かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

雨の釧路 彫刻放浪:釧路・鶴居(1)

  • 釧路へ行ってきた。釧路に行くのは今回で3回目。お目当ての第一は、(釧路市ではないが、)鶴居村の野外彫刻を訪ねること。そして、もう一つは、釧路湿原である。前回、釧路湿原を訪ねた折の日録で、「次回は、温根内の木道を歩いて、鶴居村営軌道跡を南に下って、北斗遺跡の展示館などを見学するってルートを半日かけてゆっくり歩きたいな。」と書いたのだが(→ここ)、これを実現させること。これが第二のお目当て。他にも、いろいろとプランだけは立てたのだが(例えば、根室/納沙布岬に行ってみるとか…)、2日の旅程のうち、初日が雨で、あまり身動きがとれないこともあり、釧路市街の彫刻放浪再びと鶴居村釧路湿原のプランとなった。とはいえ、初日の夕方から晴れ上がり、2日目もいい天気で、まあ、それなりに楽しい旅となったのであった。
  • さて、出発。最寄り4:58発のリムジンバスで、羽田空港に向かう。1時間弱で、羽田空港T2に到着。予定どおり。今日搭乗する飛行機は、AIR DO AD71便、羽田7:45→9:25釧路の予定。離陸前に、機体の重量確認云々でしばらく出発待ちとなり、釧路空港への到着は15分遅れ、9:40分頃となった。空港からのバスは、釧路の場合、飛行機の到着に合わせて出発するので、問題はなし。9:50過ぎに出発した。1時間弱で、釧路フィッシャーマンズワーフMOOのBTに到着、ここで下車した。
  • 第1日は、雨降りでなかったら、釧路の野外彫刻のうち、いくつか見残しているものを、レンタサイクルで観に行くつもりだったが、これは雨でかなわず、徒歩とバスで、市街の野外彫刻を再訪することにした。MOO→釧路芸術館→幣舞橋→幣舞公園→まなぼっと幣舞→春採湖→釧路市立博物館と回った。博物館最寄りの市立病院(市立釧路総合病院)バス停から釧路駅方面行きのくしろバスに乗り、十字街7丁目バス停で下車、おそい昼食を食べてから、いったんホテルにチェックインした。これが、本日前半の梗概。
  • では、もう少し詳しく。MOOで一息ついて、近くの道立釧路芸術館へ向かう。釧路芸術館では、新収蔵展示「米坂ヒデノリのオーケストラ」を観覧した。米坂ヒデノリ(1934-2016)が蝋型鋳造で制作した81体のブロンズ像による《頌韻(三管編成オーケストラ)》(1997)の展示だ。1体1体は小ぶりな音楽家/演奏家の像で、1体の像の演奏はシンプルな楽器の音色なのだが(もちろん、それだけでも十分魅力あるものだったが)、これが81体ともなると、大オーケストラの華麗なオーケストレーションが豪奢な音響で空間を満たす、という感じ。これまでオレの観てきた米坂ヒデノリ作品とはちょっと違った印象だが、なかなか興味深いことになっていたのであった。なお、市街地の野外彫刻は、以前の釧路旅行の際のエントリーにだいたい掲載しているので、今回は観覧したものの中から一部を掲載。

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釧路芸術館前の、アルナルド・ポモドーロ《球》(1989-90)

  • 続いて、幣舞橋を渡り、幣舞公園まで歩く(幣舞橋の道東の四季像はまた後ほど…)。幣舞公園で彫刻や碑を観覧。原田康子の文学碑を改めて観ていると、裏面に中江紀洋のサインがあった。そうか、中江紀洋の作だったのか。前回は見落としていた。次に、生涯学習センター「まなぼっと幣舞」を訪ねる。館の周囲や中の彫刻をさらった後に、10Fの展望室にも行ってみたが、視界が悪く、ほとんど何も見えなかった。2Fのベンチで休憩して、次にどこへ行くか、どうやって行くか検討する。まなぼっと幣舞最寄りバス停(釧路三慈会病院)から釧路博物館最寄りの市立病院に行くバスがあるようなので、これに乗って、釧路市立美術館に向かうことにするが、バス停で待っているうちに、待ちが苦手のオレは、雨も小降りなので、ついふらふらと歩き出してしまった。おおよそバスの走るルートを歩いていたようだが、春採湖はあちらという看板を見つけ、ついふらふらとバスのルートを外れてしまう笑 歩き出して15分ほどで、春採湖の湖畔に無事に?到着。

