- 6:00過ぎに起床。6:30、1Fの食堂に降りて、朝食を食らう。まあまあおいしかった(ちなみに、オレはとてもおいしい、まあまあおいしい、おいしくない、の3段階評価です)。部屋に戻り、一休みしてからチェックアウト。昨日は雨に加えて、夕闇が迫ってきたので、宿題とした、大久保利通像をまず再訪する。
- 大久保利通と御者と馬の像
甲突川にかかる高見橋の東詰上流側に設置されている、《大久保利通像》(1979.9.26設置)。大久保甲東百年記念顕彰会による。像の制作は中村晋也。さて、昨日、中村晋也美術館で知ったのだが、
像の裏、台座のところに、一人の男と馬が彫り出されている(銅像なんで、正確には「彫り出す」ではないんだけどね…)。これは、1978年(明治11)、暗殺された大久保利通と運命をともにした、御者と馬なのだとか。検索して知ったのだが、御者は中村太郎という名で、幕末の頃、大久保が引き取って養育した孤児なのだとか。長じて、大久保に仕えていたとのこと。大久保利通の墓の近くに、この御者と馬の墓もあることを知った作者が、御者と馬の像もともに造りたいと思っていたところ、(反対されると、造れなくなるので、)塑像の完成を観に来たお歴々の観覧を経た後に、ぱっと造って、付け足したそうだ。この逸話を好ましく思い、ちょっと確かめに来た次第。遠くからなので、わかりづらいが、確かにあった(って、昨日、美術館でも観ているのだが…)。除幕の後、ばれて、話題になったらしい。
同じ広場の植え込みの中の彫刻らしきもの? 特に銘板の類もなく、正体は不明。こういうのがけっこう好きなんだよな笑
- 昨日の宿題を果たしたので、鹿児島中央駅から栗野駅に向かうことにする。鹿児島中央駅8:09発の国分行きで、終点のひとつ手前の隼人まで行く。8:46に到着。ここで、隼人の吉松行きに乗換。9:03発の予定だが、10分遅れの特急待ちで、発車が10分遅れる。途中、遅れを少し取り戻し、栗野には9:58分頃、到着。1290円。きっぷは鹿児島中央駅の券売機でSUICAで購入。栗野駅前の湧水町ふるさとバスのバス停と時間を確かめ、栗野駅周辺の野外彫刻を探る。
- 栗野駅前と丸池湧水公園 湧水町では、「芸術があるまち」事業として、町の各所に、彫刻家・美術家やその卵(美術大学の学生ら)の作品を数多く設置してある。けっこうな数があるみたい… とりあえず見かけたものは、一応(!?)、掲載しておく。
栗野駅前の、宮薗広幸《てき てき》(2013)。
栗野駅の反対側に、丸池湧水があり、周囲が公園になっている。池の中で、水がこんこんと湧き出していた。そして、公園の各所に彫刻がいくつか設置してあった。
竹迫美貴《撫で○》(2016)
原正憲《宵》(2006)
越智彩《yu-fu》(2008)
西村充《slab works》(2015)
阪梨渡《cloth》(2007)
原正憲《生々流転》(2006)
師岡千穂《Tsu-rara》(2010)
石川しょうこ《熊》(2016)
それから、住民らによるお祭りの際に制作されたつくりものもいくつか設置されていた。というか、こちらのほうが目立っていた。これは、その一つのバルタン星人。
- 霧島アートの森
草間彌生《シャングリラの華》(2000)
西川勝人《ほおずき・コブシの森》
アートホール(美術館)へのアプローチ
植松奎二《浮くかたち−赤》(1999)
草間彌生《赤い靴》(2002)
ジョナサン・ボロフスキー《男と女》(1999)
フィリップ・キング《サン・ルーツ》(1999)
ダン・グレアム《反射ガラスとカーブした垣根の不完全な平行四辺形》
八田隆《プライベート・ガーデン》(2000)
竹道久《ひだまり》(2000)
福元修一《アース・レッド&ブラック》(2000)
通畠義信《時の巣》(2000)
タン・ダ・ウ《薩摩光彩》(2004)
マルコ・カサグランデ&サミ・リンターラ《森の観測所》(2004)
