かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

鶴岡


車窓越しに撮ったら、色味がなんだか変。

  • 鶴岡アートフォーラムで開催中の三瀬夏之介展/東北画は可能か?を観に行ってきた。いささかスケジュール的にきつく、一度は行けないなとあきらめもしたのだが、結局、出かけることにした。せっかく鶴岡まで行くので、酒田まで足を延ばして、以前から一度行ってみたかった土門拳記念館にも立ち寄ることとした。土門拳記念館は、谷口吉生建築である。
  • ただ、あまり予算がないので、青春18きっぷと部分的に新幹線をからめて行くことにした。割と直前に買ったのだが、新幹線はトクダネ15、トクダネ10が使えた。土日なら、今回の予算枠とたいして変わらない週末パス+新幹線という手もあったが… 今回はこの手で行くことにした。
  • 最寄りから高崎まで18きっぷで行って、高崎-新潟間を新幹線利用、新潟ー鶴岡/酒田間は、ちょうど運行日だったので、往復「キラキラうえつ」という快速列車を利用した。まあ、新幹線は、東京-新潟間でもよかったのだが、高崎までは列車の本数も多いし、多少は安くなるし、時間はかかるものの、18きっぷを使った感じも増すし笑…ということで、新幹線は高崎ー新潟間で利用。キラキラうえつは、ダイヤをチェックしているときに、初めて知った。新潟ー酒田間を走る観光列車で、乗車券+指定席券で乗車できる。もちろん、18きっぷでも乗車可だ。特急と比して、時間もそれほど変わらない。指定席券も取れそうだったので、キラキラうえつに乗ることにした。 >キラキラうえつJR東日本
  • さて、最寄り始発で高崎まで。東京5:53→7:48高崎。車中は爆睡、気づいたら終点の高崎だった。ここで上越新幹線に乗り換える。念のため、乗り換えに少し時間に余裕を持たせたが、定時に到着すると、待ち時間が微妙に空いて、それはそれで退屈する。やむなく弁当を買って、朝食とするなど。出だしからダメだ苦笑 新幹線は、とき357号、高崎8:28→9:38新潟。乗車すると、車内はほぼ満員だったが、2/3くらいは次の越後湯沢で降りていった。ああ、フジロックの日だったのね。新潟には時間通りに到着。駅前のロでアイスコーヒーとド。あまりいい展開だはないな苦笑
  • 新潟から鶴岡までは、キラキラうえつに乗車。新潟10:13→12:52鶴岡。この日のダイヤは、マリンダイヤという特別ダイヤで、途中、桑川駅で15分停車する他、笹川流れと呼ばれる海岸線の景色を見せるために徐行するなど、観光客向けにいろいろ趣向を凝らしている(なので、通常より30分ほど時間がかかる)。なお、海側の席は、上り下りとも、A席なので、指定席を買うときは要注意。


キラキラうえつ。新潟駅にて。4両編成。

車内はこんな感じ。

運転席から前方を望む。

展望スペースの窓外。1両目前方といちばんうしろの4両目後方に展望スペースがある。

2号車がキラキララウンジ車両といい、売店や飲食物を買った人が使えるテーブル席などがある。この沿線解説システムも同車両にあった。

  • 新潟を出ると、阿賀野川を渡り、しばらくすると、次の停車駅の豊栄。豊栄までは一度来たことがある。福島潟に行ったのだった。駅から40分ぐらい歩いたか。などと回想モード。豊栄から先は初めて(だと、思う)。
  • 新発田を経て、村上を過ぎたあたりから、ぼちぼち海べりを走る。先述のように、桑川駅で15分ほどの停車。地元の方々がホームに出て、接待してくれる(名産の塩やお菓子などをいただく)。ゆるキャラもいた。駅を降りてすぐの海岸まで出てみる。ちょっと曇りがちで、蒸し暑い。列車の方は、ここからしばらくは、徐行運転、あるいは停車して「笹川流れ」の風景をじっくり見せてくれる。奇岩に目を驚かされたが、海岸には、海水浴客やキャンプ客が大勢いて、列車に向かって手を振ってくれる。こちらも振り返す。笹川流れは、来てみるまで全然知らなかったのだが、帰宅後調べてみると、桑川からは遊覧船も運航していて、海側からも見学できるらしい。ちょっとおもしろそうだ。機会があったら、乗ってみたい。12:52、定刻に鶴岡駅に到着。ここで下車する。


