かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 第12回 秘蔵の名品 アートコレクション展「花鳥風月[日本とヨーロッパ]」  (ホテルオークラ東京・別館B2Fアスコットホール)

企業,個人,美術館の所蔵する絵画から,主に「花鳥風月」に題材するもの(というか「花鳥画」ですね)を集めた展覧会で,企業文化交流委員会主催のチャリティー・イベントです.
ヨーロッパの近代絵画,江戸時代の絵画,近代の日本画・洋画といった構成だったのですが,まあ,私の目の落ち着き先は江戸時代の絵画なわけです.
松村景文《四季草花図屏風》(6曲1双・紙本金地着色・小屏風.大倉集古館)は,一見琳派風な構想による画面ですが,小禽の飛んでいる様子など写生画の意識が働いていて,そのあたりがおもしろい.作者不詳の《秋草流水図屏風》(2曲1隻・紙本金地着色.板橋区立美術館)は,各扇の中央に紗が張られていて,その周囲に秋草と流水が描かれているのですが,よくよく見ると,その造形がかなり変!で,居心地が悪くて最高!?でした.酒井抱一《四季花鳥図屏風》(6曲1双・紙本金地着色.陽明文庫)は,いかにも抱一らしい作品ですが,中でも右隻6扇の滑空する(?)白鷺の姿形に心ひかれて,強く印象に残っています(この展覧会のちらしにも使われています).また,右隻4-6扇の下方,燕子花などの群生している陰に隠れるようにたたずむ黒い水鳥も気になります.伊藤若冲は大倉集古館の《乗興舟》が出ていました.展示されている場面は澱城から牧方の少し先あたり.大倉集古館本の《乗興舟》を展覧会で見るのは3回目ですが,どうも中盤ばかり.次回あたりは終わりの方が見てみたいです.蘆雪《雁来紅群禽図》(絹本墨画着色・1幅.個人)は,たしか大倉集古館の「播磨ゆかりの江戸絵画」展にも出ていましたね.雁来紅は葉鶏頭の別名だとか.その根元に群れ集まる雀たちが可愛い.頭の形がいかにも蘆雪蘆雪しています.北斎《月見る虎図》(絹本着色・1幅.葛飾北斎美術館)の虎もなんだかのほほんたユーモラスな姿態が印象的でした.
この他では,坂本繁二郎《月光》(馬事文化財団)や岡鹿之助の作品がいい感じでした.
【メモ】ホテルオークラ東京・別館B2Fアスコットホール  2006.8/3〜8/24  ※本展入場券で,大倉集古館,泉屋博古館分館の展示も観覧可. 目録あり.図版は抄録で14P,300円(全額寄付).プレゼントのあたる投票券つき.