かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

市原

  • 来年春開催の第2回いちはらアート×ミックスの予行演習的なイベント、アートいちはら2016春が開催されるということで、第1回のアート×ミックスを見逃したこともあり(テニスコーツのライブに行こうと思っていたのだが、寝坊した。ダメダメである)、どんな感じだったかなという好奇心もあり、ちょっと覗いてきた。併せて、一度訪ねてみたかった市原湖畔美術館(アートいちはらのプログラムの一部になっている)にも行ってきた。天気がよく、爽やかな風も吹き、まさに行楽日和と言えそうな1日だった。

  • アートいちはら2016春は、里山など南市原の自然を背景に、廃校をリノベした施設や第1回いちはらアート×ミックス(2014)を契機に作られた施設/作品などを周遊して回る(一応)地域アートのイベント。観覧ポイントは、小湊鐵道の沿線に散在し、自家用車、または、小湊鐵道+無料周遊バスを利用して回ることになる。現代美術/アートに関しては、全体的にはこれといって目だったキュレーションはなされていなかった。運営は、地元の方々によるもので、受付回りをはじめとして、なかなか細かいところまで配慮されていて、気持ちよかった。また、地元の方々による、地元の食材を使ったカフェやレストランなども、イベントに合わせて、オープンしていた。入場パスポート500円が便利(市原湖畔美術館の入館料が100円引きになる)。来年春に開催予定の第2回いちはらアート×ミックスのプレイベント的な催し、といったところか。

主な会場:IAAES[旧里美小学校]○、内田未来楽校[旧内田小学校]、月出工舎[旧月出小学校]○、アートハウスあそうばらの谷○、森ラジオステーション○、市原湖畔美術館
○印は今回行ったところ。

  • 最寄りから内房線五井駅まで移動し、ここから小湊鐵道に乗車する。何回も乗り降りするので、1日フリー乗車券1800円(五井-養老渓谷の片道運賃が1250円)を利用した。小湊鐵道は何度か乗ったことがあるが、前回は確か高校生の頃、上総牛久に住むD君を訪ねたときだから、もう40年ぐらい昔の話だ。その頃は、日本一運賃が高いと言われていたのを覚えている。最初の目的地は養老渓谷。ここも高校生のときに友人数人と遊びに行って以来だ。列車の便数が少なく、適当な時間に直通の列車がなかったので、上総牛久まで行き、ここで「里山トロッコ列車」に乗り換えて、養老渓谷まで行くことになる。7:55発の一両編成の列車で上総牛久まで。8:22到着。ここで、乗り換え。里山トロッコ列車蒸気機関車を模したディーゼル機関車が牽引する観光列車で、2両が普通車、2両が展望車(天井や窓がない)の4両編成。乗車には乗車券の他に整理券(500円)が必要。これはネットや電話で予約が可能。2日前にネットで予約したのだが、GW中ということもあり、展望車は売り切れていた。椅子が固く、乗り心地は悪い。上総牛久から養老渓谷までは、ふつうだと40分弱ぐらいで行くが、この観光列車は時速30キロメートルで1時間かけてゆっくりと行く。ガイドさんが乗車しており、沿線について、いろいろと解説やエピソードを話してくれた。乗客のほとんどは家族連れだった。9:30、養老渓谷駅に到着。乗客の中にも何人かいたが、沿線の要所要所に、撮り鉄多し!


この電車に乗って、上総牛久まで。2両編成で到着したが、1両切り離され、1両編成での運行。

この機関車(蒸気ではなく、実はディーゼル)が、トロッコ列車を牽引。

  • ここからは歩いて、最初の目的地、アートハウスあそうばらの谷に向かう。養老渓谷駅から徒歩で10分ほど。古民家をリノベした施設で、ここで、鈴木ヒラクの、反射板を使った作品が展示。観覧中に、オフィシャルが我が物顔で写真を撮っていて、たいへん鬱陶しかった。観覧後、乗車予定の列車まで、時間があるので、少し周囲を歩いてから駅に戻る。


