かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

「光琳アート」(MOA美術館)

尾形光琳300年忌記念特別展「燕子花と紅白梅」 光琳アート 光琳と現代美術」

事前に大変な混み様と知り、いささか尻込みもしたのだが、とりあえず出かけてみることにした。
8:20頃、熱海に順調に到着。もちろん青春18きっぷを利用。今のところ、雨も小降り。熱海駅前のファミマでおにぎり2個を買い、朝食とする。8:52のMOA美術館行のバスに乗るつもりだったのだが、8:30過ぎにバス乗り場に行き、乗車待ちのバスがすでにいたので、乗車して出発を待つ。どうも、時間通りの運行ではなく、適宜ピストン輸送という体制になっているみたいで、8:40頃、バスは出発。
9:00前には、あのエレベーターを延々と上がり、美術館入り口に到着。観覧客はぼちぼちいるものの、まだ混雑というほどではない。9:30オープンだと思っていたところ、すでに開いていている。混雑緩和のためかオープンを早めていた模様。おかげで、これからの1時間30分、じっくり思い通りに作品をみることができる。
光琳作品をメインに据えた琳派と、その系譜を引く、あるいは、コンセプチャルに下敷きとした現代アート作品を併せて展示するという展覧会。もちろん大目玉は、光琳の《紅白梅図屏風》(MOA美術館)と《燕子花図屏風》(根津美術館)を対面するように展示してあるところ。特に《紅白梅図屏風》は初めて生で観るので、いくぶん興奮を抑えることができない。初めて観る《紅白梅図屏風》は思っていたよりも小さく感じたが、一方で、両サイドの梅の木の枯淡な味わい、と思いきや、生命の艶っぽさを感じさせるその造形にぐっとくる。枝振り、というか、線の鋭さもいい。また、こちらは何度目かなのだが、《燕子花図屏風》の青の深さも絶品だったなと。この他にも、やはり根津美術館の《白楽天図屏風》や《四季草花図図巻》(個人蔵、額装4面のうちの2面を展示)など、見所多し。MOAのものばかりではなく、根津美術館の他、五島美術館や個人蔵の作品も多く、また、絵画ばかりではなく、工芸も多く出ており、見所が多かった。
現代アート作品では、とにかく杉本博司の2作が素晴らしかった。《紅白梅図屏風》を月夜の景に移し替えた《月下紅白梅図》や、根津美術館所蔵の国宝《那智瀧図》を、写真作品に置き換えた《那智瀧図》など、作品の洗練され尽くした完璧さ、いや、凄絶な生々しい存在感に感銘。《那智瀧図》の設えなど、もう美意識の極北といったものをまのあたりにするよう。
それから会田誠作品が、《美しい旗(戦争画RETURNS)》《紐育空爆之図(戦争画RETURNS)》《群娘図’97》と3作並んでいたのも、何かとてもうれしかったなと。福田美蘭宗達フランシス・ベーコンな《風神雷神図》もおもしろかった。
雨のそぼ降る中、光琳屋敷あたりもうろついた後、もう一度と思って、再び、会場入口に行くと、チケット売場に列ができ、入口付近の混雑も大変なことになっている。いささか、もう一度観ようかなという気分もくじかれて、あきらめて下山。エレベーター入口にたどり着くと、ちょうど熱海行のバスがいたので、それに乗っておとなしく熱海の駅に戻る。バス乗り場に長蛇の列ができていて、これまた凄いことになっていた。まあ、お目当てのものを、じっくり観ることができたので、早朝からがんばってきた甲斐があったなと。