かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

高野山

高野山駅→大門→壇上伽藍→霊宝館→金剛峯寺→金剛三昧院→苅萱堂→奥の院→→高野山

高野山開創1200年ということで、高野山に行ってきた。ただし、今回は開創1200年の特別な行事に併せて出かけたのではなく、ふつうに観光してきた。(帰ってきてから気づいたのだが、開創1200年を記念して、山内塔頭寺院がいくつか公開になっている。「西禅院」とか、行けばよかった。予習が足りなくて、失敗)
今回、特によかったのは、壇上伽藍の根本大塔(の中の、立体曼荼羅、特に柱に描かれた堂本印象による仏画)と、霊宝館で観た《阿弥陀聖衆来迎図》(有志八幡講十八箇院蔵)の2件(実は、2006年のときも両方とも観ている)。根本大塔は、「新しい」ゆえかそれほど話題にならないが、東寺に匹敵するものと思う。奥の院の、遺跡感のある石塔/墳墓もよかったが、前回来た時よりも手が入れられたか、今にも崩れそうな石塔群がほとんどなくなっていた。前回の時には、そこここに縄を巡らし、立ち入り禁止になっていた場所があったように記憶している。
さて、行路から。今回は、のぞみを利用した。東京6:00始発の博多行に乗車し、新大阪で御堂筋線に乗り換え、難波で南海に乗り継ぎ、橋本、極楽橋、で乗り換えて、高野山まで、無事に行くことができた。今回は、スルッとKANSAI3daysを利用したのだが、新大阪での引き換えが、時間が早かったため、窓口ではなく、駅長室での引き換えとなった。ここでやや時間を要した以外には特に問題はなかった。橋本から極楽橋までは、天空号2両をつないだ、4両編成の列車だった。天空号は道中の窓外の景色を楽しむために座席を横向きに設置するなどの特別仕様の有料列車だが、この日は満員だったこともあり、後方の普通車両に乗車。撮り鉄の諸君がけっこういた。車中にいちいち撮影ポイントを話し合っていたのがおもしろい。到着した高野山駅もこの開創1200年を記念して、開業当時の外観に改装、リニューアルしたとのこと。レトロないい雰囲気。前回来たときは、わりと閑散としていたが、今回は、平日とはいえ、思っていた以上に観光客が多い。これも開創1200年ゆえか。外国人観光客も多かったが、ヨーロッパ系がほとんどで(フランス語を話す人が特に多かったように思う)、アジア系、中国人観光客はほとんどいなかった(たまたまかもしれないが)。
高野山駅からはりんかんバスを利用して、まず大門に向かう。
大門(無料)
ここからは歩いて、移動。昼が近くで小腹が減ったので、大門近くの「南峰堂本舗」というまんじゅう屋で、酒まんじゅう(つぶあん)120円を1個買って食らう。ほんのりと酒のかおりがする。
壇上伽藍(拝観料:金堂200円、根本大塔200円、ともにスルッとKANSAIで2割引)
壇上伽藍では、中門から入り、金堂を観覧した後、時計回りにじっくりと見て回った。中門は、これも開創1200年を期しての再建で、四天王像が安置されている。以前からある持国天毘沙門天が修復され、松本明慶により新に増長天広目天が造られた。増長天には「とんぼ」、広目天には「蝉」のブローチがついていて、これがカワイイと参拝客の人気を集めていた。金堂を参拝後、時計回りに各建物を見て回る。中では、西塔が印象に残る。最後は、一番のお目当ての一つ、根本大塔の参拝。
本尊は胎蔵大日如来、その周りを金剛界の四仏/阿閦、宝生、阿弥陀、不空成就が取り囲み、16本の柱には堂本印象による十六大菩薩、四隅の壁には八祖像が描かれている。
なんと言っても、塔内の16本の柱に描かれた16菩薩像が素晴らしい。どこかモダンな装飾も含め、ふくよかで柔和な印象の諸菩薩の表情には、まるで人の心を静謐に落ち着かせる何かが溢れ出ているようだ。
霊宝館(観覧料:600円、スルッとKANSAIで2割引)
高野山霊宝館では、毎夏恒例の「高野山の名宝」展を観覧。なんといっても、お目当ての一つだった《阿弥陀聖衆来迎図》(有志八幡講)が素晴らしい。やや暗めの会場とはいえ、ガラスなしの近距離からまじまじと観られたのは、至福の一語に尽きる。また、開創法会の記念として展示されていた快慶《孔雀明王像》(金剛峯寺)も観られたのも、ラッキーだったなとも。他にも、名品多数。
金剛峯寺(拝観料:500円、スルッとKANSAIで2割引)
金剛三昧院(拝観料:300円)
金剛三昧院は、北条政子が夫の源頼朝、息子の実朝の菩提を弔うために建立した寺院で、前回は見逃したので、今回訪ねてみた。メインの通りから少し奥まったところにあり、境内はとても静かだ。拝観は外からのみで、建物の中に入ることはできなかった。国宝の多宝塔はこぶりだが、なかなか魅力的な建物だった。この寺院にも障壁画が残っているようだが、じっくりと観覧することができなかった。建物の外部からちらとのぞいた印象では、桃山頃のB級金碧障壁画という感じ。
金剛三昧院から、メインストリートまで早足でもどり、千手院橋からバスに乗車し、苅萱堂前で下車。苅萱堂をざっと一回りして、奥の院へ。
以前来たときは、倒れそうな大きな石塔、あるいは崩れた石組みがけっこうあって、立ち入り禁止になっていた箇所も多かったと覚えているが、今回は補修などが行われたのか、縄の張られた立ち入り禁止区域はあまりなかった。とはいえ、畏怖すら感じさせる森厳たる奥深さは健在。東南アジアのジャングルの遺跡に通じるような遺跡感は、日本では唯一無二なものではあるまいか。しかも、ここは遺跡ではなく、現役の墳墓でもあり、その混在の不思議さも唯一無二かもしれないなとも。 戦争で殺された兵士たちの慰霊碑も多く目につく。現代美術風のモニュメントもたくさんある。途中で、ガイドに案内されたグループをいくつか追い越す。主に歴史上の人物の墓を案内しているようだった。
奥の院バス停で、しばらくバスを待って、高野山駅まで戻る。高野山駅からは、高野山極楽橋→橋本→難波という、行きの逆順で大阪までもどり、御堂筋線淀屋橋で下車。ここから歩いてホテルに向かう。途中で、いつも寄る上等カレー(福島上等カレー西天満店)でカツカレーを食らい、コンビニで飲み物などを買って、ホテルにチェックイン。
ホテルは、ビジネスホテル関西。まあ、設備は古いし、エアコンや冷蔵庫がうるさかったりするのだが、安いし、プランでは朝食がついていたりするので(今回は朝食なしプランだったが)、ここのところ、よく使っていたのだが、WI-FIがロビー付近だけなので、これが不便。現状では、フリーWI-FIの有無が大きいので、今後はあまり利用しなかもしれない。夏休みで、中国や韓国から観光に来たと思われる若い人たちカップルや小グループがけっこう泊まっていたようだ。