かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 フロリアン・クラール「ソラリス:セカンド・チャンバー」  (六本木/レントゲンヴェルケ・ヴァイスフェルト)

ドイツ人美術家,フロリアン・クラール(1968〜)の個展.正式なタイトルは『ソラリス:セカンド・チャンバー 6つの主題によるチャンバーオペラより〜情景その2』.タイトルからもわかるように,スタニスワフ・レムの『ソラリス』にインスピレーションを得た作品で,2001年開催の『'Solaris' a chamberopera』(福岡/三菱アルティアム)中のインスタレーションの一部をリメイクしたものだとのこと.
宇宙ステーションの1室のような展示空間−惑星ソラリスの軌道上にある宇宙ステーションの1室という設定でしょうか−に小さな街灯が灯るジオラマのような世界が設えられています.土か岩のようなものでできた区画に街灯が立てられ,その区画が床の上に無数に配置されています.人も生物もそこにはいません.ただ,人工の灯りが誰もいない世界を煌々と照らし続けています.いささか荒涼とした冷たい世界.しかし,そこは目に見える世界.
かなり以前に読んだので,不確かな記憶ですが,たしか,主人公のクリスが宇宙ステーションに到着したとき,生き残っていた科学者たちはそれぞれの居室に閉じ籠もっていました.その部屋の中で「海」によって実体化された自分の潜在意識に溺れていたわけです.(クリス自身もやがて...)そのことからすると,クラールによって作り出されたこの世界は「海」によって実体化された彼/私たちの意識の奥底にある世界の雛形と言えるかもしれません.
どこかにビデオがあったはずなので,近々,アンドレイ・タルコフスキーの映画『惑星ソラリス』を見直してみようと思っています(スティーヴン・ソダーバーグの方は未見です).もちろんレムの小説も.
【メモ】レントゲンヴェルケ 2006.6/17〜7/15