かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 木村定三コレクションの江戸絵画 小世界を愉しむ  (愛知県美術館)

愛知県美術館に寄贈された故木村定三(きむら・ていぞう)氏の3000点を超すコレクションのうち,江戸時代の絵画による展覧会です.展示は「江戸とその周辺」「上方」「博多」,そして「名古屋」と地域別の4部構成になっていました(「博多」は仙突義梵のみですが).木村定三コレクションは江戸時代の主要な画家の作品を含んでいますが,そのほとんどが小振りの掛軸で,まさに「小世界を愉しむ」という副題どおりのものでした.展示の一部が露出展示になっていて,これがなかなかよかったです(といっても,蕭白若冲,蕪村あたりはガラス越し).
展示の中では,英一蝶(1652〜1724)と浦上玉堂(1745〜1820)が充実していました.一蝶は《王子喬図》や《朝顔に日傘図》が愉しかった.特に鶴に乗って飛び回っていた王子喬が蜘蛛の巣に引っかかって大慌ての図,《王子喬図》は一蝶らしい機知の感じられて,愉しかった.また,一方の玉堂は有名な《山紅於染図》などに描かれたエキセントリックな世界が他の絵師たちの温和な山水に比べて,圧倒的に「変」でおもしろいかったです.
それから,復古大和絵の絵師たちの作品も多く出ていました.源氏物語に取材したいかにも復古大和絵という作品もあったのですが,それよりもこれまであまり見たことのなかった水墨のシックな小品が印象に残りました.この他,ご当地,名古屋の絵師たちの作品がなかなかの充実ぶりでしたね.
なお,出品目録によると,風外慧薫と白隠慧鶴の作品の一部と名古屋の絵師,青木蒲堂と村瀬太乙の作品に会期中展示替えがあるようです.
カタログ『江戸絵画 木村定三コレクション』B5版P144/図版全点カラー/2000円.レイアウト,デザインともちとおとなしい感じ.もう少し拡大図を入れてほしかったですね(蕪村の《富嶽列松図》のみ部分拡大図あり).
【メモ】愛知県美術館 2006.3/10〜5/21 ※ちらしに100円引きの割引引換券が付いています.美術館のある愛知芸術文化センター内で配布のちらしには付いていませんが,オアシス21の案内所の置きちらしには付いていました.