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幣舞公園の、ツルのオブジェ。制作者などは不詳。


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幣舞公園の、原田康子文学碑(1998.9.26建立)。表面には『挽歌』の一節が彫られている。碑の制作は中江紀洋。原田康子『挽歌』の碑建立期成会による。


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まなぼっと幣舞・2Fの、中江紀洋《風の色を見た》(1992.9)

  • 行き着いたのは、春採湖の西側の野鳥観察デッキのあるあたり。雨じゃなかったら、春採湖の周囲を歩くつもりだったので、一応地理など頭に入れて、準備しておいたのだが… 今日はざあざあ降りまではいかないまでもそこそこの本降り。だけど、まあいいや、歩いてみようか。ということで、ここから時計の逆回りで、釧路市立博物館まで歩くことにした(正確には、1周ではなく、3/4周ぐらいか)。湖には周遊路が整備されており、道に迷わず、ぐるっと回ることができた。だいたい1時間ぐらい。中でも東側の釧路臨港線の線路と並行して歩くあたりは偽鉄のオレでも楽しい、楽しい。釧路臨港線は、正確には太平洋石炭販売輸送臨港線といい、釧路コールマインの採掘した石炭を春採駅から知人駅まで運送する貨物専用線。残念ながら、釧路コールマインの採炭量の減少に伴い、2019年3月末に運休、6月30日付で正式に全線廃線になるとのことだ。湖の東側にあるショッピングセンターの裏手に、貨車が止まっていた。その後、ハルトルチャランケチャシ跡などを経て、ネイチャーセンター近くの東屋で休憩してから、湖畔のルートではなく、やや陸寄りの上り道を上がり、釧路市立博物館へ向かった。

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春採湖の西側、野鳥観察デッキのあたりから東の方を望む。中央の高台に見えるのが、毛綱毅曠建築の釧路市立博物館(1984)、その左側に半円を重ねた上部を見せているのが同じ毛綱毅曠建築の釧路市立幣舞中学校(1986。当時は釧路市立東中学校)。


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春採湖の東岸沿いを走る釧路臨港線の線路と並行する周遊路を歩く。


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春採湖の東端にあるショッピングセンターの裏手に、釧路臨港線の石炭積み出し駅があり、貨車が並んでいた。一度、走っているところを見たかったなと。


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ハルトルチャランケチャシ跡のある高台から南の方を望む。


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ハルトルチャランケチャシ跡のあたり。六地蔵が祀られていた。


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春採湖ネイチャーセンター近くの桟橋。壊れていて、立入禁止だった。

  • 釧路市立博物館 博物館は再訪。一般470円。今回は、1Fの湿原、2Fの簡易軌道、3Fのアイヌの文化などを中心に観覧。簡易軌道は、博物館が以前開催した企画展をまとめ直して、常設展としたもので、鶴居村簡易軌道など(明日その跡の一部を歩くつもり)、興味深く観覧。明日のいい予習になった。あと、最近は樺太に行ってしまったので追っかけができないでいるが、杉本佐一とアシリパさんもいたゾ笑

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博物館の正面アプローチ


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博物館の正面には、本郷新《朔北の母子像》が立っている。オリジナルは1961年に制作されたセメント像で、春採湖の高台に設置された。年月が経つうちに、傷みが激しくなったので、釧路市によってブロンズ像に作り替えられ、1983年11月、釧路市立博物館の開館に合わせ、現在地に再設置された。


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幣舞中学校の裏手の丘に包丁塚があった。包丁塚は真っ黒にしか撮れなかったので、その丘からの眺めを。春採湖の向こうに海が見える。

  • さすがに歩き疲れたので、帰りはバスに乗ることにする。博物館最寄りの市立病院からくしろバスに乗って、十字街7丁目バス停で下車。220円。釧路市中央図書館に併設されている釧路文学館に行くつもりだったが、道を歩いていたら、旭橋跨線橋が見えたので、ついふらふらとそちらの方に歩いて行ってしまう。跨線橋の近くのスーパーに隣接してインデアンカレーがあるのだ。お腹も空いていたし… ということで、今回の旅行の隠しお目当て笑のインデアンカレー旭橋店に突入。カツカレーを中辛で食らう。その後、隣のスーパーで飲み物などを買って、ホテルに向かおうとしたら、外はざあざあ降りになっていた。これは…ちょっと外に出る気になれない降り方なので、やむなく隣接のヤマダ電機の1Fのベンチで雨が小降りになるのを待つ。15分ほどで、小降りになってきたので、ホテルに向かうことにした。

