かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

函館


さかえ通の黄色い消火栓

啄木小公園から函館山を遠くに見る。

五稜郭桜の園

函館のいちばん有名な眺望。昼間だけど。

  • 5:00過ぎに起床。身仕度をして、早朝散歩に出かける。若松広路→さかえ通→市役所→東雲広路→摩周丸函館朝市函館駅を回って、ホテルに戻る。さかえ通は、南側の函館地方裁判所から北側の函館市役所を結ぶ大通で、中央分離帯が緑地公園となっている。中でも、大門地区、駅前通と交差するあたりは、はこだてグリーンぷらざという広場となっている。グリーンプラザは、北からA、B、Cの3つのブロックに分かれ、1973年設置、2001〜03年に再整備が行われ、さまざまなイベントに活用されているようだ。このうち、Aブロックに4基の野外彫刻があった。これらは、1973年にグリーンプラザが設置時に地元企業などから広場を飾るものとして寄贈されたもののようだ。また、再整備の際に、BとCの両ブロックにも小ぶりの子ども像が6基設置されている(写真掲載は割愛。)続いて、市役所へ。市役所前に裸婦像が1基あった。実はSVでこのあたりを事前に予習している際に見つけていたのだが、ネット上では他に確認できず、実際に観たかったので、この早朝散歩となった次第。笹戸千津子の作品だった。市役所は海方向に伸びる東雲広路を歩いた。早朝のためか、まだ自動車もほとんど走っていない。静かな朝だ。海に突き当たるあたりは、かつての青函連絡船の乗り場だったところで、現在でも、連絡船に用いられた摩周丸函館市青函連絡船記念館として繋留・保存・公開されている。この前の広場に小寺真知子作品が1基立っていた。続いて、函館朝市あたりを抜けて、函館駅前に戻る。魚を焼くいい匂いがして、お腹が鳴る笑 駅前の、今や函館駅のシンボル的な作品になっている《OYAKO》を観て、もう1基、秋山沙走武の裸婦像を観てから、宿に戻る。

>参考:函館市 パブリックアート

函館グリーンプラザAブロックの、秋山進(後に沙走武)のバレリーナ像(1973)。北洋銀行の寄贈。


函館グリーンプラザAブロックの、折原久左ヱ門の2作品。写真上は日魯漁業株式会社、下は函館信用金庫の寄贈。作品名、年代は不詳。折原久左ヱ門(1931-2018)は、半世紀にわたって函館を拠点に制作活動を行った金属造形作家。主に日展や日本現代工芸美術展で活動。北海道各地に野外彫刻/モニュメントを残している。北海道教育大学名誉教授。

函館グリーンプラザAブロックの、月光仮面の像。はこだてグリープラザ造成を記念して、1974年9月に、函館出身で「月光仮面」原作者の川内康範氏(かわうちこうはん・1920-2008)から寄贈された。像は、カラーアニメ版の月光仮面をもとに制作されたとのこと。台座には「憎むな 殺すな 赦しましょう」(月光仮面の理念)と彫られている。(青森県三沢市にも月光仮面の歌碑があった。こちらも川内氏が寄贈したものだった。「2015.5.29」の項)



函館市役所前の、笹戸千津子《若き立像'85》(1985/1988.9設置)。函館東ライオンズクラブ創立30周年記念などにより建立。先日、いわきで、'82と'88を観た。'89もあるみたいだ。このシリーズ(シリーズというわけではないか)は、他にもあるのかな? 写真下、後方に見える建物が函館市役所。


摩周丸


摩周丸前広場の、小寺真知子《青・海・テティス(海の女神)》(2000/2000設置)。小寺真知子(1950-2012)は函館市出身の彫刻家。北海道教育大学卒業後、イタリアに留学。ローマを拠点に活動した。函館には多くの小寺作品が設置されている。テティスギリシア神話に出てくる海の女神で、アキレウスの母。


函館駅前交差点南西側の、秋山沙走武《陽》(1996.5.12設置)。ライオンズクラブ国際協会3314MD C地区が第42回地区年次大会記念事業として設置。




すっかり函館駅の顔になった、林昌平《OYAKO》(2005.3設置)。銘板を探していたら、こんなところにあった!(写真下) この作品は、JR函館駅建替えにともなう駅前広場再整備の一環として,2003年8月〜12月に「ふれあい」をテーマに公募が行われ、応募作品274点から選ばれたもの。作者の林昌平は、静岡県出身のプロダクトデザイナー

  • ホテルに帰り着いたら、さすがにお腹が空いたので、そのまま、1Fの食堂で朝食を食べる。ここはバイキングではなく、和定食か洋定食のどちらかを選ぶ。和定食を食べた。一度部屋に戻り、一息ついてから、7:30頃、チェックアウト。再び函館駅前に向かう。3番乗り場から函館バス96・函館空港行き7:43に乗車する。10分ほどで、啄木小公園前に到着。今日の移動は、ホテルのフロントで購入した、市電・函館バス共通1日乗車券、1000円を利用する。啄木小公園で、本郷新の石川啄木像などを観覧。像の他にも、啄木ゆかりの文学碑などもいくつかあった。海岸沿いのためか、風が強く、冷たい。





