かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

勝井祐二セッション with 石橋英子、山本達久、ジム・オルーク(新宿PIT INN)

出演:勝井祐二[vil]、石橋英子[p, fl]、山本達久[dr]、ジム・オルーク[ペダルスティールギター]


    ジム   山本
石橋            勝井
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      [客席]


※「新宿 PIT INN 50th Anniversary 勝井祐二 2DAYS」の2日目。

  • 50分、40分強の2セット。
  • 冒頭の、勝井のバイオリンの弦を擦る音、ジムのペダルスティールギターをバーで擦る音、石橋のフルートに息を吹き込む音、達久のドラムやシンバルをスティックの先で擦る音、これらの倍音に満ちた静かな音がゆるやかに混ざり合って聞こえてくるところの美しさは戦慄的だった。
  • なにせ、勝井、ジム、石橋とディレイ使いが3人もいるので、さまざまな音がさまざまなテクスチャーで、実際の楽器の演奏とは異なるタイミングで聞こえてくる。それも、一人で、いくつもの音の流れを作るので、そのテクスチャーの輻輳性に目がくらむ思い。前列で観ていたこともあって、ジムのヴォリュームペダルの繊細で微妙な使い方がおもしろかった。
  • 中央にジムがいるのだが、主に低音(ミニマルなベースライン)と、いかにもペダルスチールらしい音からストリングスのような音まで、さまざまにエフェクトされた音を、セッション全体の大きな背景となるように演奏している。しかし、油断していると、いつの間にか、背景ではなく、表側に噴出してくるところが曲者。石橋はフルート、またはピアノを使った演奏で、これもエフェクティブな音だが、ジムの縦糸に横糸を差し入れ、空間を織り上げる。ただ、それだけではなく、ピアノの音など、表層を美しく、リリカルに彩る。勝井も同様、ジムや石橋の音の織物に主にディレイを使った演奏で音の層を1枚、2枚と重ねていき、さらにその上に、時に激しく、時に繊細に色づけをする。
  • さて、山本達久である。このセッションのキーパーソンは、この人だった。強弱や遅速といったリズムを作り出すだけではなく、時に擦り、引っ掻き、さまざまな奏法で、全体をカラフルに立体化する。また、勝井とのデュオのシーンも冴えていた。
  • 全体が動静の波に沿った構成だったが、2ndセットの中盤から後半にかけて、山本がスティックをマレットに変え、リズムがゆったりとなり、少しトライバルな感じのするシーンがあった。ここが個人的には、今日一番のシーンだった。
  • ジムがアンプ出しではなく、PA直出しだったこともあり、前方席では、音量のバランスが今ひとつだったところもあったが、これは、後方席だと、ずいぶん違ったかもしれない。
  • カフカ鼾+勝井祐二といった趣のセッションではあったが、単なるプラスということでもなかったと思う。機会があったら、ぜひまたやってほしい組み合わせだ。
  • 余談。カフカ鼾+サックス、という組み合わせを聴いてみたい。できたら、あまりいっしょにやったことのない人で。一番観たいのは、マッツ・グスタフソンだけど、吉田隆一とか、観てみたい。あと、サックスではないけれど、カフカ鼾+Merzbowとか。これは無理か笑