かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

天球院

京の冬の旅2016で、天球院を公開するとのことで今回の訪問となった。もちろんお目当ては、狩野山楽・山雪による方丈の障壁画。
今回、見ることができたのは、南側3室(いずれも金碧画)と北側東の書院(水墨画)の合計4室(他に仏間(北側中央)の《松図》が少しだけ見えた)、南側廊下の東西の杉戸絵(東側《牡丹に眠り猫》2面、西側《雪松に鷹》4面?)といったところ。
天球院障壁画は、例のキャノンの綴プロジェクトによって、高精細複製画との入れ替えが進んでいる。今回観た障壁画は各室とも部分的に複製画と入れ替えられているようで、また、オリジナルが天球院方丈で一般に公開されるのは今回最後との説明もあった。複製画といっても、高精細なスキャニングに基づくもので、オリジナルと並べてみないと識別ができないほどの出来なので、薄暗い室内、しかも、周囲の廊下から距離をおいて目を凝らして見る程度では、オリジナルに比べ、遜色はない。オリジナルは京博に寄託されるとのことなので、要所要所については、今後、京博の平常展などでじっくり観る機会があるだろう。
天球院障壁画については、図録類をはじめ、以前、京博開催の山楽・山雪展でオリジナルも観ているが、方丈の空間を荘厳している、まさにインスタレーションとしての障壁画の実際を体験できたところは大きかった。以前に、ただの「観光客」として、集中して各寺院の障壁画類を見て回ったことがあったのだが、この天球院だけは漏れていたこともあり、うれしさもまたひとしおだった。
なお、この公開に併せてということか、綴プロジェクトによる山雪の代表作《老梅図襖(複製)》[オリジナルはメトロポリタン美術館所蔵、複製は旧所蔵者の天祥院に寄贈されたもの]が東側の廊下に展示してあった。