石川啄木》(1958)。石川啄木記念像建設期成会によって、1958年10月に建立。像の制作は本郷新。台座正面には、啄木の次の短歌が彫られている。「潮かをる北の浜辺の 砂山のかの浜薔薇(はまなす)よ 今年も咲けるや 啄木」。石川啄木が函館に住んだのは、1907年5月から9月までの約4ヶ月間。小学校の代用教員と函館日日新聞社の遊軍記者を仕事としたが、8月25日の函館大火で勤務先の小学校、新聞社ともに焼失し、やむなく札幌に移った。函館在住中は、短いながらも平穏な時を過ごしたようだ。本郷新の石川啄木像は、この函館の憂愁にみちた坐像の他、釧路に立像がある。

  • ひとわたり観たところで、バス停に引き返し、啄木公園前8:21発の函館バス・6日吉営業所行きに乗車。15分ほど乗って、湯倉神社前で下車。市電に乗り換え、湯ノ川電停から函館アリーナ前電停に移動、ここで下車。
  • 函館アリーナ周辺の野外彫刻 


国立障害者リハビリセンター中庭の、安田侃《生棒》(1996.11設置)







函館アリーナ前の、《平塚常次郎翁》。平塚常次郎翁顕彰像建立期成会によって、1968年10月に建立。像の制作は北村西望平塚常次郎(1881-1974)は北洋漁業の先駆者として知られる函館出身の実業家、政治家。像のタイトルは《平塚常次郎翁》と「翁」がついているが、像は若い頃の颯爽とした姿となっている。ちょっと裕次郎っぽいかな笑 かっこいい笑 隣に、やはり北村西望による鮭の群れのレリーフ舟橋聖一による撰文(北村西望書)を埋め込んだ碑も立っている。この像は、もともと函館アリーナの裏手にある函館市市民会館(今回の訪問時には取り壊しが始まっていた)前の噴水の中に立っていたもので、近時、台座を改め、現在地に移設された。

この後行った函館市北洋資料館に、この像のスケールダウンしたものが展示してあった。こちらは《若き日の平塚常次郎像》というタイトルになっていた。なお、北洋資料館には、北洋漁業に功績のあった実業家の胸像がいくつかあった。この中に平塚常次郎の像もあったが、こちらは年の行った背広姿の実業家・政治家然としたものだった。


函館アリーナ前にもう一つ、野外彫刻があった。こちらも市民会館前にあったものらしく、銘板は見当たらなかったが、作者はサインから秋山沙走武と思われる。1975年の作。市民会館前にあった日時計や花時計などもアリーナ前に移設されている。

  • 市電で、函館アリーナ前電停から五稜郭公園前電停に移動。行啓通の五稜郭公園通り入口から北海道新聞社函館支社前あたりの間にも、左右の歩道沿いにいくつか野外彫刻が設置されている。その中から、今日、小野寺紀子作品を掲載。


北海道新聞函館支社・前庭の、小野寺紀子《若き星たち》(2002.9設置)。傍らの銘板には、原子修の「若き星たち」という詩が彫られていた。「戦火をこえて 若き星ふたつ 未来の空に またたかん」。

  • 五稜郭の南側の野外彫刻 五稜郭の南側には、北海道立函館美術館、函館市芸術ホール/函館市北洋資料館、函館五稜郭病院があり、その周辺で、いくつか野外彫刻を観ることができた。



五稜郭病院・公開緑地の、安田侃《KAZE》(ブロンズ)。病院のロビーにも、大理石の《妙夢》が設置されていた。


函館市芸術ホール/函館市北洋資料館前の、折原久左ヱ門《抱》(1998.4.16)※銘板は「エ」。


函館美術館前の、ブールデル《自由》(1923)




同、ブールデル《サッフォー》(1925)。館内でも、ベートーベンの頭像など、いくつかブールデル作品を観ることができた。それにしても、日本人、ブールデル、好きだよな(本当はロダンの方がもっと好きなんだけど、ロダンの作品は鋳造がフランス国家によって厳しく管理されていて、入手しづらいので、幾分入手しやすいブールデルが設置されている、ということなのかなと憶測している。)《サッフォー》は鹿児島市立美術館にもあり。

  • 前回来た時に観られなかった函館市北洋資料館の展示を観覧。入館料100円。北洋漁業の歴史と現状、未来を展望する展示はとても興味深い。冒頭のホッキョクグマや、トド、セイウチなどの海獣の剥製も迫力満点。北洋漁船の乗船シミュレーションもあり、まあ、時代を感じさせるものではあったが、船の揺れが尋常ではなく、ちょっと気持ち悪くなった笑
  • 北海道立函館美術館にて、アートギャラリー北海道 北海道150年事業と銘打った企画展「北のさきがけ 道南四都物語 港町・江差 城下町・松前 開港地・函館 開拓地・伊達」と常設展を観覧。料金は別々だったが、共通券があり(1040円)、幾分割引きになった。企画展は、江差松前、函館、伊達に伝わる文化財をそれぞれの都市/地域の歴史や特性に基づいて展示したものだが、ちょっと内容的に薄かったか。松前の項の蠣崎波響作品など、個々ではおもしろいものがあったが、悪い意味で観光的過ぎて退屈な展覧会だった。


