かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

瀬戸内国際芸術祭・豊島(甲生・家浦)他

高松港[高速船]→小豆島/土庄港[フェリー]→豊島/家浦港[バス]→甲生→030→028→E40→029→甲生[バス]→公民館前→019→018→017→016→家浦港→直島/宮浦(男木島経由)→001直島温泉(外観のみ)→ぶっかけうどん→宮浦[高速船]→高松港

第3日。第2日目までは、詳細にプランニングしていたのだが、3日は漠然と豊島を回って、あとは直島に渡り、行ったことのない直島銭湯で風呂に入って、帰るとするか、ぐらいのおおざっぱな計画しか立てていなかった。高松に来て、直島が月曜休であることに気づき、それではと、1日かけて豊島を網羅的に観るつもりだったが、これも読みがあまく、さらに予定を変更するはめになってしまった。
豊島に行く高速船は定員が少なく、また、直島が休館の月曜日は豊島に行く客が集中することもあり、乗船券/乗船整理券の確保がむずかしいようだ。高松港発7:41の便は15分前には整理券が終了していた。そのため、次の豊島直行便よりも早く着くということで、小豆島の土庄港経由で、豊島に向かうこととした。高速船で土庄港まで行き、そこで豊島の唐櫃港と家浦港を経由する宇野行のフェリーに乗船する。唐櫃で降りる手もあったが、バスの時間との兼ね合いで結局家浦までフェリーに乗り、そこで下船する。
家浦で、バスに乗り換える。芸術祭期間運行の町営バスで、1乗車200円。ただし、便数が少なく、特に甲生地区に行く際は注意が必要(甲生地区から唐櫃へ直接行くバスは1日に2本のみ)。島内の作品全部を見て回るのには綿密な計画を立てないとむずかしいだろう。豊島内の移動手段としては、電動自転車(4時間1000円。あとは1時間ごとに100円)もある。時間を気にせずに観覧・移動ができることを考えると、これを借りるべきだったかもしれない。島内はアップダウンが激しいのだが、電動自転車なら、そんなにきつくなさそうだ。(ただし、歩くことで見える景色もあるので、バス+徒歩も捨てがたい。)

豊島・甲生
030.マイク+ダグ・スターン/Mike & Doug Starn《Big Banbu》 展示場所の近くでバスの運転手さんが降ろしてくれた。遠く、樹上になにやらごちゃごちゃした構築物が見える。この作品は、30分ごとに行われるツアーに参加して樹上の作品に登るか、あるいは、下方から眺めるか、2通りの方法で観覧する。時間が気になり、はじめは下方から眺めることを選択するが、近づいたところで、はるか上の方に(18メートルほどの高さとのこと)作品らしきものがあること、そこからツアー参加者たちのなにやら楽しげな話し声が聞こえてくることしかわからない。正直なところ、あまりおもしろくない。どうやって登るのか?どうしてそんなに楽しいのだろう?それらのことが気になり、受付に戻って、結局、次の「乗船」ツアーに申し込む。この作品は、MikeとDougの双子のStarn兄弟が、ロッククライマーやとび職の方ら数人ととともに、主に竹(島内と九州から500本ほど切り出したとのこと)を材料に樹上に船を造った作品で、樹上の船までのアプローチも竹で組まれている。ツアーでは、ガイドの案内で、この樹上の船まで登り、そして、作品に「乗船」する。瀬戸内の海と島が遠望され、木々の海を「航海」しているような感じもする。見上げるとマストに大漁旗がはためいている。設計図に基づく、というよりほとんどフリーハンドで船は組み上げられたそうだが、そのいびつさやおおざっぱさが楽しい。遠目で見た時の木々の合間に設えられた異物のおもしろさ、というものもあるが、汗をかきかき、アプローチを登った後にたどり着く作品の姿はもう少し違ったものに感じられる。「船」上をそよぐ風がさわやかで気持ちよかった。

