かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

Asian Meeting Festival 2016 Day 1(スーパーデラックス)

ディレクター挨拶:大友良英
Set 1.フィオナ・リー(Filna Lee/香港)[モジュラーシンセ, electronics]+川口貴大[ヤンキーホーン, etc]
Set 2.スキップスキップバンバン(skip skip ben ben/台北)[ag, voice]+ピートTR(PeteTR/バンコク)[pc, voice]+大友良英[eg]
[休憩]
Set 3. ソンX(Son X/ハノイ)[perc]+ナタリー・アレクサンドラ・ツェー(Natalie Alexandra Tse/シンガポール)[古箏]+ユエン・チーワイ(Yuen Chee Wai/シンガポール)[eg with electronics]
Set 4. クリスナ・ウィディアタマ(Krisna Widiathama/ジョグジャカルタ)[electronics]+ヨン・ヤンセン(Yong Yandsen/クアラルンプール)[ts]+dj sniff(香港)[tt]

今年のアジアンミーティングフェスティバルは、国際交流基金のプロジェクトの対象国であるASEAN諸国だけではなく、東アジアの音楽家にも招聘が及んだ点が個人的な注目点(5年では無理かもしれないが、いずれ南アジアや西アジアへ広がって欲しい)。今回来日の東アジアの音楽家の3人(いずれも来日経験があるが)、フィオナ・リー、バンバンちゃん、(今日は出演していないが)オッキョン・リーが、東南アジアや日本の音楽家とどのようなセッションをするのか?というのが楽しみな点の一つであった。東南アジアからの音楽家も、未知の音楽家で、どのような音/音楽の演奏家なのか、ラジオやDOMMUNEで事前の紹介があったとはいえ、生で観たり、聴いたりするのはとても楽しみだ。
初日の今日は、例の「円形・リレーセッション」ではなく、3人ずつ、4組によるセットを4セット。
Set 1. 最初のセットは、いわゆるサウンドアーティストの2人によるセット。フィオナのテーブルの上には、モジュラーシンセ、電磁コイル、ミキサーなど。足下に蛍光灯?が1台、中央後方にもう1台がセットされている。電磁コイルの上にガラスのボウルと金属製のボールを入れてからから回したり、ガラスのボウルに水を入れ、さらに小ぶりのボールを入れて、小ボウルを動かし、水の音を出し、それらを(コンタクト?)マイクで拾う。2基の丸い蛍光灯は、点滅させ、その点滅音を適宜アンプリファイさせ出していた。一方の川口のテーブルには、コンプレッサーや小さなエレクトロニクス類が置かれ、スタンドを使って、ヤンキーホーンがいくつも立てられている。この他に、大きなビニール袋が中央後方、蛍光灯の前にセットされている。このビニール袋を膨らませ、その上に、振動系のエレクトロニクスやスマホ?を置いて、音を響かせたり、光をビニール袋越しに反射させるなど。後半には、座っていた椅子をさかさまにテーブルの上に置き、テーブルを振動させ、機材ともども落とすなど、川口らしい展開もあり。おそらくフィオナは普段はもう少し小さな音によるパフォーマンスを行っていると思うが、川口(のヤンキーホーン)とのデュオということか、少し音量高めのパフォーマンスだった(逆に川口は音量小さめ)。ちなみにフィオナは2014年にサウンドアート系のイベント(音のある芸術祭2014「アートキャンプあみの」)で来日している。
        光2
    ビニールの布団袋
フィオナ          川口
  光1
=====================
        [客席]

Set 2.スキップスキップバンバンはピックアップ付きのアコギとヴォイスで、足下にセットされたSpace EchoやLoop Stationを繋いで使用。ピートTRは、モーラムで使うピン(3弦のギター様の楽器)にピックアップをつけてエレキ化したものや、同じくモーラムで使う笙のような楽器、ケーン、ヴォイス(舌打ちのような音がわりと多用されていた)、テーブル上にPC、ミキサーなど。大友はいつものセット。大友のE-Bowを使ったメロディアスなギターにバンバンとピートがヴォイスやギターの加工音を乗せていく感じで始まる。大友は、中盤以降、二人の出方を見つつ、ギターの刻みで、演奏の背骨を作っていく感じ。バンバンは終盤はエフェクターの前にしゃがみ込み、シューゲイザー(といっても、最近はそれほどシューゲーザーではないけれど)としての面目躍如!?。バンバンちゃんも来日経験あり(歌ものでのツアー)。

Set 3.ソンXのトラディショナル・パーカッション、タンバリンのような太鼓や鉦類をテーブルの上にセットし、指先で繊細なリズムを作り、シンプルにマイクで音を拾う。また、鉦に大小の鉄球(パチンコ玉様)を入れ、それをかき回して出していた音も印象的。ナタリーは、古箏(小ぶりの箏)に各種エフェクターを通して音を出していた。箏にコンタクトマイクを取り付けていたようだ。エフェクトは主にリバーブ系が中心。通常の演奏方法の他、マレットで弦を叩いたり、弓弾きしたり。箏を調弦する器具(調音棒)で弦の端を引っ掻いたりした音などが印象的。チーワイはエレキギターと各種エレクトロニクスを組み合わせた演奏。ノイズ寄り。引っ掻く系統の音などが目立つ。全体的に、静謐なアジアオリエンテッドアンビエントという感じ。

Set 4.クリスナはノイズ・エレクトロニクス。ヤンヨンセンはテナーサックス。そして、スニフはターンテーブル。クリスナはなるほど鋭くクリアなノイズを放出していたが、音量的にはアンサンブルを重視したか、小さめ(で、オレ的には物足りない)。ヨンセンは最初こそ普通にフリージャズ風にブロウしていたが、早々にマウスピースを外すなどの変則的な奏法に移る。これがとてもおもしろかった。スニフはいきなり高速かつラウドにガツンときて、おお!さすが!と思わされたのだが...早々に機材トラブルがあり(クロスフェダーが折れたとのこと)、100%の演奏が出来なかった模様。4セットの中ではいちばんスピード感のあるセットだった。
初日でお互いが充分に知り合っていないという前提があったのか、プロフィール的に親和性のある組み合わせの4セットだったと思う。アジアの未知の音楽家を知る、という点ではよかった。ただ、演奏がどこか手探りの印象もあり、各音楽家の持っているポテンシャルが出きっていないおとなしい感じも多分にあったが、それはそれとしても、なかなかおもしろ演奏を聴くことができた。