五稜郭タワー・アトリウムの、《五稜郭に立つ 土方歳三》。制作は小寺真知子。この日、2つめの小寺真知子作品。なお、展望2Fにも、同じく小寺真知子による《土方歳三之像》(坐像)があるとのこと。展望台には上らなかったので、こちらは未見。高いところ、こ、わ、い笑




六花亭五稜郭店のチン太くん。この後、店内へ。どのお菓子も単品で売っていたので、マルセイバターサンドなど、お土産にいくつか買ってみた。帰宅する前に、みんな食っちまったので、お土産にはならなかったけど…笑


函館市中央図書館前の、斎藤史門《記憶の中の風景》部分(2005.11設置)。函館市中央図書館落成祝賀協賛会の寄贈。五稜郭側にちょっとした遊歩道があり、赤く塗られたキューブなどを組み合わせた野外彫刻が設置されている。


函館市中央図書館前の、小寺真知子《ハルモニア》(2000)。もともとはギリシア語で、調和の意。調和を表すギリシア神話の女神。ドイツのエレクトロニクス系のバンドの名前。山本精一のアルバム「ラプソディア」のラストの1曲。姫路のライブハウス(行ったことないけど)…今日3つめの小寺作品。



五稜郭桜の園。花はすっかり散ってしまったが、ほんの少しだけ残り香が…この辺りのベンチで一休み。六花亭のお菓子を食べるなど。

  • 函館バスの中央図書館12:07発に乗車。函館駅まで移動。20分ほど。函館山登山バスが13:30発なので、この待ち時間を利用して、昼食を食べる。


またしても、塩ラーメン、650円を食らう。昨夜とは別の店。スープに油分がいくぶん多かったが、いずれにしてもシンプルであっさりとした味わい。麺がスープとうまく絡まない感じで、オレ的にはいまいち。刻みねぎ、焼き豚(2枚)、シナチク少々。昨日の店の方が、ポイント0.5高し。といったところか。

  • 函館バス・3函館山行きバス、13:30発に乗車。外国人の観光客が多い。頂上まで、30分弱。登山道路の途中、ビューポイントでスピードを落として運行。絶景を楽しむ。駅から頂上までの料金は400円だが、これも一日乗車券で乗ることができた。ところどころで、登山道が見え、歩きたくなるが、まあ、今回は仕方ない。次回があったら、ぜひ歩いて登りたいものだ。




函館山の、「ブラキストンの碑」。イギリス人トーマス・ライト・ブラキストン(1832-1891)は、日本で事業を興すために、文久3年(1863)に来函、この地で事業を行うとともに、鳥類の研究や気象観測を行った。本州と北海道の動物の著しい違いのあることをアジア協会報に発表し、動物学上、津軽海峡をブラキストンラインと呼ぶようになった。このことを記念し、函館青年会議所が1960年6月に本碑を建立。表面のブラキストンの肖像レリーフは本郷新が制作した。

  • 帰りはロープウェイかな、と思っていたのだが、20分もあれば、見学は十分だった。上記バスの折り返しが、函館山14:20発で、これに乗ることにした。十字街で下車する。西波止場近くの《赤い靴の少女像》を観覧し、駅までふらふら歩いて、今回の函館観光はおわり、ということにした。


小寺真知子《赤い靴の少女像》(2009)。4つめの小寺作品。

  • 函館駅付近で一休みした後、函館帝産バスの、15:30発、函館空港行きシャトルバスに乗車。20分ほどで函館空港に到着。料金が450円に値上がりしていた。一日乗車券が使える函館バスにも空港行きのバスはなくはないが、函館駅から空港に行くのなら、こちらのシャトルバスの方が、便も多く、時間もかからず、便利なのは、前回の函館旅行で身にしみたので、今回はこちらを利用した。オンタイムで、空港に到着。


最後に、函館空港・1Fの、小寺真知子《北天の竪琴》(2005)。ちょっと、隅に追いやられ、椅子に取り囲まれて、痛々しい。これで、小寺作品は5作目。函館市内に8作設置されているとのこと。


おまけに地元にある小寺真知子作品を。千葉県立青葉の森公園の、小寺真知子《三つの時代》(2018.1.13撮影)

  • 帰りの飛行機は、バニラエアJW954便、函館17:35→19:10成田の予定。だいたい予定どおりの運行。実は割と早めの時間だったので、いつものように終バスに間に合うかどうかの心配もなく、ぼーっとしてしまって、あまり時間を気にしていなかった苦笑 後方の窓際席で、まだ明るいうちに着陸態勢にはいったので、外の景色がよく見える。犬吠埼上空で旋回し、鹿島港上空を抜け、北浦、霞ヶ浦の南側を回って、成田空港に着陸。駐機場がT2の外れで、T3から遠い場所だった。バスで移動。19:20過ぎに到着ロビー。成田空港T319:35発のバスだった。21:00前には無事に帰宅。楽しかった。