かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

網走






能取岬にて

  • 網走と北見に行ってきた。春の北海道シリーズの第5弾である。お目当ては、コミックス第13巻、いよいよ網走監獄に突入した「ゴールデン・カムイ」の聖地巡礼である。というのは、(半分くらいは)ウソで、一つは、能取岬へ行き、《オホーツクの塔》を観ること。もう一つは、北海道立北方民族博物館を訪ねること。そして、この二つに加えて、網走と北見の野外彫刻を探ること。以上が、今回の旅行のお目当てだ。ありがたいことに、天気もまあまあで、大きなトラブルもなく、無事に目的は果たすことができた。
  • 網走から能取岬までは、バスもなく、オレのような公共交通利用派にはまったくお手上げで、あきらめてタクシーを雇うしかないかと、しばらく考えもしたのだが、レンタサイクルがあるようなので、天気次第ではあるが、自転車で行ってみることにした。雨が降るようだったら、あきらめてタクシーにするつもりだったが、天気予報によれば、旅行初日は天気がいいようなので、この日に能取岬まで行くことにした。当初は2日目に行くつもりだったが、2日目は降水率もだいぶ高く、あまり天気もよくないようなので、能取岬行きを第1日に変更し、予定を練り直した。
  • 4:58発の最寄り始発羽田空港行きのバスに乗車。定時の5:55頃、羽田空港T1に到着。1250円(回数券利用)。JALの北海道方面行きは、北ウィングだ。保安検査場を通過して、出発ロビーに向かう。今回はJAL利用だが、JALはPassbookが使えるのが、ありがたい。搭乗する飛行機は、JAL565便、羽田7:25→9:05女満別の予定。ほぼ定時の運行。寝不足でぼっーとしていて、あまり覚えていない苦笑 前方の窓側席だったが、北海道に近づくまでは、眼下は雲で覆われて、あまり視界は良くなかったが、盛岡上空を過ぎて、一度太平洋に出て、襟裳岬の東の方から北海道上空に入るあたりで視界が開ける。着陸10分前ぐらい、能取湖上空で旋回し、能取湖から網走湖をかすめて、女満別空港に着陸するまで、今日自転車で走る予定のルートを上空から見ることができた。おいおいこんなに走るのかよ!?
  • 女満別空港は初めて。女満別空港から網走行きの空港連絡バスに乗車。バスは飛行機の到着に合わせて出発する。だいたい15分ほど後か。機内もそれほど乗客が多かったわけではないが、網走行きのバスも乗客は5人だった(オレ以外はJR網走駅前で降りていった)。多くの人はマイカー、もしくはレンタカー利用だった。出発後、約35分で、終点の網走バスターミナルに到着。910円。まだ10:00前だ。なかなか快調。ここからすぐそこの道の駅流氷街道網走まで歩く。5分ほど。ここにある網走市観光協会の案内所で、自転車を借りる。今回は、長距離走行、上りあり、脚力自信なし、なので、レンタル料が普通の自転車の倍だったが、電動アシスト付き自転車を借りることにした。2000円/1日で、保証金が1000円別に必要(帰着時に返金)。念のため、任意保険250円にも入っておいた。カウンターのスタッフはとても親切だった。地図などをもらい、さて、出発。(なお、JR網走駅にも、駅レンタカーでレンタサイクルをやっているようだった。)


道の駅付近から網走川河口方向を望む。

  • 10:10頃、出発。市街を離れる前に、近くのコンビニで、念のため、おにぎりと飲み物を仕入れておく。網走川を渡り、国道39号線→76号線を北上する。すぐに海沿いの道に出て、オホーツク海を眺めながら、のんびりと自転車を走らせる。車はほとんど通らない。波の音が聞こえる。それにしても、今日は暑い。すぐにTシャツ1枚になる。15分も走ると、二ツ岩が見えてくる。名前のとおり、大きな岩が二つ並んでいる。


