かけらを集める(仮)。

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 館蔵 大津絵と幕末・明治の戯画錦絵 展 [前期]  (町田市立博物館)

町田市立博物館の所蔵する大津絵と田河水泡氏旧蔵の幕末・明治期の戯画を描いた錦絵の展覧会.
大津絵は「大津絵10種」「大津絵に描かれた神仏」「当館所蔵の希少種」「人気種」「大津絵が与えた影響」の5つのパートに分類しての展示.大津絵の素朴な味わいと一部に見られる変な造形がおもしろかった.状態のいい作品も多く,全体的になかなか見応えがありました.この他,参考展示として大津絵を描いた絵皿が,また,特別展示として岸田劉生鷹匠》(1幅)も展示してありました.劉生のものは,特に特別な絵柄というわけではなく,日本画ということもあり,ごくごくふつうの「鷹匠」でした(笑).町田市立博物館は開館当初より大津絵の蒐集を行っていて,3年に1度,その全点(現在46点)を展示しているそうです.
戯画錦絵は「鯰絵」「麻疹絵」「子供遊び絵」「幕末の風刺画」などに分けて展示してありました.作者名のわかるものについては国芳や清親の作品が中心.清親といえば文明開化の東京を叙情性にみちたタッチで描いた「光線画」がすぐに思い浮かぶところですが,今回の展示では「光線画」の筆を折って以降(1881[明治14]〜)に手がけた漫画錦絵が多く出ていました.また,「子供遊び絵」というのは,戊辰戦争を子供たちが遊んでいる光景(たとえば雪合戦をしたり)になぞらえたもので,子供たちの着物の柄や紋などによって,これは徳川方,これは薩摩や長州,あるいは後の明治天皇を指しているというのがわかるようになっています.
展示の構成に沿って,それに相応しい作品が的確な解説とともに展示してあり,好感のもてる展示でした.難を言えば,量的にもっとたっぷり見たい!というところでしょうか.カタログは特にありませんが,大津絵の館蔵品カタログがリニューアルして出ていました(1200円.)
【メモ】町田市立博物館 2006.5/30〜7/2(前期5/30〜6/18・後期6/20〜7/2)※前・後期で大幅に展示替えあり. 無料