かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 海に生きる・海を描く −応挙、北斎から杉本博司まで−  (千葉市美術館)

千葉市美術館所蔵作品から「海」を(なんらかの形で)描いた作品をセレクトした展覧会.「I.江戸時代の人々と海」「II.明治時代以降の美術作品に見る海の表現 その1」「III.明治時代以降の美術作品に見る海の表現 その2」「IV.陸と海」の4部構成.
Iがお目当てでしたが,量的にはちょっと少なめ(11点).横山崋山《天橋立・富士三保松原図屏風》(6曲1双・紙本墨画淡彩,文政5[1822])は真景図らしく,今までに見た名所図とはちがった印象(でも,薄味).2点出ていた長崎版画(かな?)が素朴でいい味,出していました.このコーナーのみ,前期(〜6/25)・後期(6/26〜)で全点展示替えになるそうです.ちなみに副題にもある応挙の作品(《富士三保松原図屏風》)は後期の展示.
IIは,主に大正から昭和にかけての風景版画が中心.『日本風景版画』シリーズや川瀬巴水らの新版画など.冒頭で,ここのところ,いろんなところで出会う機会の多い山本鼎《漁夫》にまたしても会っちゃいました.それからパートの解説で志賀重昂『日本風景論』,さらには押川春浪海底軍艦』に言及してありましたが,『海底軍艦』はちと展示とは関係ないのでは...だったら近代ツーリズムとかにもっと触れろよな...とか思ったのは,私だけかしら.
IIIはご当地「房総」関連の作品で,1/3強が版画.ここで,無縁寺心澄の作品をまとめて見られて,これはなかなかよかった.
IVは現代美術.一部屋つかっての展示になった河口龍夫《陸と海》が圧巻.それから,北辻良央《「作品」》のトレースのたびに微妙によれていく等高線や文字の,その不確かさにいろいろと考えさせられたりもして.
全体的にはもうひとがんばり,という印象だったかな(ところどころでいいから,作品個々に解説をつけてもいいのでは).ということで,近くにお住まい,お勤めの方がふらっと立ち寄るのがいいかと.それから出品目録をサイトにのっけてほしいです.
【メモ】千葉市美術館 2006.6/3〜7/17