かけらを集める(仮)。

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 館蔵 大津絵と幕末・明治の戯画錦絵 展 [後期]  (町田市立博物館)

展示の構成は前期(→ここ)と同じですが,展示品の多くは入れ替えになっていました.戯画錦絵では,歌川国芳の『荷宝蔵壁のむだ書』シリーズとか小林清親の戯画が印象に残りました.『荷宝蔵』は天保の改革で役者絵が描けなくなった時に,「土蔵の壁の落書き」仕立てに役者絵を描いたもの.1枚に数人の役者の顔が描かれているのですが,わざと稚拙に落書き風にしているとはいえ,どの役者の似顔かちゃんとわかります.これで公儀の目をごまかせるのか!?いや,役者の名前がわかっても,こんなにくずしてかっこわるきゃ役者絵としてはダメダメだあ!!などと思ったりして.清親はこれまで東京の風景を描いたもの以外,あまり見ていなかったので,《清親放痴》《新版三十二相》などの戯画はなかなか興味深かったですね.今回の展示は出品数が少ないので,その点ちょっと物足りなかったのですが,別の機会にどこかで清親の戯画と戦争画をまとめて見せてくれないものかしら.大津絵ではこれまで見たことのなかった題材の《馬上八幡》(騎馬の八幡神を正面から描く)や《竹に龍》(竹に虎ならぬ,龍が巻き付いている),《猿》(一応,猿猴捉月図のパロディーらしいが,なんか変)あたりがおもしろかったです.
展示は小規模ながらよくまとまっていて,前期展と同様,なかなかよかったのですが,「鯰絵」などの長め詞書きが読めなかったことがちょっと難でした(短い詞書きや画面中の和歌などは多少キャプションに翻刻がついていたのですが,鯰絵などの長文の詞書きは翻刻なし).戯画の場合,これ読まないと,半分しか見たことにならないし,中には,名のある戯作者が執筆していることもあり,その内容を見ないのはちょっともったいない.一応,この程度のくずし字は読めますが,単眼鏡を片手にガラスに長く張り付いていると,やはり他の人の迷惑にもなりますし...う〜ん,何かいい手だてはないものでしょうか.それから簡単なものでいいから出品リストは欲しいところ.紙媒体が無理なら,サイトにリストを掲載してもらえるとありがたいですね.そんなに手間はかからないと思うので,どうかぜひ.
【メモ】町田市立博物館 2006.5/30〜7/2(後期は6/20〜7/2) 無料