木道を降りていく。
と、まばらに木の生えた場所に出る。ここに、5体の彫刻が木立に隠れるように立っている。
アントニー・ゴームリー《インサイダー》(1999)
ルチアーノ・ファブロ《イザナミ・イザナギ・アマテラス》(1999)
ダニ・カラヴァン《ベレシート(初めに)》(2000)
チェ・ジョンファ《あなたこそアート》(2000)
ウルリッヒ・リュックリーム《ストーン・セッティング》(1999)
若林奮《4個の鉄に囲まれた優雅な樹々》(2000)
西野康造《気流−風になるとき》
椿昇《"RIGHT SHEEP" 2012》(2012)
牛嶋均《キリシマのキチ》。敷地内に設置してある一連の彫刻遊具。多くはアートホール近くの芝生広場に設置されていたが、森の中にもいくつかあった。
福澤エミによる石のベンチ、《インターリンク》。森の中も含め、園内のいろいろなところに設置されていた。全部で23ヶ所とのこと。
内倉ひとみによる水飲み場、《天使のみずのみ》。駐車場を含め、3ヶ所に設置。
そして、最後に、藤浩志のやせ犬、《犬と散歩》。園内8ヶ所でうろうろしているらしい。
- 帰りのバスまで、まだ2時間近くある。さて、どうしたものか? バスの都合で、4時間30分ほどの滞在時間があったのだが、さすがにこれでは時間が余るので、はじめの予定では、二つ手前のバス停の栗野岳温泉で下車し、「栗野岳八幡大地獄」(噴気口ね)を見学し、その後、霧島アートの森までぶらぶら歩いてくる(2kmちょっとある)つもりだったのだが、栗野駅でバス待ちしている間に、急に雨が降り出し、しばらく止みそうもないので、地獄見物は取りやめとして、バスでそのまま霧島アートの森までやってきたのであった。しばらく、降ったり止んだりが続いていたのだが、13:00を回った頃から、どうやら晴れ間が見えだした。ただ、北風が強く、寒い。ぼっーと待っているのも、しゃくなので、一つ手前のバス停、栗野岳展望台まで歩いてみることにした。県道103号を北に10分ほど歩くと、バス停に到着。名前のとおり、バス停の近くに、県道から山腹の斜面に突き出すように展望台が設けてあった。残念ながら、今日は雲が多く、かすんでいて、あまりぱっとした景色ではなかった。また、ここまで来る途中に「日本一の枕木階段」というのがあり、あきらかに膝殺しの物件(笑)なので、どうしたものかとも思ったのだが、まだだいぶ時間に余裕があったので、これを上ってみることにした。
展望台への道筋の途中に、野外彫刻が設置してあった。鏑木康之《ナノハナとチョウチョ》(1998)。ここだけではなく、帰りのバスで栗野岳を下る際の道筋にも数基の野外彫刻を見かけた。
1988年1月31日付で廃止された旧国鉄山野線(水俣と栗野を結んでいた)の、旧栗野町内にあった線路の枕木を使って、1990年に設置されたものだとか。階段の下からは見えないが、上りきると、展望台があり、天気がよければ、桜島なども見えるらしい。
さて、上り始める。中央が植え込みになっていて、その左右に枕木階段がある。ところどころ、植え込みに切れ目があり、ベンチが置かれている(たいはんが破損していたが…)オレ的には枕木の高さがあっているのか、存外、上りやすかった。が、油断してはならない。
振り返って見ると、県道の反対側は牧場のようで、数頭の馬がのんびりと草を食んでいた。後で知ったのだが、競走馬などを引退した馬たちが暮らしている牧場だった。
しばらくすると、展望台が見えてきた。
展望台から、上がってきた枕木階段を眺める。枕木階段はこれだけではなく、さらに先にもずっとつながっている。
こちらは、霧島アートの森の方。かすんでいなければ、桜島まで見えるらしい。
眺望の場所を示すブロンズ板があった。
