かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 CHIKAKU / 四次元との対話 岡本太郎からはじまる日本の現代美術  (川崎市岡本太郎美術館)

2005年にグラーツオーストリア)とビーゴ(スペイン)で開催された『CHIKAKU:Time and Memory in Japan』の帰国展.キュレーターは伊藤俊治.参加作家は,岡本太郎中平卓馬森山大道中村哲也,笠原恵実子,須田悦弘杉本博司日高理恵子渡辺誠,森脇裕之,小谷元彦伊藤高志,やなぎみわ草間弥生トリン・T.ミンハ.それぞれの作品のレベルも高く,また,伊藤俊治の解説が的確で,最近見たものの中ではレベルの高い展覧会でした.伊藤高志やトリン・T.ミンハらの映像作品について展示の仕方に難があり,それがちょっと残念(特にグラーツやビーゴでの展示風景を,ショップにあったそれぞれのカタログで見るにつけ,その感,強し).また,小谷元彦の《ベレニス》(2003)が電気系統のトラブルで展示されていなかったのも残念.
一番印象に残ったのは初めて見た伊藤高志の映像作品《SPACY》(1981)と《GRIM》(1985).これは凄かった.体育館で撮影した700枚の写真をビデオで再撮影し,スピード感のある映像に再構成した《SPACY》は特に圧巻.最後にカメラを構えた作家に収斂して終わるところがかっこいい.しびれる.また,団地の室内(?)を舞台にした幻想的な《GRIM》もおもしろい.ただし,今回の展示では音響部分がやや弱くなっていたのが惜しいところ.
また,このところ,各所で出会う機会の多かった中村哲也もよかったです.今回の展示ではユニットバスやシンクなどを題材にした作品を見ることができました.表面の質感がそのまま造形のすべてといっていいような作品群でしたね.特に《プレミアム・ユニット・バス》(2003)がかっこいい.あんなバスに入ってみたい.リラックスというよりも,おそらくトリップしてしまうに違いない.なんて思ったりして.
トリン・T.ミンハの《四次元》は,ミンハ版『表徴の帝国』,あるいは『東京画』といったおもむきの映像作品.日本を旅しながら撮した映像を省察的にまとめている.展示では,モニターの画面が小さく,観覧に時間を要する作品にもかかわらず椅子などが少ないのが残念.この日は座れずちょっとつらかったです.
【メモ】川崎市岡本太郎美術館 2006.4/8〜6/25
常設展は岡本太郎の描く―「いきもの」たち』(2006.4/6〜6/25).