かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

名古屋→豊橋



  • 愛知県美術館長沢芦雪展(2回目)を観に行ってきた。併せて、豊橋市美術博物館に立ち寄り、「ニッポンの写実」展を観てきた。日帰りなので、今回は新幹線を使った。といっても、安くあげるために、JR東海ツアーズの豊橋往復の日帰りプランを利用した。ツアーの料金、というか、往復のひかり号料金が11200円。ちなみに、東京ー豊橋の新幹線代は、自由席でも8420円である。
  • 最寄り5:15発で東京駅に向かう。行きは東京駅6:26発ひかり501号に乗車。わりと直前にツアーに申し込んだのだが、窓側のE席だった。豊橋には7:58、ダイヤ通り到着。ここで、名鉄本線に乗り換え。8:15発の岐阜行き特急に乗車。6両編成で、1、2号車が指定席(ミューチケット)が必要な車両で、3〜6号車が不要の一般車。もちろん一般車に乗車。混んでいたが(といっても、ぎゅーぎゅーではなかった)、座れた。9:06、金山に到着。1110円。JRで行くより、200円ぐらい安い。愛知県美術館は10:00開館なので、このままだと少し早い。そこで、銅像を求めて笑、名城公園(北園)に立ち寄ることにした。名城線で、名城公園駅まで。240円。9:30頃には公園に到着。
  • とりあえず名城公園に、ローソンがあったので、早速、コーヒーとドーナツで一休み(もうかよ笑)。名城公園は広義には、名古屋城周辺も含む広大な城址公園だが、今回の北側にある北園にやってきた。ここらへんは初めて来た。公園を歩き倒す、お年寄りのウォーキングの会が開かれていて、たくさんのお年寄りが歩いている。また、ランニングのスクールがあるのか、講師に率いられた、女性の一群がランニングしていたりもする。芝生広場まで、のんびり歩く。と、今度は、保育士に連れられた幼稚園児がたくさんやってきて、にぎやかに遊び始めたりする。なかなか、にぎやかだが、どこかのどかだったりもする。
  • 名城公園の野外彫刻:さて、銅像名城公園でのお目当ては、『股間若衆』掲載の、《青年像》(《青年の像》とも)。だが、広い公園のどこだか、わからない。公園にあるマップを見ると、一応、銅像/モニュメントのある位置は示してあるか、いまいちよくわからない。まあ、なんとかなるだろうと適当にふらふらと歩いて、芝生広場と呼ばれる場所に行ってみる。と、いました、いました。最初に見つけたのが、例によって、北村西望作の、《青春》(1930年[昭和5])。銘板に《青春》とあるので、このタイトルとするが、《健康美》で知られる筋骨隆々たる青年の半跏像だ(他には、井の頭自然文化園等々力緑地大分駅上野の森口など。国立競技場にも設置されていたらしい。今は撤去されているだろうが、はたして、戻ってくるか?)。銘板によると、東海テレビ放送が寄贈したとのこと。芝生広場の完成が1978年3月とのことだから、《青春》の設置もその頃か。


北村西望《青春》(1930)

  • 股間若衆』によると、この《青春》が、目指す《青年像》の傍らに小姓のように控えているとあるから(P138)、近くに《青年像》もあるはずだ、とうろうろすると、すぐ近くというほどでもないが、無事《青年像》を見つけることができた。芝生広場の北西、少し小高くなったところに、すっくりと立っていた。《青年像》の周囲を探してみたのだが、銘板、説明板の類はなかった。『股間若衆』によると、《青年像》は、名古屋市出身の彫刻家、野々村一男(1906年〜2008年)の作で、1958年(昭和33)に名古屋市によって名古屋駅前の東口ロータリーに建立された。長く市民に親しまれたが、その後、地下鉄工事のため、1984年(昭和59)に一時撤去される。一時撤去であったが、駅前に二度と戻ってくることはなかった。名古屋駅前の同所には、1989年(平成元)開催の世界デザイン博覧会を記念して、公募による《飛翔》(作者は伊井伸)という新しいモニュメントが設置されたからだ(なんでもリニアを通すために、《飛翔》にも撤去話が出ているとか…ああ、栄枯盛衰である)。若々しい青年期は終わった。これからは新しい成熟を目指し、世界へ向かって飛び出すのだ。ということなのだろうか?(それとも、90年代を目前に控え、裸はダメよ、ということなのか?) まあ、かような次第で、《青年像》は余生を過ごすべく、この名城公園に移ってきた。保管所で埃に埋もれてしまうことなく、こうして、再び太陽の下に出られただけでも幸運だったのかもしれない。ネットにある古い写真を見ると、名古屋駅前から移動してきたのは、銅像だけではなく、台座ごと移ってきたようだ。この《青年像》、左手に方位針を高く掲げ、右手(大きい!)で前方を指差すダイナミックで巨大な男性裸体像だが、写実というよりは、身体部位を誇張され、全身に若々しい強さがみなぎっている、という印象。なのだが、経緯を知ったためか、それが空元気にも見えてしまうのが、ちょっと寂しい。参考:http://railbus.web.fc2.com/0231Ekimae.html 参考:http://yachudaart.exblog.jp/19642916/


