かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

富山

  • 今回は、以前から気になっていた富山県美術館と富岩運河環水公園に行くのが第一のお目当て。美術館には旅行初日の水曜日に行くつもりだったのだが、富山県美術館は水曜休館で、月曜休館と思い込んでいたオレの大失敗。そのことは、行く前に気づいたが、いろいろと手配済みだったので、日程は変えずそのまま行くことにした。ただ、屋上庭園の「オノマトペの屋上」は無休で夜遅くまで開いているようなので、水曜日に一度、美術館を訪ねることにし、翌日の午前中、短時間ながら、今一度訪ねることとした。(建物とロケーションに興味があったものの、展覧会自体はそれほど気になっていたわけでもない、というのもあった。)また、今年は白山開山1300年とのことで、いくつかの博物館で関連の展覧会を開催している。このうち、白山市立博物館と小松市立博物館の展覧会に立ち寄ることにした。今回の旅行は、阪急交通社のフリープランのツアーを利用した。料金は、往復の飛行機代と宿泊費で、2万円ちょっと。
  • 今年初の羽田空港。しかも、10年ぶりぐらい?のANA便なので、降りるTを間違えないように何度もチェックする。ANAはT2。LCCと違って、ANAは20分前チェックイン〆切、15分前保安検査場通過〆切なので、まあ、余裕を見て、1時間前に空港に到着するリムジンバスに乗車することにした。それが、最寄り7:38発のバス。始めは順調だったのだが、高速道路に乗ってしばらくすると、渋滞に捕まる。これがなかなか抜けられず、ちょっとひやひやどきどき。羽田空港T2には8:40到着予定だったのだが、渋滞で30分遅れ、9:10過ぎに到着。体感だと、間に合わないかもと思ったが、それほどでもなかったので、ほっとする。前途多難か?
  • 出発口は56で、保安検査場からずいぶん歩いた。搭乗する便はANA315。羽田空港9:40→10:40富山空港の予定。15分前の9:25に搭乗開始、9:50頃、羽田空港を離陸、富山空港には10:50頃着陸した。少し遅れる。富山空港は今回が初めての利用。
  • 到着ロビーを出て、富山行きの連絡バスに乗車。バスは、ANA315の乗客を待っての出発。バスは富山駅前まで行くが、オレは総曲輪(そうがわ)バス停で下車。バスは城址公園のすぐちかくだった。11:20頃。410円。少し雨が降っている。富山は、以前、利賀村を訪ねた際に、乗り換えのため、下車したことがあるだけで、今回が初めてみたいなもの。
  • 富山市ガラス美術館 雨を避けるため、アーケード街を抜け、まずはじめに富山市ガラス美術館を訪ねる。ここは完全にノーマークだった。前日に地図で、城址公園の近くにこの美術館があることを知り、HPをチェックして、立ち寄ることにした。美術館は、TOYAMAキラリというビルの2F〜5Fにある。ビルの設計はRIA、隈研吾建築都市設計事務所、三四五建築研究所の3社による共同企業体(JV)が担当(装飾がいかにも隈研吾ではある)。1Fはエントランスの他に富山第一銀行本店と歯医者がある。2Fから4Fは美術館の展示室と富山市中央図書館が入っている。フロアの北側が図書館、南側が美術館の展示室と分かれているが、図書館へは自由に行き来ができる。中央部にエスカレーターがある。2Fから6Fは斜めに開いた吹き抜けになっており、無数のパネルで装飾されている。ここが見どころで、建物の名前通り、キラリ、キラキラしている。吹き抜けの周辺は、ゆったりとした空間になっていて、ベンチも多く、気持ちがいい。2Fにはミュージアムショップとしゃれたカフェが入っている。8〜10Fの上層部は富山第一銀行の施設である。美術館のオープンは2015年8月。なんでも、富山市は、ガラスの街づくり、を施策の一つとしているとのことで、その一貫として、また集大成として、鑑賞の場である、この富山市ガラス美術館を開館したとのことである。観覧は最上階からの6Fまで上がり、展示を観つつ、また、図書館も含めて、ひとわたり回った。6Fには、グラス・アート・ガーデンと呼ぶ常設展示室があり、デイル・チフーリの大型作品が数点展示されている。最上階ということもあってか、ちょっと天井が低く、狭い感じもした。5Fは市民向けのギャラリーが大小2室ある。そのうちの1室でガラス工芸の技法についてのパネル展示があった。4Fは常設展示室でコレクションの展示(「コレクション2017-I」)。3Fと2Fが企画展示室で、「家住利夫 削りの形」(3F)と「アン・ヴォルフ アンダンテ」(2F)の2つの企画展が開催中だった。展示はあまりキュレーションの効いたものではなく、漫然と並んでいる感じもしないではない。作品はおもしろいが、展示はいまいちといったところ。家住の作品など、オレ的には、彫刻としてとても興味深い。展示は他に、2〜4Fに、グラスアートパサージュと称して、コレクションが常設展示されていた。当初はさっと観ておしまいのつもりだったが、美術館だけではなく、建物、図書館もおもしろく、思ったよりもずいぶん長く滞在した。



