かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 ホルスト・ヤンセン展 北斎へのまなざし  (八王子市夢美術館)

画狂人ホルスト・ヤンセン―北斎へのまなざし (コロナ・ブックス)ドイツの画家・版画家,ホルストヤンセンHorst Janssen(1929〜1995)の回顧展です.初期の鉛筆画や木版画も含め,銅版画を中心とする150点近くの作品が出ていました.全体を「版画家への道」「画狂人ホルストヤンセン」「北斎へのまなざし」という3章に大きくわけ,さらにシリーズやテーマ,モチーフごとにまとめてありました.
どの作品もグロテスクと無頼とエロスが充満していたのですが,中でも自画像を集めたコーナーが強く印象に残りました.大方が半ば口を開け,呆然と惚けている画家の姿を描いたものですが,それは自分の中から何かが抜け出していくのを必死に押さえようとするような人間らしさではなく,むしろ何かが抜け出していく,あるいはすでに抜け出して行ってしまった後の醜悪な姿を冷然と見つめる「無頼」が強く押し出されていて,その殺伐とした存在感に打たれました.
それから,『詩と舞踏』連作(銅版画.1973〜74)や『ニグロモンタヌス』の連作(銅版画.1980)が強く印象に残りました.とくに前者のエロスには溺れてしまいそうで...(←オイオイ,おっさんしっかりしいや)
この他にヤンセンが影響を受けた『北斎漫画』の原本(8点ほど.冊子ではなくばらしたものでした)や覆刻の北斎の版画が参考として展示してありました.
写真の本は本展の図録を兼ねたもの.『詩と舞踏』の図版が小さいのが難かな.
【メモ】八王子市夢美術館 http://www.yumebi.com/  会期:2005.12/2〜2006.1/22 ■今後の巡回展:埼玉県立近代美術館(2006.4/8〜5/21)