かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 館蔵屏風絵 燕子花図と藤花図  (根津美術館)

根津美術館所蔵の屏風絵展です.会期終了後の5/8から改築のための長期休館になることもあり(再開は2009年秋の予定),出かけてきました.今日見たものはいずれも金地屏風で,花が多かれ少なかれモチーフになっていました.会期終了間近の休日ということもあって,割と人が多かったです.
展示作品は以下のとおり(ちらしに出ているものが全展示作でした).

  • 《吉野龍田図》 6曲1双・紙本金地着色・江戸時代 右隻が桜,左隻が楓.それぞれ画面いっぱいに桜の花,楓の紅葉した葉が描かれています.吉野なり,龍田川なりのランドマーク的な徴表はないのですが,桜の枝,楓の枝に風になびく短冊があり,そこに書かれた古歌がそれぞれ場所の記憶を呼び起こしています.智積院長谷川等伯《楓図》,長谷川久蔵《桜図》を思い浮かべて見ていたのですが,いかがでしょうか?
  • 尾形光琳《夏草図》 2曲1双・紙本金地着色・江戸時代 両隻を並べてちょうど中央にくる立葵の赤い花,白い花がいい感じ.光琳の草花図は画面に広がるリズム感がいいですね.
  • 《蹴鞠図》 6曲1双・紙本金地着色・桃山時代 右隻に貴族や僧侶らがなかなか凝ったデザインの衣裳をまとい,桜の花の下で蹴鞠に興じています.一方,左隻では池の畔で,待機中の白丁たちが盛り上がったり,(お定まりの)居眠りしていたり.右隻の人物のぬっぺりした表情に対し,左隻の笑う白丁のおおきな表情が愉快.
  • 尾形光琳《燕子花図》 6曲1双・紙本金地着色・江戸時代 金箔の横線と燕子花の葉の縦線の交錯に意図はあるのか?
  • 狩野宗信《桜下麝香猫図》 6曲1双・紙本金地着色・江戸時代 金箔率高し.筆を何度もあてて,あまり長く引かないで描いている岩の皺法がおもしろかったです.でも,麝香猫ちゃんは南禅寺の大方丈のやつのほうが可愛いかな.
  • 円山応挙《藤花図》 6曲1双・紙本金地着色・安永5年(1776) あっさり味でした.
  • 鶴沢探鯨《草花図》 2曲1隻・紙本金地着色・江戸時代 金地がなんだかくすんでいた感じ.萩・薄・鶏頭...秋の草花でした.
  • 鈴木其一《夏秋山水図》 6曲1双・紙本金地着色・江戸時代 かなり異形!と思ったら,画面を横切る流れが金泥で描かれていたりして.う〜む.ちょっとすごいかも.

この他に,通常展ではいつもの仏像,青銅器の他,「良寛−秋山コレクション−」「李朝のやきもの」「高麗茶碗」など.こちらで牧谿《漁村夕照図》が見られて,うれしかったな.
【メモ】根津美術館 2006.4/15〜5/7 ※4/15〜4/26には《烏図》(6曲1双・紙本金地着色・江戸時代 シアトル美術館蔵)が特別展示.