TOYAMAキラリ・外観。


吹き抜け。

1Fにあるフロア案内。

  • 続いて、富山市城址公園へ。ぱらついていた雨もとりあえず止んでくれた。公園内に模造天守閣の富山市郷土博物館と富山市佐藤記念美術館があるが、今回は時間の都合もありパス。しばし、公園内を散策し、富山駅方面に向かう。それにしても、富山の街中には、野外彫刻が多い。公園にはまず間違いなく彫刻がある。今回は行けなかったが、中心部を流れる松川べりの両岸に野外彫刻を配した松川べり彫刻公園などもあるそうだ。歩いた道筋に、県庁前公園があり、もちろんここにも、銅像があった。富山駅南口駅前にも、売薬さんの像もあるが、ここにはなんと言っても、わが聖典股間若衆』掲載の《平和群像》がある。じっくりと観覧。すぐ近くで、植木の手入れをしていたので、撮りづらかったのだが、まあ、写真なども。



富山城趾公園の石垣。おもしろい。


富山市郷土博物館。1954年(昭和29)に開催された富山産業大博覧会の記念建築物。3重4階建て鉄筋コンクリートの模造天守閣で、博覧会終了後の同年11月、郷土博物館として開館した、とのこと。


浦山一雄《ブルージンズ》。城址公園前に設置。ジーンズにトップレスの女性像。なので、遠目では一瞬、佐藤忠良かと思ったのだが、近くに来たら、全然違った。浦山の代表作に一つらしく、富山以外にも、美ヶ原高原美術館秋田県(羽後町総合体育館前)や愛媛県今治市今治市中央公民館前)などに設置されているとのこと。


北村西望《花吹雪》(1965)。こちらは県庁前公園に設置。おおっ、あれは…と思ったら、やっぱり西望作品。西望、どこに行ってもあるな笑 井の頭自然文化園、札幌に続いて、3体目。この富山と札幌は、歩いていたら、そこにあった笑 試しに検索したら、違うバージョンも含むが、蓼科高原芸術の森彫刻公園(ここは西望作品いくつかある)、長崎、葛飾、町田などにもあるらしい。


県庁前公園の野外彫刻をもう1基。横江嘉純《愛こそ平和の母なれ》(1968)。この像は東京目黒区のめぐろ区民キャンパス内にもあるようだ。ところで、ここまで、野外彫刻を3基掲出したけど、全部裸婦像なんだよな…町歩きしていても、出会うのはほとんど女性のヌードばかり。戦後になって、裸体像が美術館から飛び出し、町中に次々に設置されたからといって、今さらながら彫刻家って…て、感じもしなくはない笑





そして、《平和群像》。1949年(昭和24)に富山市制60周年と平和記念の一貫として設置されたモニュメントで、松村外次郎を中心に渡辺義知他数名との共同制作。当初はコンクリート像だったが、その後、傷みが激しくなり、富山市制100周年の際(1990年)に、横山豊介の監修でブロンズ像として再生。松村外次郎(1901年〜1990年)は富山県砺波市出身の彫刻家。出身地に松村外次郎記念庄川美術館がある。また、富山市内にも多くの作品が設置されている。松村の《平和群像》およびに、戦中・戦後の活動の一端については、『股間若衆』に記述がある。



