かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 京の雅び・都のひとびと ―琳派と京焼― (出光美術館)

『京の雅び・都のひとびと』展を出光美術館で見てきました.展示は,

  1. 「洛中・都の景色−京都の町並みを歩く−」「楽焼」(展示室1)
  2. 俵屋宗達」「野々村仁清(展示室2)
  3. 尾形光琳」「尾形乾山(展示室3)

という構成.「洛中・都の景色」洛中洛外図屏風》《祇園祭礼図屏風》といった桃山〜江戸初の名所図+風俗図をずらっと並べていた他は,各パートともそれぞれタイトル通りの作品(「伝俵屋宗達」「伝尾形光琳」も含めて)がわりとまとめて展示してありました.また,所々で当時の江戸の状況を解説したパネルがあって,それがちょっとしたアクセントになっていました.いろいろとおもしろいものや名品(特に焼き物)もあったのですが,一つだけ挙げますと,尾形光琳《蹴鞠布袋図》(紙本墨画・1幅)がよかったですね.縦に○のモチーフが4つ−上から鞠,布袋の顔,布袋のお腹,布袋の荷物−重なり,そこにうかがえる機知が実にいい感じでした.なお,併設で仙突の禅画が7点,展示してありました.本展の会期は2005.9/3〜10/30です.
以下,この他の展示です.
新しく(かな?)オスロムンク美術館所蔵のムンク作品を展示するコーナーができ,今回は3作展示してありました.※ここに画像と解説あり.

  • 《ロルフ・ステネルセンの肖像》(1925/6)
  • シャルロッテ・ゴルデーの肖像》(1930)
  • 《栗の木の下で》(1937)

これがなかなかよかったですね.ちょっと魂を揺さぶられました(ほんとです!).3作とも一見すると明るい色調で描かれた静謐な肖像画なんですが,いずれにもどことなく変な感じがあって,しかも,その変がかなり神経症的な迫り方をする.見ていて,居心地はあまりよくない,でも,そこから立ち去りがたい,というような感じです.《ロルフ・ステネルセンの肖像》は青年のわりとお行儀のいい肖像なんですが,膝の前で組んだ両手が溶解してくっついてしまっている,というような描き方をしていて,これが単に不気味なものというのでもない,変な印象が残りました.
また,ジュルジュ・ルオー,これは出光美術館のコレクションの柱の一つですが,やはり3点ほど展示してありました.

  • 《道化師の顔》(1902-9)
  • 《東方の女》(1937)
  • 《ペドロ》(1948頃)

最後に陶片資料室をちらっとのぞいたのですが,先日読んだ三上次男『陶磁の道』岩波新書)にも出てきたエジプトのフスタート遺跡出土の陶片が展示してあり,これが意外におもしろく,しばし見入ってしまいました.