かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 建仁寺・大桃山展

久しぶりに建仁寺の本坊を訪ねる.お目当ては開催中の大桃山展で展示されている海北友松の旧方丈障壁画.これらはふだん京都国立博物館に寄託されており,時たま平常展で展示される.今回は,これまでに見たことないものが出ているのではと期待していたところ,いずれも初めての見るものばかり.しかも友松作品についてはガラスなしでわりと間近に見ることができたので,とてもうれしかった.
大書院に展示してあった絵画は以下のとおり.

  • 海北友松《山水図》 紙本墨画・3幅
  • 海北友松《雲龍山》 紙本墨画・4幅
  • 海北友松《竹林七賢図》 紙本墨画・3幅
  • 狩野山楽《籬に菊図屏風》 紙本金地着色・6曲1隻
  • 狩野派《犬追物図屏風》 紙本金地着色・6曲1隻

このうち,海北友松の3作はいずれも旧方丈画.
建仁寺の方丈は安国寺恵瓊広島県・安国寺から慶長4年(1599)に移築したもので,友松は移築してから間もない頃にこの方丈に障壁画を描いたらしい.昭和9年(1932),方丈が室戸台風の被害を受けた際に軸装に改められ,京都国立博物館に寄託された.旧方丈障壁画の配置は以下のとおり.

海北友松旧方丈障壁画の配置
    北
  4│5│6│7
西─────東
  3│2  │1
    南
1礼の間[下間二の間] 雲龍図》 紙本墨画・8面(北側4面・西側4面)
2室中 《竹林七賢図》 紙本墨画・16面(東側4面・北側8面・西側4面)
3檀那の間[上間二の間] 《山水図》 紙本墨画・8面(北側4面・東側4面)
4衣鉢の間[上間一の間] 《琴棋書画図》 紙本着色・10面
7書院の間[下間一の間] 《花鳥図》 紙本墨画・10面(現在8幅)

展示されていたのは,1の雲龍図》8面のうちの4面(吽形−西側),2の《竹林七賢図》16面のうちの3面(東側南寄り),3の《山水図》8面のうちの3面(東側南寄り).
なお,友松の障壁画と入れ替えに,橋本関雪(1883〜1945)がこの方丈の障壁画を描いている.それが現在の方丈画になる.

建仁寺方丈障壁画の配置 
    北
  4│5│6│7
西─────東
  3│2  │1
    南
1礼の間 橋本関雪《生々流転》 紙本着色・襖8面(北側4面・西側4面)
2室中 橋本関雪《生々流転》 紙本着色・襖16面(東側4面・北側8面・西側4面)
3檀那の間 橋本関雪《生々流転》 紙本着色・襖8面(東側4面・北側4面)
4衣鉢の間 橋本関雪《伯楽》 紙本着色・8面(南側4面・東側南寄り2面・東側北寄り2面)
5裏の間 橋本関雪《深秋》 紙本着色・6面(西側北寄り2面・東側4面)
6裏の間 橋本関雪《蕭條》 紙本着色・6面(西側4面・東側北寄り2面)
7書院の間 橋本関雪《松韻(寒山子)》  紙本着色・8面(西側南寄り2面・西側北寄り2面・南側4面)

これら橋本関雪の現方丈画も見ることができた.ただし,方丈各室の外側からのぞきこむかたちだったので,場所によってはそれほどはっきりと見えない.
それでも,方丈南側の主要な3室に描かれた《生々流転》(「しょうじょうるてん」と読むらしい.横山大観の《生々流転》は「せいせいるてん」だったはずだが)などはなかなかいい.これは海の波の時々刻々と移り変わる姿を描いた作品で,特に2の室中西側と3の檀那の間の東側の表裏に描かれた雨の中の波の姿が印象的だった.
この他に,仏殿兼用の法堂「拈華堂」,その天井画,小泉淳作《双龍図》,方丈南庭「大雄苑」,茶室「東陽坊」,方丈北側の小書院と大書院の間の《潮音庭》など.それから,方丈北側の小さな建物(名称不明)の1室に田村月樵《唐子遊戯図》(障壁画)あり.また,小書院では中国茶の教室(?)が開かれていたのは,さすが建仁寺だなと.
【メモ】「建仁寺 大桃山展」 2006.10/20〜12/3 10:00〜16:00 拝観料500円 ※行事などのために拝観できない場合あり.