今回は残念ながら乗れなかったが、富山駅前で撮った路面電車(市電)の写真もついでに掲げておこう。写真でもわかるように、新旧いろいろな車両が走っている。

  • 地下通路を抜け、北口へ出る。富山駅北電停からライトレール(ポートラム)に乗って、岩瀬浜へ向かう。ポートラムは、昼間は20分に1本。1乗車200円。25分で、岩瀬浜に到着。もとはJRの路線だったらしいが、廃止とともに、路面電車化したものとのこと。


ポートラム

車内はこんな感じ。

電停の案内板など。右側の女性キャラは、岩瀬ゆうこ嬢といい、ホームアテンダントを務めている。彼女のラッピング車両もあったが、今回は乗れなかった。残念笑

  • 岩瀬浜駅に着く前から再び雨が降り出す。海に近づくにつれて、風も強くなってきた。岩瀬浜から、神通川の河口方面へ歩く。折りたたみ傘をさして歩くが、風が強く、早々に破損する。やれやれ。10分ほどで、河口近くに出る。堤防の先端に灯台があるが、途中から立ち入り禁止区域で、近くまでは行けない。先日の台風21号で座礁した大きな船も見える。写真を何枚か撮って、引き返し、富山港展望台に向かう。




  • 富山港展望台 常夜灯型の高さ24メートルほどの展望台。1986年に建てられた。中央に階段があり、これを上って、展望室に行く。展望室からは360度の展望を楽しめるが、残念ながら天気が悪く、視界はいまいちだった。無料。展望台の下ではひっそりとしていたが、展望室に行くと、けっこう人がいた。雨に濡れた荷物を乾かし、しばし休憩。その後、岩瀬町の町並みを歩き、岩瀬東駅に向かう。途中楽しみにしていた、三角どら焼きは品切れ、といういつものパターン苦笑


富山港展望台。

展望台からの眺め。神通川の河口。手前は富岩運河に続く河口で、石油備蓄基地の向こうが神通川本流。

岩瀬の町並み。

  • 岩瀬東駅からポートラムに乗車。岩瀬東駅にはJR時代の駅舎が休憩室としてのこされていた。富山駅北の一つ手前のインテック本社前駅で下車。200円。雨はありがたいことに止んでくれた。傘が大破したので、ありがたい。ここから、富岩(ふがん)運河環水公園(カナルパーク)に向かう。駅近くに銅像があったが、高校生が像の回りにたむろしているし、暗くなってきたので、これは明朝に来てみよう。10分ほど歩いて、環水公園に到着。




富山県立美術館の屋上、「オノマトペの屋上」、オノマトペの名前がついた遊具/アートが置かれている。ここは美術館が休館でも、荒天や積雪時以外は開いている。下の写真、向こうに見える川は神通川


富山県美術館は、富山県立近代美術館の後継として、今年の8月に開館。設計は内藤廣建築事務所。内藤廣建築は、最近行ったところだと、海の博物館がそうだった。


屋外広場。三沢厚彦の彫刻作品、シロクマ(親子?)が3点、設置されていた(三沢作品は、他に屋上にトリが1点あった)。他の野外彫刻も含め、さすがに具象、女性ヌード像はなかった。

建物を階段が取り囲んでいる。屋上広場まではゆったりとゆるやかで、神通川の流れも見渡せる。屋上広場からは普通の階段だが、オノマトペの屋上まで上がれる。途中、中が見えるようになっていて、展示も少し見えた。泥絵の作家の大きな作品、2点も観ることができた。ちょっとうれしく、胸一杯になる。


すっかり暮れてきたので、再び環水公園を抜け、ホテルへ向かう。

  • 今回宿泊したのは、環水公園からもほど近い、オークス・カナルパーク・ホテル。結婚式場ホテルで、11Fのツインをシングルユース。まだ新しく、設備や部屋の広さなど、なかなか豪勢だった。(貧乏性なので苦笑、)こんなところ、なかなか泊まれない。翌日の朝食も、バイキングではなく、メニューからいくつか選べるようになった定食で、しかもイケメンに給仕される、というあんばい。もちろん、おいしい。というわけで、いつも泊まるビジネスホテルとはちょっと違ったホテルライフ笑


だって、こんなんだぜ。