かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 京都国立博物館・平常展

京博では,いつものことですが,平常展示館2Fの絵画のコーナーを中心に見てきました.以下,室町〜江戸時代の絵画を中心に(9〜11室).

【9室】 「彩色花鳥画の世界」
01.狩野元信《四季花鳥図》8幅 [京都/大仙院]
02.芸愛《四季花鳥図屏風》6曲1双(中屏風) [京都国立博物館
03.瑞渓周鳳賛《山茶小禽図》1幅 [京都国立博物館
04.祥啓《花鳥図》1幅 [京都国立博物館
05.遮莫月舟《梅樹小禽図》1幅 [京都国立博物館
06.喚舟《花鳥図》1幅 [個人]
【10室】※絵巻は割愛(すまぬ)
07.円山応挙《魚藍観音図》1幅 [京都国立博物館
08.長澤蘆雪《虎図》1幅 [個人]
09.長澤蘆雪那智瀧図》1幅 [個人]
10.松村景文《月夜舟遊図》1幅 [京都国立博物館
11.伊藤若冲《猿蟹図》1幅 [個人]
12.森狙仙《春日社頭鹿猿図》1幅 [個人]
【11室】 小特集「池大雅黄檗山万福寺東方丈障壁画」
13.池大雅《五百羅漢図》8幅 ※開山寿位之間 [京都/万福寺]
14.池大雅《虎渓三笑図》4幅(8幅のうち) ※小拝之間 [京都/万福寺]
15.池大雅《西湖図》4幅(もと襖貼付4面,床貼付3面,壁貼付1面) ※上之間 [京都/万福寺]
16.与謝蕪村《倣王蒙山水図屏風》6曲1隻(もと1双) [京都国立博物館

01がなんといってもお目当て.もともとは,大徳寺塔頭,大仙院の方丈画で,南側3室のうちいちばん西側の室,檀那之間を飾っていた襖絵です.8面のうち,4面は室の東側,残る4面は北側に配置されていました.つまり「┐」という配置になります(大仙院の方丈画については2005.11/17参照).タイトルのとおり,四季の移ろいを花鳥によって表現したものです.細部それぞれもおもしろいのですが,北東隅に配された(正確には東側の一番端)瀑布とその流れが左右にわかれいく構図がよかったですね.特に北側,前景に大きく描かれた秋の景から,水の流れに沿って,画面奥の冬の景へと推移していくところがいい感じでした.美術全集などの図版によく採用されているものなので,お目にかかる機会も多いのですが(といっても部分図がほとんど),見慣れている図柄とはいえ,実物を見て,思っていた以上にこころときめきました.
07は「洛陽円一嘯」という落款の,まだ石田幽汀の下にいた若い頃の応挙の作品です.後世の写生派の巨匠の作品とはいささか違うさらっと描いた水墨画でした.資料的な価値あり,というところ.
08,09の蘆雪はおもしろかった.
11の若冲は,でっかい蟹の上に乗りかかって,それを押さえつける猿を水墨で描いたもの.猿の表情がいい感じ.
13〜15は,40歳代末の池大雅が,関わりの深い万福寺の東方丈に残した障壁画の一部です.全体的に画面の構図が行き届いているな,という印象を受けました.なお,東方丈のもと障壁画は,上記の他に,《瀑布図》(行者寮),《波濤図》(下之間)などがあるようです.
12室の中国絵画のコーナーは,指頭画が大々的にフィーチャーされていました.11室の大雅や蕪村の作品にも指頭画の技法ががんがん使われていたので,その対比といったところでしょうか.
この他に特集陳列『和歌と美術』(17室)など.『和歌と美術』はもちろん「古今集1100年新古今集800年」記念ですね.《佐竹本三十六歌仙絵断簡(坂上是則)》[個人]や《上畳本三十六歌仙絵断簡(源宗干)》[個人]など.