かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 スターよ永遠に 追善浮世絵展  (千葉市美術館・8F展示室 2006.7/22〜8/27)

林美一氏旧蔵の死絵を中心に,一部普通(!?)の役者絵も交えた展覧会です.江戸後期から明治期の歌舞伎役者/歌舞伎俳優の死絵が多く出ていました(8世団十郎が圧倒的に多いのですが,その他では化政期に活躍した役者のものが目立ちました).ただし,全体的に構成が散漫,かつキャプションと解説が不十分で「展覧会」としてはあまりぱっとしなかったです.詳細な調査・解説を記したファイル・ブックが準備してあったのですが,実際の作品の近くに簡潔にして要を得た解説を明示しなくては展示としてはあまり意味はないのではないでしょうか.
と,悪評を書きましたが,展示されている「もの」自体はたいへんおもしろかった.8世団十郎の死絵など(一説には300作以上も出されたのだとか),死に装束の8世団十郎の姿に戒名と辞世を記した簡易な/標準的なバージョンに始まり,死の原因を憶測するワイド・ショー的なもの,8世団十郎の死を熱烈に惜しむ女性ファンたちをやや戯作的に誇張したもの,自雷也や光氏などの当たり役に扮した8世団十郎を描いたもの(そういえば与三郎はなかったですね,たしか)など,いろいろな趣向のものが出ており,なかなか興味深く,見応えがありました.この8世団十郎の死絵の増殖ぶりは「鯰絵」あたりと比べても,いろいろとおもしろいのではないでしょうか.などと思ったりもしました.