桑川駅前から日本海を望む。向こうに見える島は、粟島。

桑川駅には、道の駅「笹川流れ 夕日会館」が併設されている。

村上市ゆるキャラ「サケリン」が来ていた。

桑川駅跨線橋から。

鶴岡駅駅名標。キラキラうえつの停車駅は、キラキラ仕様になっていた。

  • 鶴岡での目的地は、鶴岡アートフォーラムなのだが、その他の観光地も市役所、あるいは鶴岡公園の周辺にある。ただ、鶴岡駅からは少し距離がある。観光客向けの無料レンタサイクルもあったが、利用時間の関係で、今回はバスを利用することにした。ただ、バスの本数が少ないので、乗り過ごしたりすると、大変な目に遭う。事前に調べておいたとおり、駅前の①乗り場から庄内バスの湯野浜温泉行き13:02発に乗車する。バスはあっちへ行ったり、こっちへ曲がったりするので、土地勘がないこともあり、いささか不安になるが、10分強で、目的地の致道博物館バス停に到着。270円。一つ前の市役所前だと、210円。ちょうど料金が変わった。
  • 以下、ざっと観光。致道博物館700円→鶴岡公園/鶴岡城跡/庄内神社/大宝館→史跡旧致道館、と回る。2時間弱。本来なら、最初に、鶴岡フォーラムに行くべきだが、こちらは金・土は18:30まで展示が観られるようなので、早い時間に閉まるところを先に回ることにした。
  • 致道博物館は、ちょっとかっこよく言うならば、博物館・美術館コレクティヴみたいなところで、移築された明治期の洋風建築建築、古民家や考古資料、民俗資料、そして、美術作品の展示が行われている。特に全体的なキュレーションがあるわけではないが、建物も含め、ここの展示(中でも民俗資料)、なかなか興味深い。船(何艘も展示されていた。来週行く海の博物館の予習!?)を含む漁具や、作成のための道具を含むくりものの展示など。
  • 鶴岡城趾である鶴岡公園には、庄内神社や護国神社がある他、鶴岡市藤沢周平記念館(藤沢周平鶴岡市出身)や大宝館がある。藤沢周平記念館は今回はパスしたが、大宝館には入ってみた。大宝館は1915年(大正4)に建てられた洋風建築で、物産陳列場などに利用された。現在は、鶴岡にゆかりの文化人などの業績を資料や解説パネルなどで紹介していた。
  • また、公園の南東の一角では、大宝館の展示でも大きく扱われていた高山樗牛の胸像が、墓碑・文学碑とともにに設置されていた。朝倉文夫の作だ(と、銅像ウォッチが最近ブームのオレはにわかに色めき立つ笑 なお、同じ胸像が、静岡市の龍華寺の、樗牛の墓所にもあるようだ)。今の若い人って、高山樗牛って知っているのかな? 高山樗牛あたりは日本文学史に出てくるから、名前ぐらいは知っている人も多いだろうが、彼の文章を読んだことはあるのかな? では、田沢稲舟(たざわいなぶね。山田美妙の妻で、明治前期の女流小説家。1874年〜1896年、23歳で没す)はどうかな? この人も、樗牛同様、大宝館の展示で紹介されていたのだが… 鶴岡駅まで戻る途中、内川の端に、その田沢稲舟の胸像と記念碑があった。稲舟の生家前とのこと。少し傷んでいた。稲舟のことを知っている人など、今では、一部の研究者や文学愛好家を除くと、もう誰もいないのかもしれない…などと。


高山樗牛の胸像、墓碑(胸像の前の石碑)、文学碑。1973年(昭和48)、社団法人庄内文化財保存会によって、それぞれ別々の場所にあったものが、改めてこの場所にまとめられた。(解説板による)


高山樗牛の胸像は、静岡県の樗牛顕彰会が鶴岡市の依頼で2基つくり、1基を菩提寺である静岡市の龍華寺に、もう1基を鶴岡市に設置した(1951年[昭和26]12月24日の樗牛命日に設置)。作者は朝倉文夫。(解説板による)

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樗牛胸像のある広場から道を挟んで反対側の広場に、《阿部武雄顕彰碑》があった。阿部武雄(1902〜1968)は、鶴岡市出身の作曲家。「国境の町」、「関の弥太っぺ」などを作曲した。顕彰碑の制作は加藤豊。(この項、2020.8.15追記)

  • 続いて旧致道館へ。致道館は、庄内藩九代酒井徳忠(ただあり)が文化2年(1805)に創設した藩校で、徂徠学の系譜を引く儒教教育を行った。聖廟(孔子を祀る廟所)、講堂、御入間などの遺構が残っており、建物の中では藩校の歴史や教育などについての展示を観ることができる。致道館の名称は、論語の一節「君子学ンデ以テソノ道ヲ致ス」に由来するとのこと。


  • この後、いよいよ本日のメインイベント、鶴岡アートフォーラムへ。金土は18:30まで開館だったので、17:00過ぎまで2時間ほど観覧する。鶴岡アートフォーラムは、小さめの美術館であるが、併せて鶴岡市民の交流の場としたいとの思いから、この名称になった模様。大きな展示室は、1Fと2Fにそれぞれ1室あり、この他に、1Fに所蔵コレクションを展示する小さめ展示室や展示も可能な回廊などがあった。観覧後、館内のカフェ(というか、喫茶コーナー)で一休みしようと思ったら、こちらは17:00で終わりだった。失敗。途中で、休憩をはさめばよかったなと。



  • 帰りもバスに乗ろうかと思っていたのだが、バスまで間があり、またどこかで夕飯を食べたかったので、少し距離はあるが、駅まで歩いてみることにした。内川沿いなどの道をのんびり歩く。ただ、メシが食えそうなところを見つけられず(飲み屋はたくさんあったのだが)、結局、鶴岡駅まで。さらに、めんどうになり、今日の宿泊地の酒田へ移動。18:50発の酒田行き各停に乗る。

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内川。少し先に見える橋は千歳橋といって、彫刻家・富樫実によるもの。富樫実(1931〜2019)は、旧・山形県の旧・櫛引町(現・鶴岡市)出身の彫刻家。市内に多くの作品が設置されている。が、このときは覚醒以前なので、全く見ていない。この千歳橋もたまたま写っていた写真を見つけたので、こうして追加掲載した次第。>参考:空にかける階段 彫刻家 富樫実  (2020.8.15追記)

  • 19:26酒田駅到着。さすがにスーパーは見つけられず、コンビニで飲み物などを買い出して、駅近くのホテルにチェックイン。今回、宿泊するのはα-1酒田。6Fの部屋だった。普通のビジネスホテルで、Wi-Fiもあり、特に難もなし。疲れ切ったので、風呂に入って早々に寝る。


酒田駅にて。