- 枕木階段を上がりきったあたりには、横に伸びる道があって、こっちへ来いと、オレを誘っている笑 また、栗野岳の頂上へ登る道(頂上まであと1.8kmとあった)もあり、これまたこっちへ来いとオレを誘っている。どちらも、未知の道でどこに続いているのだかわからないし、また、膝もやばいし、時間も心配なので、今回はおとなしく引き返すことにする。そのつもりだったが、枕木階段を1/3ほど下ったあたりに、横に逸れる道があった。この道はアートの森に隣接する栗野岳レクリエーション村の上の方の広場に続いているようなので、ふらふらとこの道に逸れてしまった。ところが、それみたことかといわんばかりに、目の前に見える広場にはなかなか至らない。というか、広場の外縁、笹原を隔てて、延々と向こうへ伸びているじゃないか。う〜む、引き返すのめんどうだな。と、広場にいちばん接近しているあたりで、思い切って笹原を突っ切ることにした。オレの背よりも高い笹原だったが、無事に横切ることができて、ほっと一安心。広場の下の斜面にあった椋鳩十の文学碑などを眺め、無事に霧島アートの森のバス停まで戻ってきた。
栗野岳レクリエーション村の上の方の広場。山の中腹に、先ほどまでいた展望台が小さく見える。
椋鳩十先生著「栗野岳の主」文学碑。栗野岳を舞台に「栗野岳の主」と呼ばれるイノシシの一家を描いた物語とのこと。大きな岩に碑板をつけただけだけど。
バス停付近。湧水町ふるさとバスは、バス停もバスの塗装もあわい水色で統一されている。
- さて、霧島アートの森15:45発のふるさとバス・東回りで、終点のいきいきセンターくりの郷まで。乗客はオレ一人。乗車時間は20分ぐらいか。200円。いきいきセンターで約1時間の待ち合わせ。ここで、南国交通の鹿児島空港行きのバスに乗り換える。時間があるので、近くのコンビニでサンドイッチとコーヒーを食らい、その後、いきいきセンター周辺の野外彫刻を探った。
いきいきセンターくりの郷の、田中謙太郎《sunset》(2003)
いきいきセンターくりの郷の、関祐美子《寄りかかる女》(2007)。いきいきセンターの軒下に、この2作とともに、たくさんのチェーンソーアートも並んでいた。湧水町では、いろんなところで、チェーンソーアートを見かけた。けっこう盛んらしい。
くりの図書館前の、石彫の女性像。タイトル板は見当たらず。詳細は不明。
いきいきセンターくりの郷・駐車場付近の、上藤晴子《Melt away》(2007)
駐車場にふるさとバスが停まっていたのだが、オレの乗った「東回り」号はいなかった。
- いきいきセンター17:07発の南国交通バス・鹿児島空港行きは、数分遅れでやってきた。これに無事乗車。なにせ水俣からえんえんと2時間近くかけてくるバスなので、数分の遅れはほとんどオンタイムと言っていいと思う。いきいきセンターで2人降り、オレが乗車。鹿児島空港までの乗客はオレを入れて3人。30分ほどで、難なく鹿児島空港に到着。620円。車中、ほとんど気を失っていた。ジェットスターのカウンターでちゃんと飛ぶか確認し、適当な夕食を適当に食らい、保安検査場を通り抜け、静かなところで本を読む、といういつものパターン。飛行機に乗る前にデヴィッド・トゥープ『フラッター・エコー』を読み終え、機中ではPKDの文庫本を読み継ぐ。帰りの飛行機は、ジェットスターGK628便、鹿児島19:50→21:30成田の予定だが、本を読んでいると、アナウンスがあり、使用機材の到着遅れで、35分出発が遅れるとのこと。ダメじゃん。ぎりぎりで終バスに間に合わないってやつだよ、これ(笑) 今日は絶対に走らないゾ(笑) で、飛行機は、アナウンス通り、きっちり35分遅れでの運行。成田には22:05頃、着陸。バスでの移動で、到着ロビーには、22:15を回った頃に出たのであった。ということで、帰りはリムジンバスではなく、京成電鉄を利用した。空港バスでT2に移動して、空港第2ビル駅22:42発(先頭車両にいつもいる騒々しいおばさん2人組が今回もいたゾ!)で京成津田沼を経由して京成の最寄り駅まで。あとは歩いて帰宅。24:00前には家にたどり着いたのであった。