野々村一男《青年像》(1958)

参考までに、伊井伸《飛翔》(1989)も。前回来た時(10月14日)、(虫の知らせで笑)たまたま撮ったもの。

  • なお、名城公園内には、北園だけでも、他にいくつか野外彫刻がある。これまた、どこででも出会う佐藤忠良や柳原義達といった大御所の他にも、入口付近の2作をはじめ、抽象作品もいくつか。もう少し範囲をひろげ、名古屋城周辺もいれると、名古屋能楽堂付近に「彫刻の庭」があるなど、他にもたくさんの野外彫刻があるようだ。機会があったら、訪ねてみたい。
  • 再び、名城公園駅に戻り、栄まで。200円。愛知芸術文化センターに向かう。今日は地下から。10Fの愛知県美術館へ行く前に、入口のロビーに設置されている、舟越保武《花を持つ少女》(1966)を観るために、12Fのアートスペースに立ち寄る。展覧会を観ると、つい忘れてしまうので、今日は最初に観に行った次第。超人ハルク像!?が続いたので、ほっとするでしょ笑


舟越保武《花を持つ少女》(1966)

  • さて、2回目の芦雪展へ。今回は、出品作が全部出ているはず。平日だが、前回に比べ、来場者もぐっと多い。まあ、人の流れを読みつつ、最初からじっくりと見て回る。いつの間にか2時間を超えていた。先の予定もあるので、今回はコレクション展はざっと観て終了。芦雪展終了後、愛知県美術館は2019年3月31日まで改修工事に入り、長期休館となる。そのこともあって、ミュージアムショップで過去の展覧会の図録がバーゲン価格になっていた。いくつか買いたいものもあったが、ぐっと押さえて、1冊だけ、2009年に開催され、観に行けなかった「放課後のはらっぱ 櫃田伸也とその教え子たち」展の図録を買った。1000円。


  • 地下鉄名城線で、栄→金山と移動し(200円)、行きと同様、名鉄で金山→豊橋と移動(1110円)。例の豊橋駅前の《育愛》の作者が知りたくて、改めてチェック。やはり、説明板もなく、わからない。ことによると、銅像の足下に作者のサインがあるかもしれないが、台座が高く、見ることもできない。やむなく今回も断念。後日を期す。路面電車で、豊橋駅前から豊橋公園前まで移動。150円。ここから歩いて、豊橋公園へ。


豊橋駅前電停から路面電車に乗る。

それにしても、駅票が「駅前」とだけ笑

  • 豊橋公園内にある豊橋市美術博物館へ向かう。暗くなる前にと、先に公園内をちょっと散策。例によって、銅像探訪である。美術博物館前に、《二つの友情》という女性裸体像があった。女性2人というのは珍しいかも。銘板に「助雄(印)」とあるので、佐藤助雄(1919〜1987)の作とわかった。佐藤助雄は山形出身で、日展系の作家。世田谷にアトリアがあった(アトリエは、後に、佐藤助雄記念館として、作品展示などを行っていたようだが、ネットでは公式はなく、最近の記事も見当たらないので、今もあるか、公開されているかは?)《二つの友情》は、他に目黒区にある現代彫刻美術館や山形県天童市などにもあるようだ


豊橋公園内にある吉田城趾に復元された吉田城鉄櫓と豊川の流れ。

佐藤助雄《二つの友情》(1974)

  • また、《戦災復興》という男性裸体像があった。たくましい、でもちょっと大仰な姿の青年裸体像。台座裏に説明板があるものの、作者については言及なし。説明板(碑文)は、設置当時の愛知県知事と豊橋市長の連名で、昭和33年(1958)10月とあるので、その頃、県と市によって設置されたのだろう。豊橋公園内には、この他に、神武天皇像があるようだが、これは奧の方にあるらしく、今回は見落としてしまった。参考:http://www.toyohashi-bihaku.jp/?page_id=4348



《戦災復興》

  • この後、豊橋市美術博物館で開催の企画展「ニッポンの写実 そっくりの魔力」を観覧。


  • 観覧後、公園の隣にある豊橋公会堂の外観を見学しつつ、駅方面へ移動。駅まで歩く。途中で、適当な夕食を適当に食らう。



  • 帰りは、豊橋18:46発のひかり530号に乗車。帰りも2人がけの窓側席(E席)。新幹線、便利なんだが、打鍵音公害がとにかくつらい。高い乗車券買っても、これじゃ萎えてしまうので、なるべく新幹線は避けてしまう。音の出ないように細かく配慮している人ももちろんたくさんいるのだが、景気よくカタカタ鳴らしているものもまた多い。帰りは大分席が離れていたものの、車中に盛大に打鍵音が響き渡っていた苦笑 本人、気づいていないのかな…東京には、20:10にダイヤ通りに到着。21:00過ぎには無事に帰宅した。