かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 美しさへの挑戦 ヘアモード・メイクアップの300年  (MOA美術館)

美しさへの挑戦 ヘアモード・メイクアップの300年  (展示室6〜8)
日本と欧米のここ300年ほどの女性の化粧や髪型のモードをテーマにした展覧会.ドレスや着物,化粧道具,装身具に絵画,写真,その他の資料などによって構成されていました.
いちばんおもしろかったのは,日本と欧米のヘアモードをかつら(模型)によって立体的に見せていたところ.結い方の細部がどうなっているか,一目瞭然でありがたかったですね.
それにしてもイギリスの貴婦人たちに流行ったフリゲート艦(の模型.う〜ん,帝国主義!)を頭上にのせた髪型って凄すぎる.
【メモ】MOA美術館 2006.8/12〜9/24 ※巡回展あり. カタログ1800円(買わず) >参考


併設展示
展示室1は肉筆浮世絵(寛文美人図なども含む)と伊万里・鍋島を展示.圧巻は勝川春章《婦女風俗十二ヶ月図》(絹本着色・10幅.2,4,5〜12月).細長い画面に美人たちがぎっちりと描かれています.11月の「名月図」など,墨絵のタッチで描かれた背景がシックでいい感じでした.
展示室2は琳派の小品と京焼.光琳・乾山合作の《銹絵寿老人角皿》あたり,やはりいいですね.
続く,展示室3は,実は今回のお目当てだった《鶏頭図屏風》(紙本金地着色・6曲1双)1点をどかんと展示.画面下方を今を盛りと咲き誇る鶏頭の花が埋め尽くしています.これまでにも単一の花,植物を横並びに広がる大画面にずらっと描いた作品をいくつか見てきましたが,本作に描かれた鶏頭は,実際に眼前で見ると,意外に野太く,ワイルドなもので,これまでに見た繊細だったり,おくゆかしかったりする作品とはちょっと違う印象でした.また,上部には和歌を記した短冊や「源氏物語」の断簡などが貼り込んであるのですが,こちらは貼り方にちょっとセンスがなく,あまりぱっとしなかったですね.もう少し何とかならなかったのでしょうか.いずれにしろ,きらきらときらくめく金箔の上にうごめく鶏頭の花は強く印象に残りました.
少し飛んで,展示室10は,特別展にちなんで,近代の版画作品から女性とその装いをテーマにしたものをセレクト.ここで橋口五葉の《髪梳ける女》(1920)にまたしてもお会いしました(特別展にも五葉の作品が出ていました).他に,鏑木清方伊東深水,鳥居言人,小早川清,竹久夢二,名取春仙,藤田嗣治梅原龍三郎など.伊東深水は,昭和期の「現代美人集」からのセレクト.深水は個人的には関東大震災前の若い時期の作品の初々しさの方がやはり好きだな.また,小早川清のモダンな都市風俗の女たちがよかったです.彼女たちの表情の微妙な陰影が醸す退廃がとても魅力的でした.