かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 プライスコレクション 若冲と江戸絵画  (東京国立博物館)

アメリカ・カリフォルニアのプライス・コレクションによる主に江戸時代の絵画を中心とした展覧会です.「正統派絵画」「京の画家」「エキセントリック」「江戸の画家」「江戸琳派」の5章に加え,さらに「光と絵画の表情」という章題で,特別な照明を使って,ガラスなしで見せる特別な1章(1室)を設けて,6章立てで展示を構成していました.
「光と絵画の表情」の章は,いろいろな意味でおもしろかったですね.最近割と一部ガラスなしの展覧会を見ることもあったのですが,まあ実験的試みというやつで,有名作,重要作がそのような形で展示されることほとんどなく,ガラスなしで見ることのおもしろさを一応感じつつも,一方では物足りなく感じてもいたのですが,今回の展覧会では,プライス・コレクションの中でも代表作と言っていいようなものが並んでいて,思わず歓声をあげちゃいました.酒井抱一《十二か月花鳥図》,鈴木其一《柳に白鷺図屏風》,葛蛇玉《雪中松に兎・梅に鴉図屏風》,そして,なんと言っても長澤蘆雪《白象黒牛図屏風》などなど.量的にもたっぷりで,所蔵者のプライスさんと東博スタッフの心意気を感じだ次第です.しかもガラスなし,というだけではなく,光のあて方もかなり実験的で,自然光ではないにしても,太陽光が一日に見せる変化を時間的にダイジェストして当ててみせる,といった感じでした(ちょっとめまぐるしいかも).しかも光を当てる方向なども勘案しており,金地や銀地の屏風が,光の変化に伴って,笑っちゃうくらいあからさまに表情を変えていくのは驚きでした(おかげで,その表情ばかりを追って,そこに描かれている「絵」自体は見損なったのかも[苦笑].再戦しますっ!).いささかライト・ショーといった感も強かったのですが,それでも普段とは違った絵画の表情を見ることができたのはうれしいところでした.