かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

酒田


出羽大橋の東詰から最上川河口方面を望む。

  • 8:00前に起床。身支度をして、チェックアウト。予報では、降水率が高く、いまいちな感じの天気だったので、少し迷ったのだが、結局、自転車を借りて、市内を回ることにする。酒田市では観光客向けにレンタルサイクルの無料貸し出しを行っている。今回、宿泊したα-1酒田もそのステーションになっているので、ここで自転車を借りることにした。9:00〜17:00が利用時間なのだが、少し早かったものの貸し出してくれた(これも頭にあって、駅前の観光案内所ではなく、ホテルで借りることにした)。が、自転車に乗って、出発すると、ぽつぽつと雨が降り出す… 困った。まあ、なんとかなるさ。近くのコンビニで、朝食にサンドイッチを買って食らう。ついでに、電波をひろって、ネットをチェックする。特に何もなし。9:00になったところで、すぐ近くの本間美術館へ向かう。


SAKATA 稲妻号!

  • 本間美術館は、酒田の大地主本間家が収集した美術品を主に保存・展示する美術館(「公益財団法人 本間美術館」が運営)で、年に数回企画展を開催する。2室の展示施設のある美術館の他、庭園の鶴舞園(かくぶえん)と清遠閣がある。(というか、庭園内に美術館を併設した、なのだが。)


本間美術館。


鶴舞園。

清遠館。

  • さて、開館70周年特別展「江戸絵画の魅力」である。江戸時代16〜17世紀の狩野派琳派に始まり、18世紀後半の応挙や若冲蕭白、芦雪といった奇想派、さらには18世紀後半〜19世紀の文人画や洋風画まで、浮世絵を除いた江戸絵画の主要な絵師の絵画が集められた展覧会。出品は主に掛軸を中心とした小品で、本間美術館所蔵と個人のものを中心に、若干の他館所蔵を加えての展示。各絵師1、2作ずつであったが、これまで観たことがないものがほとんどで、しかも興味深いものも多く、思っていた以上に楽しめる展覧会だった。若冲は晩年期の鶏を描いた水墨と淡彩の2作(ともに個人蔵)、蕭白は《東方朔・西王母図》[個人]と《雑画巻》[本間美術館]、芦雪は《四睡図》[本間美術館]と《狗児図扇面》[本間美術館]が出ていた。若冲の弟子の若演も1作出ていた(《鶏図》[本間美術館])。鶏を描いたものだが、○だの◇だの△だのが重ねられたような変な造形の変な絵だった。おもしろかったのは、応挙の《虎皮写生図》[本間美術館]、虎の皮を写生した実物大?の写生図1図と、小さく移した写生図3図、それらをもとに描いた?水墨の虎図が2曲1隻の屏風に貼り付けられたもの。写生図は迫真の出来映えだが、虎図はやっぱりどことなく可愛くなってしまっている。虎と言えば、岸駒の《猛虎図》[本間美術館]も出ていた。これは、どこかでみたことがある。確か、本美術館のものは着色画だが、水墨画バージョンもどこかにあったはず。
  • 続いて、庭園の鶴舞園を一回り。池泉回遊式の庭園で、起伏に富んで、歩いていてなかなか楽しい。鳥海山を借景としているそうだが、残念ながら、雲がかかっていて、山頂は隠れて見えなかった。この庭園は、本間家の四代、光道が、文化10年(1813)に築造したとのこと。時節柄、花は少なかったが、花の季節、あるいは、雪の季節に再訪したいなとも。また、庭の一角には、清遠閣という2階建ての建物があり、中を見学できた。茶道具、陶磁などの展示があり、また、ゆかりの品を売る売店も併設されていた。清遠閣の2階からの眺めも滋味のあるなかなかいい感じだった。


  • さて、本間美術館を出てみると、ありがたいことに雨は止んでいる。しかし、蒸し暑い。いささかたじろぐ。大丈夫か、オレ? これから長駆自転車で走るのだが。ええい、ままよ、自転車にまたがり、本間美術館から4kmぐらい離れた土門拳記念館へ向かう。自転車はママチャリで変則ギアもないので、ちょっとあれな代物だが、乗り心地は悪くない。
  • 10分ほど走ると、道筋に山居倉庫が見えてきた。少し立ち寄ることにする。酒田港から積み出される庄内米の保管のために、明治26年(1893)に建てられた倉庫とのこと。


