かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 京の風雅 円山四条派と京焼  (逸翁美術館)

逸翁美術館所蔵作品の中から,円山四条派の小品(掛幅)と京焼の名品を集めた展覧会.
絵画は円山派,四条派の代表的な絵師たちが網羅されている.円山応挙,円山応瑞,呉春,松村景文,森狙仙,森徹山,源蒅,奥文鳴,東東洋,渡辺南岳,山口素絢,張月樵,小田海僊,上田公長,野村玉渓,横山清暉,森一鳳,森寛斎,円山応震,中島来章,西山芳園,上田耕冲.複数作品が出ていたのは,応挙,応瑞,文鳴が2作,呉春と蘆雪が3作.
一方,京焼は仁清,乾山など初期の京焼も出ているが,量的には仁阿弥道八のものが多く,なかなかの充実.
出展を秘かに熱望していた長澤蘆雪《降雪狗児図》が出ていて,とてもうれしい.蘆雪は師の応挙譲りの可愛い子犬ちゃんを量産していて,類似した構図も繰り返し使っている.本作も後ろ向きの子犬ちゃんなど構図的にはいくつかの作品と共通している部分もあるのだが,油絵系(?)の絵の具を使ったべったりとした画面が珍しく,また印象的で,白い子犬ちゃんなど漆喰を塗ったかと思われるほどの厚みが感じられる.図版で見る以上に質感が強く,グレーの背景から浮かびあがる雪の白さなども印象的.それにしてもカワーイーのであった.
呉春もまた気になるところ.《松下游魚図》と《岩上孔雀図》はもともと双幅として描かれたものだが,その後,離ればなれになり,逸翁のもとで再び双幅になった作品だとのこと.《秋夜擣衣図》は和歌ネタの画題だが,呉春はぐっと俳画風にユーモラスな情景としているのがいい感じ.それにしてもどこかで呉春の大きな展覧会を開いてくれないだろうか.
この他では,石灯籠の火袋の中でおしくらまんぢう状態で雪をやり過ごすお猿たち(お家芸!)を描く森狙仙の《雪中燈籠猿図》,師匠応挙の《大石良雄図》(明和4年[1767].百耕資料館.先日「応挙と芦雪」展で見る)を模した源蒅の《大石良雄図》(寛政8年[1796])−源蒅の方がいくぶん耽美的な感じ−などが印象に残る.
なお,いけだ市民文化振興財団主催の「第17回IKEDA文化DAY 文化探訪+クイズラリー」という催しものが開催中で,今回はこれに参加するかたちで,無料で逸翁美術館を観覧.多謝.
【メモ】2006秋季展「京の風雅 円山四条派と京焼」 2006.10/21〜12/10 月休 10:00〜17:00 一般700円 展示のキャプションを集めた簡易な解説集(200円)あり(買わず).