石橋英子が店置きのグランドピアノ、ジム・オルークが(なんと)ウッドベース(ヴォリュームペダルと若干のエフェクタを通して、小さなアンプにつないでいた)、山本達久がドラムスという、ほぼ完全アコースティックなアンサンブルでの演奏。ディレイをはじめとするエフェクタ類をほぼ使わない楽器編成で、いちばん驚かされたのは、ジムがウッドベースのを演奏したこと。初めて見た(レコーディングとかでは弾いているのかもだが)。
演奏は、35分、40分ほどの短めの2セット。ミニマルな波が寄せては返すうちに、少しずつ容貌を変えていくというカフカ鼾の音楽はそのままだったが、ディレイを使わないことで、各楽器のアコースティックで清澄な音の響きがすっきりと現れ、緩急自在な音の連なりが、全体を綿密に織り上げているさまが明瞭に聞こえる。いつもとちょっと装いの異なるカフカ鼾の演奏、とてもよかったなと。
ジムの足下。この日はウッドベース!を演奏。