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本拠地は帯広だが、釧路でもいいのだ。

  • 今日は、スーパーホテル釧路天然温泉に宿泊。4Fの禁煙・シングル。1泊4700円。部屋もきれいで、設備など、特に難はなし。枕元の電源など、かゆいところに手が届く感じ。宿泊料からすると、素晴らしいコストパフォーマンス。と、絶賛しておく。
  • で、ホテルで1時間ぐらい休憩した後、雨も上がったようなので、夕方の彫刻放浪へ向かう。釧路文学館を観覧の後、JR釧路駅周辺→シビックコア/幸町公園・釧路市子ども遊学館周辺→釧路プリンスホテル/釧路市役所→幣舞橋→港文館の石川啄木像と野外彫刻を再訪して回った。幣舞橋の四季の像の写真を撮っている人がやけに多かったな。その後、ホテルに戻る。これで今日の予定は終わり。疲れたので、風呂に入って、寝る。

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JR釧路駅前の、澄川喜一《光る風》(1988)。オレのキーチマン巡礼はここから始まった。ところで、風で動くのね。前回来た時は気づかなかったけれど、今日はくるくる回っていた笑

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幸町公園通りから日銀釧路支店のあるあたりまで遊歩道が連なっている。鉄道の引き込み線跡で、幸町公園には転車台があったそうだ(SL「C58」や北海道鉄道記念塔が設置されている)。釧路地方合同庁舎や釧路市こども遊学館のあるあたりは、芝生広場もあり、シビックコアと呼ばれている。1995、6年に整備されたらしい。遊歩道やシビックコアには、ポルトガルのアーティスト、ジョゼ・デ・ギマランイスによるパブリックアートがそこかしこに設置されている(せっかくのジョゼ・デ・ギマランイス作品なのだが、現地には作者の説明板も見当たらず(あるのかな?)、釧路市関連のサイトでも言及されていないのは、どうして?)。前回は網羅できなかったので、晴れて青空が出ていることもあるので、今回はコンプリートするゾ笑


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ベンチその1。

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《ナイスキャッチ》。オブジェにはキャプションみたいなものがついていて、作者や制作年・設置年は記載されていなかったが、「愛称」ナイスキャッチ」などと書かれている。以下、「愛称」は略して記載。オブジェにはネオン管が仕込んであって、暗くなると、これが光る仕組みだが、メンテが行き届いていないのか、点いていないものも多かった。ちょっと残念。


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ベンチその2。ベンチは他にもあった。コンプリート版をうたったものを、その3の写真を撮り忘れた。ダメだ。


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《ニャンコの手》。愛称は誰がつけたのだろう? あまりギマランイスっぽくないように思うのだが…


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《ひらめきベンチ》


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街灯


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《バンザイマン》。池の中に設置されている。後ろにめいるが子ども遊学館


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《雲のウィンク》


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《イエローダンス》


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これは何だろう? もう1組あった。


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円形の広場ばあり、青い柱が取り囲んでいる。この広場の中央を自動車道が走っているので、あまり、広場としては機能していない…


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《グーッ!》


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《キラランハート》

  • 幣舞橋と港文館の啄木像・夕暮れ編 幣舞橋の道東の四季像などを。まず、幣舞橋の上流側の歩道を渡り、釧路川の左岸に降りて、港文館まで歩き、再び幣舞橋まで戻り、橋の下流側を渡って戻った。短い間にどんどんと日が暮れていった。

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本郷新《冬》(1977.5.3除幕)。像の足下に、上部だけ見えている建物は、毛綱毅曠建築の釧路キャッスルホテル(1987)。


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柳原義達《秋》(1977.5.3除幕)


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毛綱毅曠建築の釧路フィッシャーマンズワーフMOO(1989)を対岸から。


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港文館前の、本郷新《啄木》(1972.10.14建立/1991.5移設)。石川啄木像建立期成会による。それにしても、かっこよすぎだろう笑


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佐藤忠良《夏》(1977.5.3除幕)


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最後に、舟越保武《春》(1977.5.3除幕)