かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 東福寺・涅槃会   [2006.3/19記(途中)]

仏殿(本堂)  現在の仏殿(本堂)は1934年(昭和9)に再建されたもので,昭和期最大の木造建築だそうです.(ちなみに,以前の仏殿は1881年[明治14]に焼失.この時,狩野山楽による天井画の龍図も失われました.う〜ん,残念.)通常,仏殿の中に入ることはできませんが,涅槃会の3日間は,明兆の《大涅槃図》ともども無料で公開されます.
仏殿の天井画は堂本印象(1891〜1975)による《雲竜図》で,落款に「昭和癸酉夏」とありましたので,1933年(昭和8)の作になりますね.円相はなく,長方形の天井いっぱいに雲と宝珠を持つ龍の姿が描かれていました.その大きさは体長54m・胴回り6.2mに及ぶそうです.龍の顔は,ちょっと大徳寺にある伝牧谿の龍に似ているかな.口の間から見える歯がちょっと間抜けな感じ(失礼!).それとまっすぐ伸びる角が印象的でした.

明兆《大涅槃図》 絹本着色・1幅・880×531・応永15年(1408)
堂本印象《雲竜図天井画》 1933年(昭和8)


方丈(庭園と宝物展)  「八相庭」の他,方丈室内で東福寺未生流の献花と宝物展.宝物展の主の展示品は下記のとおりです.

−主な展示品−

  • 《八相涅槃図》1幅・絹本着色
  • 明兆《五百羅漢図》3幅・絹本着色 ※全50幅.ただし,現存は47幅.そのうち,45幅が東福寺に,残り2幅が根津美術館に所蔵されている(根津美術館所蔵の2幅の画像はここ).また,東福寺所蔵のうち,20幅が京都国立博物館に寄託中.
  • 明兆《五百羅漢図下絵》2幅・紙本墨画 ※《五百羅漢図》の下絵.色の指定などの墨書あり.
  • 明兆《寒山拾得図》双幅・紙本墨画
  • 明兆《白衣観音像》1幅・紙本墨画
  • 明兆《四十祖像》2幅・絹本着色 ※全40幅のうち.展示は〈馬祖一禅師〉〈密菴傑禅師〉の2幅.
  • 明兆《三十三応身観音像》3幅・絹本着色 ※全33幅?のうち.展示は〈毘沙門身〉〈憂婆塞優婆夷身〉〈龍魚諸鬼難〉の3幅.
  • 《一円三祖図》1幅・絹本着色
  • 《水鏡図》1幅

上記の他,室中の受付?の周りが,花鳥を描いた6曲1双屏風で囲ってありました.江戸時代初期のぐらいの作でしょうか?


三門  応永32年(1425)落成の現存最古の三門です.楼上の扁額は「妙雲閣」.楼内には中央に釈迦像とその左右に8体ずつの十六羅漢像が安置されています(ともに室町時代初期の作).羅漢さんたちの異形ぶりがなかなかよろしい.また,天井や梁,柱の彩色画は兆殿司(明兆)とその弟子,寒殿子によるもの.迦陵頻伽を描いた天井画や,梁の唐草,牡丹など.ただし,楼内がやや暗く,褪色もあり,あまり明瞭にはみえませんでした.それに凄く寒かったし...


この他に現存最古の客殿遺構である龍吟庵(嘉慶元年[1387]の造立と推定)も涅槃会にあわせて公開されていましたが,今回はパスしました.

【メモ】東福寺・涅槃会 毎年3/14〜3/16 9:00〜16:00(16日は15:30まで) 拝観料:仏殿(本堂)無料  三門500円 方丈(庭園と宝物展)400円 龍吟庵400円  それから,2006.4/22〜5/9の期間,東福寺(の大書院)で「特別名宝展」を開催するみたいです.明兆の水墨画が出るようですが,詳細は不明.ソースはここ(4月の情報>トピックス>春の特別展特別公開)です.