かけらを集める(仮)。

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 花鳥 −愛でる心、彩る技 〈若冲を中心に〉 [第4期]  (三の丸尚蔵館)

三の丸尚蔵館の「花鳥」展も早いもので,第4期になりました.今回見ることのできた『動植綵絵』は以下のものになります.

  • 《老松白鳳図》
  • 《向日葵雄鶏図》 宝暦9年(1759)
  • 《大鶏雌雄図》 宝暦9年(1759)
  • 《群鶏図》
  • 《池辺群虫図》
  • 《貝甲図》

また,同じ若冲《旭日鳳凰図》(宝暦5年[1755])が『動植綵絵』シリーズの前に展示してありました.若冲の「鳳凰」は中国画(たとえば第3期展示の伝銭選《百鳥図》)をもとにしたものでしょうが,中国画のそれよりもぐっと強烈ななまめかしさをもっていて,一度見るとなかなか脳裏を去ってくれません.
今回の若冲画の中では《池辺群虫図》《貝甲図》といった博物学的世界観が反映された幅が興味深かったですね.形への興味のみならず,それを博物図譜的に並べてみることの興味,とでも言いましょうか.また,《貝甲図》のそこここに描かれた「波頭」などの装飾性もなかなか不気味なものがありました.
あと《向日葵雄鶏図》の左側,縦に6枚の向日葵の葉が連続して描かれている奇妙なリズム感もおもしろかったです.
若冲以外の見どころは,やはり酒井抱一《花鳥十二ヶ月図》(文政6年[1823])でしょうか.全12幅がずらっと並んでいました.抱一(ないしは抱一工房)の《花鳥十二ヶ月図》は何セットか残っているのですが,折しも東博のプライス・コレクション展に別の1セット,《十二ヶ月花鳥図》が出品されていますので,見比べてみるのも一興ですね.
もちろん若冲の描いた花鳥と抱一ら江戸琳派の絵師たちの描いた花鳥の違いを比べるのもおもしろいです.若冲が花鳥を細密に「そのもの」自体を突き詰めて描いていった(アニミズム!!)のに対し,抱一はその花鳥の存在や組み合わせが生み出す一種の情趣に向かっていったのがよくわかる展示でした.