二ツ岩

  • この二ツ岩を過ぎたあたりから、道が上りになる。ここが今日走ったルートで一番きつい上りだった。電動アシストのパワーを全開にして、一人弱虫ペダルごっこ(←バカ)。道は、木々の中へと入っていく。ところどころ、牧草畑や自衛隊の演習地?などを左手に見ながら、上り下りのある道を3、40分、走ると、能取岬へ向かう道に行き当たり、ここを右折する。能取岬まで、もう少しだ。


道ばたにタンポポの花が咲いている。

この看板を折れて、能取岬へ向かう。あと2kmほど。

  • しばらく疎林の間を走っていると、能取灯台が見えてくる。突然、視界が開け、ぱっとオホーツク海が目の前に広がる。やわらかい風が吹いている。岬に出る最後の下り坂が気持ちいい。まるで、海の上を飛んでいるようだ。駐車場には自動車が数台駐まっていたが、平日のシーズン外だったためか、人はほとんどいない。


岬へ向かう道。左側は網走市営美岬牧場で、牧草はだいぶ伸びていたが、放牧はされていなかった。

  • 《オホーツクの塔》 まずは、今回の旅行の一番のお目当て、《オホーツクの塔》まで歩く。駐車場からは少し離れている。






《オホーツクの塔》(1978.8.13設置) オホーツクの塔建設委員会によって建立された、オホーツク沿岸漁業の、先人の業績を讃え、苦難をしのび、今後の発展を希求するための記念塔。塔の制作は本郷新。


能取岬灯台。1917年(大正6年)の建設。江戸時代に幕府に雇われたフランス人技師ヴェルニーの設計した灯台の様式を受け継いで、外観は八角形になっている。高さは約21m(水面から灯火までは約57m)。

網走市内で映画のロケの行われた場所には、写真のような案内板が建てられていた。能取岬の他にも、JR網走駅などにあった。

  • 小一時間、能取岬に滞在した後に出発。先ほどの看板のところまで戻り、右に折れて、国道76号線(美岬ライン)を走る。ここからはしばらく下りが続く。少しすると、美岬トンネル(2006年開通。約1kmある)に入る。トンネル内は歩道を走るつもりだったが、自動車の往来もなく(結局、レイクサイドのとろあたりまで、1台も車と行き会わなかった)、そのままスピードを落とさずにトンネルを抜ける。トンネルを抜けたところに、小さな駐車場があったので、ここで自転車を停めて、オホーツク海の眺めを楽しむ。しばらく海沿いを走り、続いて、能取湖沿いの道に入る。能取岬からレイクサイドのとろまで約1時間。ちょっと飽きた笑 レイクサイドのとろは、パークゴルフ場(パターゴルフ?)とキャンプ場があるレジャー施設。ベンチを借りて、小休憩。地元のお年寄りがゴルフを楽しんでいた。国道76号を少し走り、1010号に折れる。アップダウンのある道で、交通量が多いというほどではないが、大型車両なども自転車の横を通り過ぎていく。今日一番の難所だったかも。国道238号線に行き当たったところで、道を左に折れ、網走川を渡る。このあたりが、網走川が大きく蛇行する大曲だ。道沿いに、河田卓の彫刻があるはずなのだが(SVでも確認できた)、その後、移設されたのか、今回は観ることができなかった。残念。時間と体力に余裕があったので、明日行くつもりだった博物館網走監獄に立ち寄ることにした。天都山を上る道の途中にある。ちょっときつい笑


美岬トンネル駐車帯から能取岬を望む。自動車が2台駐まっていた。釣りをしているようだった。

  • 博物館網走監獄 13:00過ぎに到着。観覧料は一般1080円だが、HP割引きで970円になった。団体、個人とわりと観光客が多かった。ハイシーズンになれば、もっと人が多いだろう。