この展示がいちばんのお目当て(だったのだが、作品が1点だけだったのが、ちょっと寂しい...)。

青空を背景に、棕櫚の花。

藤の花も今を盛りに咲いていた。この他にも、野の花がそこかしこで咲き誇っていた。

田植えの終わったばかりの田には、無数のおたまじゃくし。

駅に戻ると、少し時間があったので、浅蜊のたっぷりと入ったおいなりさんを買って、食らう。2個で200円。

  • 養老渓谷駅10:55発の3両編成で、里見駅まで戻る。11:13着。ここで、無料周遊バス(もちろん、小湊バス!)に乗り換え。11:20発、7分ほどで、IAAES・旧里美小学校へ。作品展示としては、ここがメインの会場。教室数室で、作品やワークショップの記録の展示が行われている。展示作品は第1回いちはらアート×ミックスに際して制作された作品、また継続的制作されている作品。展示の他にも、期間中はWSも多く行われるようで、訪問時には、校庭で「おにぎりのための運動会」が開催されていた。角文平の作品を観て、ああ、この人、2013年の男木島で観たな、と思い出すなど。

出品作家:水内貴英、吉田和司、栗田宏武、小沢敦志、豊福亮、角文平、渡辺泰子、レオニート・チシコフ、里山有志連合+中粼透(展示ディレクション)、石原写真愛好者、下道基行(ワークショップ記録展示)


楽しく運動して、地元のお米で作ったおにぎりを食べる、というイベント。

5月の風が気持ちいい。

  • 12:22発の周遊バスで次の目的地、月出工舎に向かう。12:39着。バス停から少し歩いて、会場へ。会場は旧月出小学校で、廃校になった校舎をリノベして、ギャラリー、工房、宿泊施設などになっている。今回の、アートいちはらでは、ギャラリースペースで、小野耕石のシルクスクリーン作品などが展示されていた。また、会場をクイズに答えながら回るようになっていた(全問正解すると、缶バッチがもらえたのだが、殊の外、難しく、歯が立たなかった笑)。



工舎の裏山、緑が美しい。

校庭のいちょうの大木。要所要所にいちょうの大木が見られた。

バスの停留所ちかくの案内板。鶴舞青年の家って、確か小学5年生の時の林間学校...遠い目...(現状は廃止されているようだ。)

  • 13:49発の周遊バスで、次は、市原湖畔美術館へ。14:07到着。市原湖畔美術館は、もともと1997年開館の市原市立美術館「市原市水と彫刻の丘」を、2013年8月にリニューアル・改称オープンしたもので、改修設計は有設計室/川口有子+鄭仁愉が担当した。名称の通り、高滝湖の湖畔にある。美術館建物内外の(新旧の)コミッションワークの彫刻作品の他、常設展や、年に数回の企画展が開催される。今回は、おおたか静流藤本隆行による企画展「くらやみ美術館」が開催中だった。アートいちはらのパスポートで入館料が100円割引きの500円になった。敷地内は無料で利用でき、美術館とは、別棟になったイタリアンレストランは行列ができていた。


「藤原式揚水機」(展望塔)から美術館を眺める。



駅舎内に、猫の家があったが、不在だった。

  • 月崎駅には、森ラジオステーションがある。これも、2014年の第1回いちはらアート×ミックスのときに制作された作品で、木村崇人による、かつての鉄道保線員の詰所小屋を苔と山野草で覆ったもの。




  • タイミングを失って、まともな昼食を食い損なっていたのだが、駅前のコンビニ?というか、よろず屋があったので、ここでパンを買って食らって、空腹をごまかす。月崎駅16:42発の3両編成に乗車。時間が時間なので、養老渓谷からの帰りのお客で混んでいるかな、と思ったら、予想通りに混み合っていた。なんとか座れたので、終点の五井まで爆睡。無事に帰宅。
  • 第1回いちはらアート×ミックスは、いまいち評判がよくなかったけれど、ちょっとネットを検索する限りは、運営や広報面についての悪評が主だったようだ。アートいちはら2016春について言えば、未だネットでの情報出しについては、弱い、感は否めないが、実際に出かけてみて、運営については、不備不満はほとんど感じられなかった(100点満点じゃないのは、最初に行ったところの、あれ)。まあ、よかった、と思う。ただ、オレ的には、そんなことは二の次で、やはり、そのとき、その土地、その作家でなければ、不可能な「凄い」表現と出会えるかどうかが、いちばん大事なこと。来春、そのような作品/出来事に出会えることを楽しみにしたいと思う。(はたして、そのための準備は行われているのだろうか? ただの周遊のための「餌」は要らない。のだが。)