かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

「鈴木春信 ボストン美術館浮世絵名品展」、所蔵作品展「江戸美術の革命 春信の時代」(千葉市美術館)

  • 「鈴木春信」展は、タイトルの通りボストン美術館の所蔵する浮世絵コレクションから鈴木春信に焦点をあてた展覧会(参考出品として、若干の千葉市美術館所蔵作品を加えている)。プレ春信、春信初期を扱ったプロローグ、春信を育んだ時代と初期の作品、に始まり、1.絵暦交換会の流行と錦絵の誕生、見立てを読み解く2.絵を読む楽しみ、少年少女の恋をテーマにした3.江戸の恋人たち、母親と子どもを焦点に江戸の生活を題材にした4.日常を愛おしむ、そして、当代のアイドルを描いた5.江戸の今を描く、の5章を本編に、最後に春信の影響を見るエピローグの、春信を慕う、まで、見応えのある展示。8F全体と7Fの半分ほどを使った大規模な春信展だった。なお、展示替えはない模様。図録あり。2500円。ハードカバー。展覧会は、この後、名古屋、大阪、福岡と巡回予定。
  • 18世紀の半ばに登場した江戸の新流派を扱った所蔵作品展「江戸美術の革命 春信の時代」がおもしろい。黄檗絵画や南蘋派、あるいはイギリスの眼鏡絵(→応挙の眼鏡絵)、京都の応挙や奇想派、文人画派、さらには彩色刷りの挿絵本や拓版画による画譜、絵本など。おまけに、近現代の春信敬慕として、新版画や鏑木清方小村雪岱、そして、小川信治まで、市美蔵と寄託作品により構成。個人的には、やはり蕭白、久しぶりに観た《獅子虎図屏風》[千葉市美蔵]もいいが、初めて見る《寿老人・鹿・鶴図》[個人蔵。平成28年度寄託]がおもしろい。細めの画面に、それぞれ上に長く伸びるような感じが奇妙。また、応挙の円満院旧蔵の《雪景山水図襖》10面が並んでいたのもうれしいところ。実は初めて観たのかも。少なくとも改装が2度行われているとのことで、画面の連続、全体の構想がよくわからなくなっているのは残念だが、雪景をリアルに描くことで、それが、リアルを超えて、夢幻のような世界になっていく辺りが素晴らしい。などと。