網走監獄正門。

庁舎。重要文化財。中は、網走監獄の歴史についての展示や映像、それに、ミュージアムショップなどが入っていた。野田サトルが去年取材しに来たときに描いた色紙や「ゴールデン・カムイ」のポスターもあったな。


旧網走刑務所職員官舎(看守長屋)。これは再現されたもの。門倉看守部長の宿舎にそっくり(いや、反対なんだけど…)


五翼放射状平屋舎房。重要文化財パノプティコンの実物は初めて。

同、内部の、中央見張。

同、内部の、獄舎。やっぱり、そっくり…(って、反対なのよ)。ちなみに、昨年、取材に来ていたとのこと。


教誨堂。白石は、シスター宮沢にここで出会った(…)。重要文化財


大曲。自転車道があったので、川沿いをぐるっと走ってみた。

  • 彫刻放浪:網走編 今は、だいたい15:00少し前。さすがに疲れてきた。このまま、天都山を上がって行くと、北方民族博物館があるのだが、これは明日、改めて訪ねることとし、網走市街に向かう。自転車は17:00までに返却しなければならないので、残りの時間は、市街地で野外彫刻を探ることにしよう。国道39号を東に走る。網走刑務所前の鏡橋あたりから、網走の市街地にかけて、網走川の両岸が遊歩道や公園が整備されている。この中にも、野外彫刻/PAらしきものがいくつか。途中、網走駅近くのホテルに立ち寄り、チェックインを済ませ、荷物を部屋に置いてくる。



三眺河畔公園(鏡橋のすぐ東、網走川の右岸にある公園)の野外彫刻作品(らしきもの)の一つ。タイトル、作者名などは明記されていないなかった。この手のものが、他にもいくつかあった。



JR網走駅前の、《モヨロ人漁撈の像》。6〜10世紀の間、オホーツク沿岸には独特のオホーツク文化が栄えた。網走川河口近くのモヨロ貝塚(今回は時間の都合で行けなかった)はその代表的な集落跡で、住人は、鯨やトド、アザラシなども狩っていた海洋狩猟民だったようだ。本像のオリジナルは、網走ライオンズクラブの第1回チャーターナイト記念事業として、1963年6月23日に設置。作者は不詳。現在のものは、2003年10月8日に再建されたもの。

  • 網走市立美術館とその周辺の野外彫刻



網走市立美術館・前庭の野外彫刻。

本郷新《オホーツク海》(1978.8.13設置)。能取岬の《オホーツクの塔》漁師像のエスキース。オホーツクの塔建設委員会の寄贈。

石田武至《健やか》(1978/1978.8.13設置)。オホーツクの塔建設委員会の寄贈。


佐藤忠良《気どったポーズ》(1974/1978.8.13設置)。オホーツクの塔建設委員会の寄贈。

本郷新《大漁》(1978.11.3)。これだけ違って、網走新聞社が一万号発行記念に寄贈。

坂坦道《悶》(1978//1978.8.13設置)。オホーツクの塔建設委員会の寄贈。


桂ヶ丘公園(網走市立郷土博物館近く)の、《遠藤熊吉翁之像》(1928設置)。遠藤熊吉は、庁立網走中学校創立(1922年)にあたり、多大な寄付をした人物とのこと。その顕彰のために、1928年(昭和3年)に網走市によって建立された。台座には、網走中学校教諭の山村徳之助による漢文の撰文と、それとは別に「昭和三年十一月 網走町建之 大阪市東成区隺喬天王寺町 松本雪峰鑄之」と記された銘板がある。



網走市役所前の、河田卓《平和祈念像》(1992/1992.5.24設置)。網走市が1991年9月17日に出した「平和都市宣言」の記念像。網走ライオンズクラブ・網走桂ライオンズクラブが、ライオンズクラブ国際協会331-B地区の第38回地区年次大会記念事業として建立。台座正面に「平和都市宣言」とその宣言文の銘板がある。網走のサイトで、「平和祈念像」としているので、この名称を採った。河田卓は女満別町(現・大空町)出身の彫刻家。北海道網走向陽高等学校を卒業後、名古屋芸術大学で彫刻を学ぶ。大学卒業後は彫刻家・石田清の内弟子となり、日展、日彫展などに出展した。現在は網走を拠点に活動を続けているとのこと。