アプローチから見上げる

船上から見える海と島

竹の「甲板」

メインマストに大漁旗

028.塩田千春《遠い記憶》 島内から集めた多数の窓・建具を用いて、廃校になった小学校の講堂を貫くように作ったトンネル。前回の芸術祭(2010)の際に、作られたものだが、老朽化に伴い、今回が最後の公開になるとのことで、再訪した。確かに老朽化しているのかもしれない。前回観た時に比べると、重みに耐えかねたのか、それとも風雨のためか、少しゆがんでいるように感じた。たった3年だけど、それが時間というものの作用なのだろう。
廃墟から拾ってきた使い古された窓を用いて作品を作るのは塩田千春の主要な創作手法の一つである。本作ではそれが記憶の詰まった建物を貫いて、トンネル状に構築されている。そのことが、私を強くひきつけた。それは、子どもの頃、よく見たのSFドラマ「タイムトンネル」を思い出したということでもあるし、小学校の講堂というトポスの持っている喚起力に共鳴したということでもある。誰だって小学校に通い、体育館や講堂で過ごした時間というものはあるはずだ。もちろん、ここは私がかつていた具体的な場所ではないが、場所の類縁性が記憶を強く喚起するのだ。
横浜トリエンナーレ2001で塩田作品を初めて見て以来、これまで可能な限り塩田千春の展覧会に足を運んだが、この《遠い記憶》は、そんなこともあって自分の過去について内省する強いトリガーとなった作品だった。
そして、再びこの場でこの作品を見て、改めて人にとっての「過去」と「記憶」(「歴史」ではない)のありようを考えさせられた。そして、このことは犬島で観た維新派「MAREBITO」へともつながった。






当初は家浦15:10発の高速船で高松に戻るつもりだったが、乗船整理券の確保できなかった場合、飛行機に乗り遅れてしまう。また、整理券確保のために早くから列に並ぶのもばかばかしい気がする(家浦のチケット売り場のおじさんの話だと、事情の有無にかかわりなく、とにかく定員ですぱっと切る、とのことだった)。そこで、豊島美術館をあきらめ(その他は前回来たときにだいたい観ている)、予定を変更し、男木島経由で高松に戻ることにする。豊島美術館は、残念だが、またの機会にということにした。前回来たときはまだ工事中だったことを思い出す。あのときは少し離れたところから、ほとんど完成していた外観を眺めたのだった。
さて、天気はよく、涼風もあり、絶好のクルーズ日和。甲板で島々を眺めながら、40分の船旅を楽しむ。下船予定の男木島では高松行のフェリーを1時間待つことになるので、このまま、船の終点、直島の宮浦に行ってみることにする。

直島・宮浦
直島は全島ほぼ休館なので、この日は観光客が少なかった。港近くの大竹伸朗《直島銭湯》に行く。入浴できなかったのは残念だが、外観をじっくりと観覧できたので、よしとしよう。少し時間があったので、港前の喫茶店?で、ぶっかうどんを食らう。櫛形のレモンをしぼり食べる。えらくうまかった。


↑001.大竹伸朗《直島銭湯》外観 この夏・秋は大竹伸朗の作品ラッシュだった。2つの展覧会に、女木島の《女根/めこん》、そして、これは常設だが、この《直島銭湯》も。


↑最後は、草間彌生の赤かぼちゃ。

宮浦15:40発の高速船で高松に戻った。船内はがらがらで、貸し切り状態。新しい船でスピードも速い。後部甲板席にいた若者たちが途中でびしょぬれになって船内に入ってきた。25分ほどで高松に入港。
リムジンバスの時間を確認して、駅前のミスドで、コーヒーとオールドファッション。いつもの組み合わせ。
19:00過ぎに高松空港を離陸して、21時過ぎ、2時間ほどで自宅に到着。なにか拍子抜けのする感じも。
鏡を見たら、日焼けして、すごいことになっていた。