山居倉庫。

倉庫の屋根は湿気防止のために二重屋根になっている。背後には欅並木があり、日差しを遮り、倉庫内が少しでも高温にならないようにしている。

  • 再び、土門拳記念館を目指す。最上川にかかる出羽大橋を渡り、道を左に折れ、東北公益文科大学の学生居住棟の近くを抜け、飯盛公園内の土門拳記念館に到着。館に向かう前に、自販で冷たい飲み物などを飲んで一休み。桃ネクターなぞを飲もうと思ったのだが、暑さに錯乱して笑、自販のボタンを間違って押し、レスカを飲むことに苦笑
  • 土門拳記念館 酒田出身の土門拳が、1974年(昭和48)に酒田市の名誉市民となったことを受け、約7万点の全作品が市に寄贈された。その写真を収蔵・展示する施設として、1983年に開館したのが、この土門拳記念館(正式には「酒田市写真展示館 土門拳記念館」)。設計は谷口吉生/谷口建築設計研究所で、中庭の彫刻《土門さん》をイサムノグチ、エントランスの銘板を亀倉雄策、造園設計などを勅使河原宏が担当した。一応、オレ、谷口吉生建築のファンなので、長らくここに来たかったのだが、なかなか機会がなく、やっと来ることができて、いささか興奮気味笑 さて、展示は、主展示室の企画展示室Iでは、特別展「土門拳と18人の写真家が捉えた昭和のこども」展を観ることができた。戦前から戦後、高度成長期にかけての、こどもたちの姿を、土門拳や同世代の写真家たちが活写したもの。また、企画展示室IIでは「勅使河原蒼風 その人と花」が併せて開催中だった。土門拳亀倉雄策勅使河原蒼風はたいへん仲がよかったとのことで、生前に3人展をやってときに出品の蒼風によるオブジェも常設展示されていた。


拳湖(人造池)の向こうから土門拳記念館を眺める。

水と緑に映えて、美しい。

入口付近。



石が敷かれた中庭には水が流れ、イサムノグチの彫刻《土門さん》が設置されている。

  • 続いて、酒田市美術館へ移動。たいした距離ではないが、上り坂でしんどい笑 10分ほど。
  • 酒田市立美術館 展覧会は、夏休み仕様のこども向けの展示で、オレ的にはあまり観るべきものはなかった。地方自治体の多くの美術館同様、地元ゆかりの作家の作品が収集・保存されており、中でも、彫刻家の高橋剛(1921〜1991)と、地元経済界の大立て者の新田嘉一寄贈による「新田嘉一コレクション」が柱となっている。高橋剛のブロンズ像(野外にも3体、バレリーナのブロンズ像あり。バレリーナは高橋の代表的なテーマ)の他、常設展示室では、洋画家の森田茂(1907〜2009)の黒川能をテーマにした絵画が展示されていた。この美術館、どうも導線がいまいちで、奧へ奧へと展示室を観覧しつつ進むのだが、帰りはまたもとの道を辿りなおさなければならない、というのがちょっとなんだかなだった。導線中に何ヶ所か庭に出る出入り口があったものの、すべて使用不可だったのも残念。最後に、駐車場の方から、庭に出てみる。雲がかかっていて、見えなかったが、鳥海山が一望できるようで、なかなか広々とした気持ちいい場所だった。


酒田市美術館。森と草地に囲まれて、建物が長い廊下のように連なっている。草地の緑が美しかった。

安田侃《翔生》

  • さて、再び自転車に乗って、戻る。出羽大橋を渡ったところで、道を適当に折れて、日和山公園を目指す。はたして無事に行き着けるか笑 港沿いを走り、なんとか行き着く。行き着いた先は、日和山公園第三駐車場とある。周辺地図もあったので、これを見るに、どうも第二駐車場の方がよさそうなので、移動することにする。が、ここで、道に迷い、しばらくうろうろとするなど。まあ、なんとかたどり着く。
  • 日和山公園。芝地で少しひっくりかえって、休憩。少し日差しは強かったが、気持ちがいい。


第二駐車場近くに松尾芭蕉銅像があった(作者は日下部幸四郎)。この他にも、公園内には、高橋剛による河村瑞賢像などの銅像や、歌碑、句碑、文学碑がたくさん設置されていた。

旧酒田の灯台山形県指定文化財)。木造六角洋式灯台。1895年(明治28)最上川左岸河口に設置。1958年(昭和33)に近代灯台ができたため、この地に移築保存された。

展望台から最上川河口方面を望む。

浄福寺の唐門(酒田市指定文化財)。帰り道で見かけたので、立ち寄った。軒の彫刻・浮彫など、おもしろい。

  • 一応、これで目的を果たしたもあり、いささか疲れもしたので、他の観光地は(通りかかったけれど)パスして、ぼちぼち駅に戻る。で、振り出しの、コンビニでアイスクリームなどを食らって身体を冷やしてから、ホテルに自転車を返却。列車の時間まで、酒田駅に待合室で時間を潰す。これが、クーラー効き過ぎで、寒い。
  • 帰りは、快速キラキラうえつで、酒田16:11→18:32新潟。帰りは、あまり観光案内もなくさくさくと進む。海側窓席だったが、西陽が思っていたよりきつく、あまり海を眺める余裕がなかった。上り列車のこの時間は山側でもいいかも。新潟で、ドとコーヒーを仕入れ、高崎までは新幹線に乗車。とき344、新潟18:56→20:09高崎。高崎からは、再び18きっぷ利用で、高崎20:36→22:00赤羽22:04→22:20東京→最寄りと乗り継ぐ。23:30頃、無事に帰宅。でも、電車、飽きた笑


酒田駅

帰りも、キラキラうえつ号に乗車。


夕食に、キラキラうえつ号の名物!?のお弁当を食べた。「キラキラ弁当」、1080円。最後の1個だった。あぶない笑

  • 鶴岡・酒田は漠然と遠い、という印象があり、おいそれと行けないのでいたのだが、実際出かけてみるとそれほど「遠い」わけでもなかった。交通費の方も、週末パスなどを利用すれば、それほどでもないなと。機会があったら、寒い時期に、また行ってみたい。