メモ】町田市立国際版画美術館 2006.4/15〜6/11 >参考
常設展示室では『ドイツの版画−コルヴィッツの時代』という題で,ドイツの19,20世紀の作品が展示してありました(2006.4/12〜6/11).