かけらを集める(仮)。

日記/旅行記+メモ帳+備忘録、みたいなものです。

 「イギリスの美しい本」展  (千葉市美術館・7F展示室 2006.7/22〜8/27)

「第1部 イギリスの本の歴史」と「第2部 創造の場としての書物 現代ブックデザインの挑戦」の2部構成.
第1部ではさらに「I.伝統 印刷された本の始まり カクストンから18世紀まで」「II.反映 19世紀のイギリスの挿し絵本」「III.展開 ウィリアム・モリスとプライベート・プレス」の3章に分け,(印刷された)イギリスの本の歴史を主に日本国内に所蔵されているイギリスの古書籍によってたどっています.IではW.ブレイクの挿絵本,IIではケイト・グリーナウェイやW.クレインらの挿絵本や初めて実見したエドワード・リアのオリジナル本,,そしてIIIではケルムスコット・プレスによる諸本といったところが印象的でした.特にIIIではケルムスコット・プレスに始まるプライベート・プレス−ヴェイル・プレス,タヴズ・プレス,エラニー・プレス,アシュディーン・プレス,ゴールデン・コッカレル・プレス−を各プレスの代表作によって概観できたのがうれしいところでした.ただし,書籍の展示は,本を解体しないかぎり,基本的に見開き2頁分しか展示できないこともあり,(解体の上,額装した展示品もありました),量的にはちょっと物足りないところがもありました.このあたりは,書籍を見せる展示でいちばんもどかしいところです(ちなみに,先日見た「名取洋之助と日本工房[1931-45]」では,たとえば「NIPPON」を各号数冊集めて,表紙以外にも数ヶ所見せる,という力業でこの難を解決していました.もっとも「美しいイギリスの本」展ではこの手はちょっとできませんね.).
第2部はイギリスの「デザイナーズ・ブックバインダー」に属す装丁製本家たちの近年の秀作を集めたもの.マス・プロダクトとはひと味もふた味も違ったおもしろい装丁の本を見ることができました.
なお,この展覧会は,足利市立美術館(2006.4/22〜6/4),郡山市立美術館(2006.6/10〜7/9)と巡回してきた展覧会です.