かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 台東区のたからもの 寺社所蔵の文化財に見る歴史・文化 (東京藝術大学美術館)

上野に移動して,東京藝術大学美術館で『台東区のたからもの』展を見ました.
台東区の寺社が所蔵する文化財を紹介する展示です.
お目当ては伊藤若冲《髑髏図》(絹本墨画着色・1幅)でしたが,他にも葛飾北斎《達磨図》(紙本墨画淡彩・1幅,北斎らしく衣紋線がいい暴れっぷり!)や寺社縁起の類,ずらっと並んだ小型の板碑など,なかなかおもしろかったです.
中でも,《玉露童女追悼集》と題された張込帖に目がとまりました.解説によると,これは次のようなものです.因幡国若狭藩の前藩主松平冠山が,6歳で亡くなった娘,露姫の遺書を木版刷りにして知人に配布しました.この遺書に感銘した1500人以上の人が(って,1500人以上にも配ったってことですよね?う〜ん),追悼の書画を冠山の元に寄せました.中には松平定信酒井抱一など,著名な人も多く含まれています.冠山はこれらを全30巻に仕立て,露姫の供養のため,文政6年(1823)浅草寺に奉納したとのことです.展示はその中のほんの一冊のうち,酒井抱一の寄せた《白鷺図》の部分が出ていました.水墨の白鷺は軽妙なタッチで描き上げられたものでした.それにしても,1500人以上の人が感銘を受けたという露姫の遺書は残っていないものでしょうか.私もぜひ読んでみたいものです.
藝大美術館では,この他,『退任記念 手塚登久夫展』『退任記念 堀越保二展』を併せて,見てきました.