かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

Jim O'Rourke「two sides to every story」第2日(草月ホール)

第1部〈Bad Timing 全曲LIVE〉
演奏:ジム・オルークアコースティックギターセミアコ]、石橋英子[p, key、fl]、須藤俊明[b]、山本達久[dr]、高田漣[スティールギター]、波多野敦子[ヴァイオリン]、ダーリン・グレイ[cb]※2曲目のみ

         山本    グレイ
   須藤               高田
石橋          ジム          波多野
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           [客席]


第2部〈Jazz Trio and Big Band〉
演奏:坂田明[as, cl, voice, etc]とChikamorachi(ダーリン・グレイ[cb, etc]、クリス・コルサーノ[dr])、ジム・オルーク[コンダクト]、ジョヴァンニ・ディ・ドメニコ[p]、高岡大祐[tuba]、?(女性)[tb]、石橋英子[fl]、広瀬淳二[ts]、吉田隆一[bs]
          高岡   トロンボーン
                     石橋
                       広瀬 
ディ・ドメニコ      ジム          吉田
        グレイ      コルサーノ
             坂田
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           [客席]

※アンコールなし

草月ホールのジム・オルーク2デイズの2日目。
まず第一部は〈Bad Timing 全曲LIVE〉。いつものメンバーに、スチールギター高田漣を加えた編成(2曲目のみダーリン・グレイが、コントラバスで参加)。オリジナルと違って、ホーン隊がいない(英子さんがフルート吹いていたが)など、オリジナルとは異なる編成/アレンジだったが、生演奏の強みであるダイナミズムがそこここで溢れるような演奏だった。ジムのアコギの演奏のジョン・フェイフィばりの自在さがとてもここちよく、また、その演奏に、いつのまにか、ひとりふたりとバンドメンバーの演奏が加わるにつれ、音楽が徐々に大きく膨れあがっていき、そして、頂点でさっと消え入る。緊張と興奮、そして、静寂の40分強の道筋をたどる音楽の楽しさは言葉に尽くせないものだった。
20分ほどの休憩の間に、舞台上では大きくセットが変わる。
2デイズの最後のプログラム、〈Jazz Trio and Big Band〉。舞台前方に、ジャズトリオである、坂田明とChikamorachiが陣取り、その後方にジムが指揮するピアノと管楽器隊によるビッグバンドが半円型に舞台を占める。
メンバーが舞台上に揃うと、おもむろに坂田さんがアルトサックスを吹き出す。坂田さんは、時に他の演奏者の出す音に耳を傾けるシーンがあったにしても、とにかく先頭を走り続け、アルトサックス、クラリネット、ときに鉦や鈴の類を交え、最後にヴォイスに至る。そして、Chikamorachiの面々はこれを支え、押し上げ、時に間を縫って、坂田さんを追い抜いたりもする。
ビッグバンドは基本的に、ジムの出すサイン(ハンドサインと色紙大の厚紙にかかれた指示?)により、演奏を行っていた。トリオとビッグバンドの同時演奏という趣向なのだが、気になるのはその関係性。どうも両者バラバラに、ということではなく、Chikamorachiが、フリーに演奏をしているのに対し、リアルタイムで、アレンジを加え、伴奏をつけていくという感じだった。1時間ほどの演奏だったが、演奏がだんだんと熱を帯びてくると、トリオとバンドの応酬的な部分も自然と出てくるし、また、ところどころで、個々の演奏者による応酬(例えば、ドメニコとコルサーノがやっていた。というか、このシーンは、カルテット!)も生まれてくる。このあたりの全体のアンサンブルが瞬時に変容するところが、ある種のキメラのような「生物的な」感じで、とてもスリリングだった。そして、最後には、食いつ食われつ、ついに合体!?、とてつもなく大きな魔物が出現したのだった。
ただ残念だったのは、今回は席が悪かった。舞台に向かって左端の席で、あまり音がクリアではない。せっかくの演奏も、ごちゃごちゃに潰れてしまって、ひとかたまりの音塊になってしまったのは、ちょっと残念だった。もう少し、細かく聞き分けられた方が、このアンサンブルはおもしろく感じられたと思う。