釧路信用組合網走支店前(南5条東1丁目)の、圓鍔勝三《あけぼの》(1981秋/1981.10設置)。唐突に圓鍔勝三作品があったので、ちょっと驚かされる。設置経緯などは不明。特に網走にゆかりはないと思うが、設置者がファンだったのかな?

  • 中央橋とその周辺の野外彫刻



中央橋の、本田明二《朝翔》[写真上]・《夕翔》[写真下](1980.9設置)。網走川にかかる中央橋(下流から2番目の橋)の中程に設置されている。上流側が《朝翔》、下流側が《夕翔》で、ともに水面から飛び立とうする白鳥を象ったもの。《朝翔》は個人の寄贈で、台座横には「大海呑流 天行健也」と彫られている。一方の《夕翔》は網走漁業協同組合の寄贈で同じく台座横に「一枚の 流氷ときに 川覆う」と彫られている。事前にSVで調べていたところ、両像とも見当たらずに慌てたが、橋の工事のため、しばらく取り外されていたらしい。




エコーセンター2000敷地内の、モニュメント「ロマン溢れるオホーツクの伝説」(2000.11.23設置)のうち、《ロセトの像》[写真上]と《白い大魚の像》[写真下]。このモニュメントには、もう一つ、《二つの岩の像》が含まれるが、これは写真を撮り忘れた。モニュメントの制作は、札幌在住の彫刻家、松本純一。《ロセトの像》の台座銘板に、どのような伝説か書かれていた(写真中)。エコーセンター2000敷地内としたが、エコーセンター2000は網走市のオホーツク・文化交流センターの愛称で、同じ建物の中に、網走市立図書館も入っている。




網走川左岸・水の広場の野外彫刻/モニュメント。中でも、赤と銀の龍を思わせる野外彫刻[写真上]が印象的だが、水の広場の名に反し、水が流れていなかったのはちょっと物足りない。網走ライオンズクラブと網走桂ライオンズクラブの主管により、ライオンズクラブ国際協会331-B地区の第38回地区年次大会記念事業として整備されたようだ。 [写真中]は、例によって真っ黒でわかりづらいが、能取岬やエゾジカを描いたレリーフになっている。

  • ここまで見たところで、道の駅流氷街道網走まで戻り、自転車を返却。ホテルまで、歩いて戻る。これが、意外に距離があり、へとへとになってしまったの巻。途中、中央公園があったので、覗いてみたら、ここにもモニュメントがあった。


網走川の河口。ぽつんと盛り上がっているのは帽子岩というそうだ。

  • 中央公園のモニュメント



中央公園の、《流氷》。開基100年・市制施行25年を記念して、網走市が設置。作者などは不詳。


TAP90’ メモリアルモニュメント《はばたく》(1990.11.15設置)。網走市で観光立県推進地方会議が開催された記念に、網走土木現業所が設置。

  • さて、例のごとく、地元のスーパーで、食料など買いだして、ホテルに戻る。今回宿泊したホテルは、JR網走駅近くの、ホテルサンアバシリ。東横インとか、ルートインといったチェーン店も近くにあったが、今回は朝食付Wi-Fiありの最安値でここを選んだ。設備は、やや古かったが、アニメティも含め、まあまあといったところ。ただし、冷蔵庫と冷房はついていない笑 まだ6月なので、大丈夫だろうと高をくくっていたら、今日は30℃近くまで気温が上がり…笑 まあ、大丈夫でしたが。風呂に入り、早々に寝る。が、疲れすぎたのか、なかなか寝付けず、ちょっとまいった。やれやれ。